インタビュー/長谷川 誠
Chageの最新シングル「たった一度の人生ならば」を初めて聴いたのは昨年6月に品川シティホールで開催されたファン・ミーティング(ファンクラブ限定イベント)だった。その時はChageの弾き語りで披露され、歌声と歌詞が体の奥に深く染みこんできたのを鮮明に覚えている。この曲は最初から特別だった。過去に思いを馳せるのと同時に、未来を見つめる大きなまなざしが存在している。今年5月のリリースにあたって、タイトルが「たった一度の人生ならば」に変更されたのだが、この曲のテーマはChageの今年の音楽活動の大きな軸のひとつとなっているのは間違いないだろう。もともとのタイトルは8月から開催されるツアー・タイトルに活かされることになった。50代最後の節目のツアー“Chage Live Tour 2017 〜遠景/landscape〜”はどんなものになるのか。Chageに聞いていく。
──新曲「たった一度の人生ならば」は去年の春からライブで歌ってきた曲ですが、作ったきっかけは?
歌詞ありきの曲だったんですよ。ある日、友人の作詞家、松井五郎から依頼したわけでもないのに突然、歌詞が送られてきた。素晴らしい歌詞だったんですが、アルバム制作中(『Anoter Love Song』)だったので、ちょっと寝かせておきまして。一段落してからプリントアウトして、その歌詞をながめていたら、曲を付けて歌いたくなった。歌詞ありきで曲を作るのは初期以来で、懐かしくもあり新鮮でもあり。
──深くて大きなテーマを持ったこの歌詞にメロディを付けていくのは大変だったのではないですか?
五郎の歌詞が完璧だったので、俺が試されているな、でも絶対にこの言葉にはメロディがあるはずだなと思いながら作っていきました。
──Aメロの出だしのところは歌詞が先じゃなれば、出てこないメロディですよね。
“どこへ〜”ってとこだけで、どんどん音程が変わっていきますからね。そこからどこへ向かうのかによって、曲全体のトーンが変わってしまう。どこへ向かうかを自分に問いかけて、あふれだしてきた気持ちのままに進んで行こうって、最初の部分が決まってからは早かったですね。松井五郎の歌詞とタッグを組んで作っているような気分でした。自分でもこういう作り方がおもしろかくて、楽しみながら作っていました。この曲によって、自分が原点回帰できたというか、初めて歌を作ったアマチュアの頃の気持ちの塊を少し思い出させてもらったような気がします。
──タイトルにもなっている“たった一度の人生ならば”というフレーズも印象的です。
“人生”って言葉は自分の中からは出てこない言葉、あえて避けてきたワードではあったんですが、五郎からこの歌詞をもらうことによって、自分もそういう言葉を歌う時期に来たんだなと思いました。人生って、やはりたった一度なんですよ。その通りだな、この言葉をしっかりリスナーに届けなければいけないなと思いました。
──当初は「遠景」というタイトルでした。
五郎から「シングルにするなら、歌詞にある言葉を使ったほうがいいよね」という提案があって、なるほど、確かにそうだなって。写真を撮るのが好きなんですが、遠景、ランドスケープという広角レンズを使った撮り方もあって、もともと好きな言葉だし、過去・現在・未来、すべてを表している気がしたので、“遠景”という言葉はツアーで使わせてもらうことにしました。