Chageが45年間の音楽旅で出会った仲間たちと作り上げた最新アルバムとともにツアーへ

インタビュー | 2024.08.01 18:00

──この『飾りのない歌』には、他にも「Begins Now~万華鏡の刹那~」と「横顔の月」という新曲が入っています。2曲とも、今回のツアーにも参加されるtheSoulの河野健太郎さんとの共作です。河野さんとは「青い空だけじゃない」でも共作されていました。
前回一緒に作った時から、「オレたちは日本の“レノン&マッカートニー”になろう」って言っていたんですよ。音源作りから参加してもらって、お互いのメロディを融合させていく作業はおもしろかったですね。「Begins Now~万華鏡の刹那~」の“Begins Now”という言葉は、以前からあって、『飾りのない歌』になる前は、アルバムタイトルは“Begins Now”にしようかと考えていました。「今さらか?」と思われるかもしれませんが、45周年のこのタイミングで、「今始めよう」という気持ちがありました。そんな経緯もあり、この楽曲に、そうした内容の言葉を当てはめていきました。この曲はちょっとおもしろい作り方をしていて、言葉ともいえないようなラララで歌った仮歌を、文字起こししたら、こんな感じになるんじゃないかなという発想で、健太郎くんと2人で話しながら作ったんですよ。
──確かに、言葉の響きの使い方がユニークで、とてもおもしろいです。
“Begins Now”というフレーズもビシッとハマりましたし、つながりがあるようなないような言葉のマジックもあるし、景色も見えるし、おもしろい歌になりました。サウンドも、この歌詞に合わせて、ともじくんが見事に仕上げてくれました。
──「横顔の月」は、“月”がモチーフとなったスタンダードジャズナンバーで、歌と歌詞が深く染みてきました。
ともじくんが昔から、「Chageさんとジャズをやりたい」と言ってくれていて、そのイメージありきで作った曲ですね。バース(前歌。スタンダードジャズでよく用いられる手法)から入る構成なんですが、歌詞に関しては、自分なりのライブ観、自分にとってのライブとはなんなんだろうというところから、作っていきました。これまでは、そこはファジーにしておいたほうがいいのかなとも考えていたんですが、今回、書いてみたくなったんですよ。なぜChageはステージに立つのか。なぜお客さんはライブに来てくれるのか。自分なりの解釈を歌にしました。45年音楽をやってきましたが、ライブに関して、ここまで言い切ったのは初めてですね。
──この歌から、ライブというもののかけがえのなさが伝わってきました。
ライブって、現実と非現実の境目にいるようなものだと思っているんですよ。完全に夢の中に行くのではなくて、夢と現実の狭間をうろうろするところが楽しいという。だから、「好きだよ」「愛しているよ」という愛の言葉をたくさん並べても、全然許される世界なんですよ(笑)。ライブが終わる時に必ず言う言葉は「また会いましょう」なので、そのフレーズも歌詞に入れました。ライブの終わりって、だいたい夜だから、夜空には月が出ているんだろうなと想像して、三日月をイメージして、<横顔の月>という言葉を使いました。僕の書く楽曲って、月が出てくるものが多いので、「月の曲、多すぎるかな? ダメかな?」って健太郎くんに聞いたら、「いや、そんなことないです」と言うので、入れました(笑)。
──月の歌が多いのは、ロマンティックでファンタジックというChageさんのオリジナリティーが発揮されているということですよね。むしろ、月がモチーフの歌を歓迎するリスナーが多いのではないかと思います。
45周年の今、ライブについて歌うことができて、良かったなと思っています。ライブって、老若男女問わず、“愛する・愛される”、“好きになる・好きになられる”という双方向の関係が成立する場だと思っているんですよ。そこで生まれるエネルギーを吸収して、「明日また頑張りましょう」「現実に戻っていきましょう」、そして「また会いましょう」という循環が生まれるんじゃないかなって。自分の中では、1つの区切りをつけた楽曲になりました。
──Chageさんの歌声も温かいですし、バンドの演奏も人間味があふれていますし、管楽器の音色もいいですね。
ボーカルが前に出ているんだけど、楽器の音が沈んでないんですよ。楽器が歌声を包み込んでいて、アナログっぽい質感がある。昔のナット・キング・コールのレコーディングの空気感を、今の最新の技術で表現しているような感じ。スタジオでみんなで「すごいな」って盛り上がってしまいました。エンジニアを務めたのは小寺秀樹くんなんですが、彼の手がけたアルバムがグラミー賞最優秀グローバル・ミュージック・アルバムを受賞してますからね。さすが、小寺くんです。ヘッドフォンで聴いても、車の中で聴いても、どんな環境で聴いてもいいように、見事な音作りをしてくれました。
──残りの7曲は、リスナーからのリクエストを反映したものです。「ロマンシングヤード」「すごくこまるんだ」「TOKYO MOON」「Reason」「勇気の言葉」「equal」「SOME DAY」と並んでいます。投票結果、どう感じましたか?
やはりCHAGE and ASKAの曲が強いんですが、CHAGE and ASKA、MULTI MAX、ソロ曲、それぞれがバランス良く入っていたことがありがたかったですね。個人的には、「TOKYO MOON」が入ってるのがうれしかったです。元々、東日本大震災の後に書いた曲で、いろいろな思いを込めて作ったんですが、リスナーがこの曲を選んでくれたということは、同じ気持ちになってくれたからなんじゃないかなと思います。リクエスト結果で驚いたのは、1位が「Reason」だったことですね。
──せつなさの極地と言いたくなる大人の恋の歌ですもんね。
そうなんですよ。今、Chageに歌って欲しいのはこれかって。だから、「わかりました、歌います」って感じです(笑)。選曲するにあたっては、投票の結果を参考にしながらも、今、1/6で一発録りして残したい曲という観点で曲を絞っていきました。この7曲は今回のツアーでも反映させていこうと考えています。やはり1/6の演奏力が際立っているので、そういうところもしっかり楽しんでいただけたらとうれしいですね。「ロマンシングヤード」もすごいことになっていますよ。みんな、どれだけ演奏したら、こんな風になるの?っていうくらい、素晴らしいです。
──アルバム収録曲を聴いているだけで、ライブの光景が見えてきそうな曲がたくさんあります。
「ロマンシングヤード」のアレンジに関しては、ともじくんが「<Have a Fight Have a Fight>のところを入れさせてください」って言うんですよ。「僕、ライブでコーラスもやりますから」って。「TOKYO MOON」は力石理江の魂のピアノも素晴らしいです。サウンド的にはアコギを重ねて、「マイ・スイート・ロード」みたいなものをやりたいというイメージあったんですよ。僕とKBとtheSoulの楯岡裕人くんの3人のギタリストが、メーカーも音色もまったく違うアコギで、せーので一斉に弾くわけですよ。これが最高におもしろくて、やりながら、自分たちでクセになっていました(笑)。
──「SOME DAY」はMULTI MAXのコーラスアレンジを踏襲したものになっています。
淺井ひろみがやっていたヒロインパートは、YUKOにやってもらったんですが、MULTI MAXの原点の曲ですし、レコーディングの時、ちょっとウルッと来てしまいました。
──「SOME DAY」の<抱いていたい この愛を>というフレーズと「飾りのない歌」の最後の<すべて届け この思いを I Love You>というフレーズとは、つながっているのではないかと感じました。
そうですね。そういう意味でも、万城目くんの作ったくれた歌詞は、大きかったですね。背中を押してくれましたし、勢いをつけてくれました。
──レコーディングでの楽しさが、そのまま今回のツアー、「ChageLiveTour2024 ~ちゃげっていうひと~」にも反映されそうですね。
多分、みなさん、納得のラインナップになると思います。
──ツアー・タイトルにある“ちゃげっていうひと”はどんなとことからでてきた言葉ですか?
ツアータイトル、どうしようかなと考えてある時に、Chageという表記は、カタカナとアルファベットの大文字小文字はあるけれど、これまで、ひらがなはなかったなと思ったのがきっかけですね。で、“ちゃげっていうひと”っておもしろいんじゃないかなと。インスタなどでも、少し前から#をつけて、“#ちゃげっていうひと”とつけて、プロモーションしていたんですよ。僕は“ひらがなロック”という言い方もしていますが、そのココロは、ひらがなだけど、柔らかくないよということです。
──新作でのChageさんの歌声からは、深さ、温かさ、広がりなどを感じました。
歌に関しては、お客さんやメンバーから“気”をもらっているからなのかもしれませんが、今、声もとてもいい感じに育っているんですよ。ボーカリストとして、というよりも、表現者として歌を歌えているんじゃないかと感じています。なんとなく表現というものがわかりかけてきているような気がするので、精進して、もっともっと突き詰めていけたらと考えています。
──ツアーへの参加を考えている人に、メッセージをいただけますか?
「来ないと、損をするよ」ということですね。行こうかどうしようかと迷っている人がいたら、どーんと背中を押してあげたい(笑)。今回は多分、恐ろしいほど素晴らしいセットリストになると思いますし、最高のバンドが演奏します。今回のアルバムを聴いたら、ライブに来たくなるんじゃないかな。「これを生でやるんだよ。来たほうがいいよ」って、大きな声で言いたい心境です(笑)。

PRESENT

サイン入りステッカー(非売品)を5名様に!

受付は終了しました

公演情報

DISK GARAGE公演

ChageLiveTour2024〜ちゃげっていうひと〜

2024年9月1日(日)Zepp Fukuoka
2024年9月7日(土)Zepp Namba
2024年9月8日(日)Zepp Nagoya
2024年9月14日(土)仙台 Rensa
2024年9月23日(月振休)Zepp Diver City(TOKYO)

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ぴあ

Chageのずっと細道

2024年8月3日(土)長崎・佐世保市民文化ホール 凱旋記念ホール
2024年8月18日(日)愛知・メニコンシアターAoi
2024年10月6日(日)東京・下北沢シャングリラ ※1日2回公演
2024年10月12日(土)沖縄・TopNote
2024年10月13日(日)沖縄・ガンガラーの谷
2024年10月19日(土)茨城・club SONIC mito
2024年11月9日(土)静岡・SOUND SHOWER ark
2024年11月15日(金)岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
2024年11月17日(日)高知・CARAVAN SARY

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公演特設ページ

RELEASE

『飾りのない歌』(ユニバーサルミュージック)

NEW ALBUM【CD+Blu-ray】

『飾りのない歌』(ユニバーサルミュージック)

2024年8月28日(水)SALE
※CD+Blu-ray、CD+DVD、CD onlyの3形態
※写真はCD+Blu-ray

※CD+DVD

※CD only
「飾りのない歌」

先行配信シングル

「飾りのない歌」

2024年7月31日(水)SALE
※作詞:万城目 学
「ChageLiveTour2023 WINDY ROAD」(ユニバーサルミュージック)

Live Blu-ray

「ChageLiveTour2023 WINDY ROAD」(ユニバーサルミュージック)

2024年7月31日(水)SALE

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  • 長谷川 誠

    取材・文

    長谷川 誠

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