the paddles presents 「余白を埋める-CLUB QUATTRO編-」
2025年7月24日(木)渋谷CLUB QUATTRO
GUEST:シャイトープ
シャイトープ
準備はできてる、さあ行こうか。先陣を切るゲストバンドはシャイトープだ。佐々木想(Vo&Gt)、ふくながまさき(Ba)、タカトマンダ(Dr)にサポートギターを加えた編成で、キャッチーでメロディックな「誘拐」を皮切りに痛快エイトビートと豪快ダンスビートを連ねてぶっ飛ばす。1週間後にメジャー1stアルバム『WELCOME TO YOUR LIFE』のリリースを控えているが、今日はただthe paddlesの友達としてここにいる。「今日が最高の日になるように手助けしたい」と想が言う。歌の中に愛と信頼と友情がある。
セツナスローな「僕のそばに」など等身大のリアルなラブソングでオーディエンスのハートをつかみ、メッセージ性の強い「Begin Again」や「マーガリン」でフロアいっぱいの合唱と手振りを巻き起こす。「出会って2年、the paddlesがいなかったらどこかでつまづいていたような気がします。いつも俺たちに寄り添ってくれるthe paddlesが心から大好きです。いつもありがとうごめんね」(想)。シャイな口ぶりと鋭く熱い演奏とのギャップがいい。全力疾走の全8曲35分。
the paddles
「ちっちゃなライブハウスから始まりました。今日は渋谷CLUB QUATTRO。それでもやることは変わりません。一生懸命、目を見て歌います」
さあthe paddlesの登場だ。気持ちのこもった柄須賀皇司(Vo&Gt)のセリフから「好きな気持ち」へ、盛り上げるより先にじっくり聴かせる重厚なオープニング。「クアトロ、始めようか!」の言葉を合図に「プロポーズ」「花」「WARNING!」と徐々にスピードを上げながらオーディエンスを巻き込み、歌わせ、手を上げさせて踊らせる。「みんなを笑顔にしに来たぜ」「一生で一番の思い出作ろう」「後ろも見えてるよ」「売り切れましたありがとう」、オーディエンスに呼び掛けながらぐいぐい引っ張る皇司と、松嶋航大(Ba)と渡邊剣人(Dr)のしなやかなリズム隊。明らかに気合が入ってる。
「やることは変わりませんと言いましたが、こんなにシャイトープとthe paddlesを愛してくれるみんなの前で、いつも通りでいられるわけがないですよね」
あっさりと前言を撤回して、さらに強く激しくたくましく、「永遠になればいいのに!」「倦怠モラトリアム」「ステレオタイプ」とライブで絶対の威力を発揮するキラーチューン連発で波に乗る。騒ぐより前に圧倒されたように聴き入るオーディエンス。剣人は表情豊かにリズムを刻み、航大は表情を変えずに感情だけを音に込める。その上で奔放に歌う皇司。剣人が正式メンバーに加わって約5か月、バランスはどんどん良くなっている。
2021年、コロナ禍まっただなかの迷いと不安を吹き払うために始めた「余白を埋める」のコンセプトと、その思いを背負って生まれた「予測変換から消えても」は、the paddlesの転換点となった大切な曲。まっすぐに聴き入るオーディエンスと、まっすぐに歌う皇司との親密なコミュニケーション。「夏の幻」「22」と、今の季節にぴったりのノスタルジックサマーチューン2連発が心に染み入る。豪快に叫ぶ皇司もいいが、言葉に感情を込めてシンプルに歌う皇司もいい。
「シャイトープを初めて『余白を埋める』に呼んだのは2023年の心斎橋BRONZE。2年経ってもう一度呼ぶことができた、ここは渋谷 CLUB QUATTRO。バンドって夢があるなと思います」
夢を夢で終わらせないために、この曲を歌いに来ましたーー。仲間のバンド名を歌詞に埋め込んだ「余白を埋める」はイベントの、そしてthe paddlesのアンセムと言える代表曲。もちろん「地下室のもぐら」も登場する。剣人と航大もありったけの激情をぶちまける。フロアではコブシががんがん突き上がる。すごい熱気だ。
「音楽で革命を起こすとか、僕にはいりません。そんなことよりも、the paddlesのライブを観たあとに「明日も頑張ろうかな」と思う、みんなの一歩が見たいです」
その一歩を俺たちも見せたいですーー。「ブルーベリーデイズ」から始まるラストスパートは余力を残さずフルスピードで。「愛の塊」では大合唱が巻き起こり、終わると見せかけて「これで終わるわけないやろ!」と「25歳」へなだれ込む、the paddlesの神髄を見せるエモーショナルチューン3連発にフロアは沸騰。たぶんSNSでも広告でも誰かのお薦めでもなく、ライブシーンで一歩ずつ上がっていくバンド、それがthe paddles。
アンコールでは嬉しいお知らせ、10月から11月にかけて過去最大規模のワンマンツアー、「余白を埋める ONE MAN LIVE TOUR-5大都市編-」の開催も発表された。2025年のthe paddlesは「初」と「挑戦」がとても多い。航大は8月で勤めをやめてバンドに専念するとのこと。会場いっぱいの拍手が彼の決断を祝福してる。
母親への愛情と、「強くなりたい」という自分へのメッセージを込めた「カーネーション」を最後に届けて、「余白を埋める-CLUB QUATTRO編-」は終わった。シャイトープを迎え入れた記念撮影では、ステージもフロアも笑顔の花が満開だ。the paddlesは力強く前へ進む。9月25日には府中Flight35周年特別公演「イキルチカラ〜For Live Theater〜」で府中の森芸術劇場ふるさとホールの大舞台にも立つ。新たな「初」と「挑戦」を積み重ねて進むバンドを見続けよう。まだ見ぬ景色をともに見に行こう。
SET LIST
シャイトープ
01. 誘拐
02. Burn!!
03. It's myself
04. 僕のそばに
05. tengoku
06. Summer Conte
07. Begin Again
08. マーガリン
the paddles
01. 好きな気持ち
02. プロポーズ
03. 花
04. WARNING!
05. 永遠になればいいのに!
06. 倦怠モラトリアム
07. ステレオタイプ
08. 予測変換から消えても
09. 夏の幻
10. 22
11. 余白を埋め
12. ブルーベリーデイズ
13. 愛の塊
14. 25歳
ENCORE
01. カーネーション