小山田壮平「ダンニャバード」
2025年1月28日(火)Spotify O-WEST
【出演】小山田壮平Band×おとぼけビ~バ~
おとぼけビ~バ~
これまで何年も欧米をツアーし続けてきたが、2024年はRED HOT CHILI PEPPERSの北米ツアーへのゲスト出演や、グラストンベリー・フェスティバルへの参加などで国内でも注目を集め、秋から冬にかけて行った国内ツアーが軒並みソールドアウトするなど、2009年の結成以来もっともいい状況を迎えているおとぼけビ~バ~が、先に出演。50分の持ち時間で21曲を演奏・2分巻いて終了、という、短距離走のようなステージを、この日も見せた。
おとぼけビ~バ~目当てで来たファンは、曲が終わるたびに歓声を挙げてリアクションし、噂のおとぼけビ~バ~を初めて観た人は息を呑み、全然知らずに観た小山田壮平ファンは、ただただ絶句する──と、超満員のオーディエンスの反応が三分割になるさまは、なかなかの壮観。後半でボーカルのあっこりんりん、フロアを見渡して、「めちゃめちゃ冷たい目の女の子、逆に興奮するんで」と言い放つ。
ただ、中盤のMCでは「見事に客層がかぶってなさそうなイベントなんですけど、不思議なことに私はめちゃくちゃandymori、通ってる、っていう」。
20歳の時、一緒に『京都音博』に行った時、andymoriの出番になるとあっこりんりんが「ちょっと行って来るわ!」と前へダッシュ、終わって戻って来て「私、初めて男の人の名前、叫んでしまった。壮平!って叫んじゃった」と報告された──というエピソードを、ギターのよよよしえが明かした。なお、小山田壮平と初めて会ったのは、2024年のやついフェスだったという。
この日、おとぼけビ~バ~は、ライブの中盤あたりから、未音源化の新曲を何曲も演奏。自分がいちばん最近に観たおとぼけビ~バ~のライブは、2024年12月15日の味園ユニバースだが、その日も披露していた「めんどいだるい眠いしんどい体調の良い日がない」や「ニューアルバムはまだですか」などもあれば、今日ここで初めて聴いた「おまえのくだらん口説き文句嫁だけインポテンツ」や「おまえのストライクゾーン入らんでよし」などもあり。21曲中6曲を占めた。
ラストの21曲目「あなたわたし抱いたあとよめのめし」の演奏を終えると同時に、あっこりんりんはマイクを、ドラムのかほキッスはスティックを、床に叩きつけてステージを去った。
小山田壮平Band
小山田壮平Bandのステージは、「Life Is Party」で始まり「すごい速さ」で終わる本編13曲+アンコールで「サイン」を追加した全14曲。
2020年9月リリースのファースト・ソロアルバム『THE TRAVELING LIFE』から2曲(夕暮れのハイ/雨の散歩道)、2024年1月リリースのセカンド・アルバム『時をかけるメロディー』から6曲(アルティッチョの夜/マジカルダンサー/スライディングギター/時をかけるメロディー/彼女のジャズマスター/サイン)、andymori時代のレパートリーから6曲(Life Is Party/空は藍色/投げKISSをあげるよ/グロリアス軽トラ/革命/すごい速さ)──という内訳だった。
「Life Is Party」「アルティッチョの夜」「空は藍色」の、頭の3曲を演奏し終えたところで小山田壮平、「おとぼけビ~バ~、ありがとうございました」とお礼を伝え、「ここで主催の挨拶を。僕が企画したイベントなんです」と、本日の趣旨を説明する。
「ダンニャバード」とはヒンディー語で「ありがとう」という意味で、自分がインドやネパールを旅した時によくきいていた言葉で、響きがすごく好き。ヒンドゥー教圏を旅していると、そこらじゅうに神様が溢れていて、ハイテンションになるし、神聖な気持ちにもなる。「ダンニャバード」は、普段言う「ありがとう」のような、何かをしてくれたことに対するお礼ではなくて、存在自体に「ダンニャバード」と伝えるような感じがあったんです──。
というあたりまで話して、照れくさくなったのか、ベースの藤原寛に「そんな冷たい、哀しい目で……」と抗議したり、ドラムの久富奈良に「奈良くん、ダンニャバード!」と呼びかけたりする。
「投げKISSをあげるよ」と「グロリアス軽トラ」、andymoriの名曲を2曲続けたあと、さっき、よよよしえも話した、おとぼけビ~バ~との最初の出会いについて補足。2024年のやついフェスの時、打ち上げでよよよしえが近づいて来て、大声で「革命」を歌い始めた、他の出演者もいっぱいいるのに──という話から、その「革命」に入る小山田壮平だった。
10曲目の「時をかけるメロディー」、音源では弾き語りのこの曲をバンド編成で聴かせて、O-WESTを清冽な空気で満たしてから、「雨の散歩道」「彼女のジャズマスター」「すごい速さ」の3曲でオーディエンスを歓喜させ、本編が終了。
アンコールに応えて歌う前に、「じゃあ、愛しいみなさんに最後に1曲捧げて。『サイン』という曲です」と小山田。「10年たったら旅にでよう 南の国がいいな」と2009年に歌った「Life Is Party」で始まること。イベント名がヒンディー教圏で出会った「ダンニャバード」であること。最後の曲が「忘れないでいてね 忘れないでいるよ この心の歌を」と歌う、最新アルバムの「サイン」だったこと。など、今、小山田壮平が表したいことを、聴き手に伝えたいことを、14曲かけて届けるようなステージだった。
次の小山田壮平の大きなアクションは、既に発表になっている「⼩⼭⽥壮平 バンドツアー2025」。4月19日福岡から6月5日東京・Zepp Haneda (TOKYO)まで、全国9本を回る。
SET LIST
■小山田壮平
01.Life Is Party
02.アルティッチョの夜
03.空は藍色
04.投げKISSをあげるよ
05.グロリアス軽トラ
06.革命
07.夕暮れのハイ
08.マジカルダンサー
09.スライディングギター
10.時をかけるメロディー
11.雨の散歩道
12.彼女のジャズマスター
13.すごい速さ
ENCORE
14.サイン