9mm Parabellum Bulletが、自主企画イベントのタイトルを冠したツアー『カオスの百年TOUR 2018』を9月に開催。彼らが“9mmの日”としている9月9日(日)Zepp Sapporoから9月28日(金)&29日(土)のZepp Tokyo 2デイズまで全6公演が行なわれ、なんとライヴのチケットには㊙新曲CDが付いてくる!ジャケットなどにも仕掛けがあり、その内容についても事前に話せる範囲でVo&Gtの菅原卓郎に語ってもらった。バンドの現状、ツアーに向けての思いもたっぷりと。
──ツアーに向けて、どんな準備をしてますか?
今回は9月9日(日)のZepp Sapporoから始まるんですけど、その“9mmの日”を札幌で迎えるのが初めてなので、ただライヴするだけではなく、やっぱり特別なものにしたくて。ひとつの試みとして、セットリストをいつもと変えられたらってところで、意外とやってこなかったリクエストをこの前お客さんに募りました。去年はアルバム『BABEL』(2017年5月発表)が軸の活動で昔の曲があまりできてなかったし、リクエストを取るにはいいタイミングで。みんなが最近聴けてない曲が聴けて、俺たちも演奏してない曲ができる。そういう楽しみが生まれるじゃないですか。
──確かにそうですね。
あと、ツアーのチケットに㊙CDが付いてるんです。新曲2曲と今年5月27日の『カオスの百年 vol.12』日比谷野外大音楽堂でのライヴ音源2曲(各公演によって異なる楽曲を収録)が入ってて、特に新曲はすごく面白いのができた手ごたえがありますね。
──新曲について、ぜひ聞かせてください。
1曲目は「21g」という曲で、2007年にアルバム『Termination』を作ったときにレコーディングして、ミックスまで終わってたのに、なんとなくそこで収録する気持ちになれず。他の曲と馴染まなかったのかな、当時の推し曲も決まってたし。すごくかっこいいけど、見送った経緯があるんですよ。そのあともアルバムごとに「あの曲、どうする?」ってなるものの埋もれてて……そうやって話題に上ることがだんだんとなくなり、いつの間にやら10年以上(笑)。バンドもサウンドが変わっていきますしね。でも、来年で結成15周年のタイミングもあってふと聴き直してみたら、今フィットする感じがして。で、もう一度レコーディングしたっていう。実はかなり古い曲だけど、みんなが知らないから新曲です。俺ら的には十何年ものの酒のイメージ。もしくは長年漬けた梅干しとか。録り直すにあたって、歌詞を書き直すのも一瞬は考えつつ、結局ほぼそのままにしました。アレンジも若気の至りで事故ってたところをちょっと修正するくらいで。
──“21g”の意味というのは?
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の映画『21グラム』(2003年)が好きで、そこから取ったんです。魂の重さを計量する実験をした人がいて、“人間は亡くなったときに21グラムだけ軽くなる”ってのがタイトルの由来なんだけど、そういった“命の重さ”みたいなものについて自分も当時よく考えてて。“君が神様になったとしても、どうやって計るっていうんだ”って歌詞のとおり、解答があるようなことは歌ってないですが、いろんな人が共有できるテーマのはず。“そのくらい何もかもコントロールできる存在になれても、計れるようなものなわけ?”という問いでもあり、“たとえ死んでみたって、計れないかもしれないよね”とも取れるんじゃないかな。最近気付いてびっくりしたのが、この監督がのちに『バベル』(2006年)って映画で賞を獲ってたりするんですよ。だから、俺は本当にアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が好きなんだなあと思いましたね(笑)。
──9mmがアルバム『BABEL』を作るときにはわかってなかった?
『バベル』って映画は知ってて好きだったけど、誰が監督かは認識してなかったんです。新曲「21g」の再レコーディング後にわかって、何かが返ってきた感じというか、面白い経験でしたね。わかりやすい自分、変わってない自分にあらためて気付けたところもあって(笑)。
──不思議な出来事ですね。そして、新曲がもうひとつ。
はい。「カルマの花環」です。これは未発表ではなく、純粋に新しい曲。リフで押していく曲なんだけど、バンドの演奏とメロディの両立に9mmらしさをすごく感じて。『BABEL』とはまた異なる鋭さというか、どのくらい重厚にできるかがメインじゃないんですよ。レコーディング中に一風変わったギターの音色を入れるのが俺と滝(善充[Gt])の間で流行って、結果めっちゃヘンな音になりました。オルガンみたいに聴こえるようなギター。それでリフを弾いていったり。9mmを好きで聴いてくれてる人はそのあたりで驚くと思います。なおかつ、もうちょっとライトなリスナーにも“これは9mmだわ!”って一発でわかる曲でもある。15年前には作れなかった曲でしょうね。