小山田壮平バンドツアー2019 2019年10月16日(水) 新木場Studio Coast
ソールドアウトのこの日、場内がぎっしりとオーディエンスで埋まる中、大歓声とともにメンバーがステージに姿を現すと、1曲目に演奏されたのはandymoriの“グロリアス軽トラ”。濱野のラップスティールギターをフィーチャーした、このバンドならではのアレンジながら、途中の歌詞を変え、「新木場の空の下!」と盛り上げるのは昔と変わらない。続く“everything is my guitar”も、andymori時代さながらの盛り上がりを見せる。
“雨の散歩道”、“スランプは底なし”といったミドルテンポのナンバーに続いては、小山田がエレキからアコギに持ち替え、“青い空”へ。ディレイのかかったラップスティールギターが幻想的な雰囲気を作り上げると、この日最初のカバー曲、ゆらゆら帝国の“太陽の白い粉”を披露。サイケデリックなムードは、Gateballersやナツノムジナにも通じるところがある。ライブ前半は“空は藍色”で締め括られたが、“太陽の白い粉”にも〈青い空 白い雲〉という歌詞が出てきていたように、やはり小山田には空の歌が似合う。
ライブ中盤ではandymoriの“革命”や、昨年発表のソロ作『2018』収録の“ゆうちゃん”を、久富のパーカッションをフィーチャーしたアコースティックなアレンジで演奏。「今日は人が多いな」と話していたが、それでも場内にはアットホームな雰囲気が漂う。“あの日の約束通りに”に続く、フォークシンガー・高石ともやのカバー“私に人生といえるものがあるなら”は小山田らしい選曲で、ALに通じる美しいハーモニーも印象的だった。
ライブが後半に差し掛かると、「今日は打ち上げだね」という話題から、“ベロベロックンローラー”、濱野がギターソロをかき鳴らした“夕暮れのハイ”と続け、ラストは“ベンガルトラとウィスキー”、“Kapachino”とアッパーな曲で盛り上げる。所々に緩めのMCを挟みながらも、特別な演出を施すことはなく、15曲を一曲一曲丁寧に届けていった。
アンコールではまず小山田と濱野が登場。2人はまだ濱野が高校生の頃に出会ったそうで、それから十年が経ち、同じバンドでツアーをしていることに対し、「こんな素敵な未来があるとは」と感慨深げに話をして、“ローヌの岸辺”をしっとりと演奏。巨大なミラーボールに照らされる中、歌とアコギとラップスティールギターのみが場内に響き渡った。
その後に藤原と久富も加わると、藤原の口笛から始まる叙情的な“16”、さらには“サイン”と続き、小山田のメロディーメーカーとしての才能を改めて思い知る。「また元気でお会いしましょう」と語りかけて、最後は“Sunrise&Sunset”を軽快に鳴らし、初のバンドツアーが終了。愛してやまない音楽を、気の置けない友人たちと鳴らした親密な時間は、そのまま現在の小山田が純粋に音楽と向き合っていることを伝えていたように思う。
SET LIST
01.グロリアス軽トラ
02.everything is my guitar
03.雨の散歩道
04.スランプは底なし
05.青い空
06.太陽の白い粉
07.空は藍色
08.革命
09.ゆうちゃん
10.あの日の約束通りに
11.私に人生といえるものがあるなら
12.ベロベロックンローラー
13.夕暮れのハイ
14.ベンガルトラとウィスキー
15.Kapachino
EN 01.ローヌの岸辺
EN 02.16
EN 03.サイン
EN 04.Sunrise&Sunset