有安杏果、東名阪ツアー“A Little Harmony Live 2024”決定!「“リルハー”はホームに戻れるような安心感。自分らしく、いつも通りの感じで」

インタビュー | 2024.09.20 18:00

──「Jazz Note」から半年が経ちましたね。
え? もう半年も経ってるんですか!? そんな自覚なくてびっくりしました。
──(笑)。この半年、どう過ごされていたかなと思いまして。
コロナ禍になって以降、ライブがないときの生活というか、日々の過ごし方のルーティンは基本的に変わってないですね。もうひたすら曲を作ったり、楽器の練習も継続したり。あとは、英語の勉強をずっとやってて。時間がかかることなので、今も毎日、ずっと英語の勉強をしてて。それをやってると本当に1日があっという間に終わっちゃうんですよ。それ以外にも、ジムに行ったり、走ったり、体力作りもしてるし、そういう日々を過ごしてますね。
──全部、活動につながるものですね。
そうですね。ジャズライブ以降は、ピアノの練習も増えてます。あとは今年、本を読む機会を作ろうと思い立って。忙しい時は、どうしても本を読む時間がないってなりがちだけど、本を読む時間をちゃんと作らなきゃなと思って。だから、自分で意識的に本を読む時間を確保して、本を読んだりとか、いろいろとインプットする時間も作ってます。
──何か印象に残った本はありましたか?
インスタにもちょっと載せたんですけど、私が読んでる作品は、ほとんど女性の作家さんばかりなんですよね。川上未映子さんや凪良ゆうさん、青山美智子さんとか。それはたまたまなんですけど、あと、今までは短編集が好きだったんですけど、英語を勉強したおかげで、分厚い本へのハードルがだいぶなくなって。
──どういうことですか?
英語の本もページ数が少ないのもありますけど、分厚い参考書もいっぱいやって。今までは「こんな分厚い本、最後までやれる? 無理でしょ」って思ってたんですけど、人間ってやれば当たり前になってくるというか。この数年間、分厚い英語の参考書を何周も繰り返しやってるうちに、毎日10ページだったらそんなに大変じゃないし、いつか終わるよなって思えるようになったんです。だから、小説が分厚くても、前だと「これ、読み終えるのに半年かかるな……」って憂鬱になってたのが、今はもう楽しく読めるようになりました。
──なるほど。そんな日々を送ってたんですね。改めて、前回のジャズライブを少し振り返っていただけますか。
大変でした。あはははは。準備してるときは、本当にひいひい言ってました。終わった直後は、終わってよかった……って胸を撫で下ろして。毎回、ライブが終わるとほっとするんですけど、今までとは違うことにたくさん挑戦したので、よりほっとしたし、すごく大変だったなと思います。
──大変だったのは?
私、めちゃくちゃ準備したいタイプなんですよ。でも、改めてジャズをやってみて、そんな性格とは真逆の世界だったなっていうのは身にしみました。準備できるものじゃないっていう部分が最初は本当に怖かったですね。しかも、ドラムのアロンがニューヨークから来てくださったので、みんなで集まれたのが本番の2日前だったんですよ。ようやくみんなで合わせられるってなったんですけど、全編英語歌詞なのはもちろん、リハーサルも言語が全部英語で。もう全てが新しい経験でした。
──どうしてそこまで英語にこだわりましたか?
ニューヨークで同じ内容をしてもちゃんと伝わる音楽を目指したいっていうふうに思ってて。やっぱ、ジャズはアメリカから生まれたものだし、英語でしっかり伝えたいなっていうのはずっと思ってて。
──将来的にはニューヨークのクラブでやりたいという想いもあるっていうこと?
夢ですね。やっぱり本場でやりたいです。でも、まだまだ通用するレベルではないっていうことは、あのジャズライブで本当に痛感しました。それこそアロンはもちろん、ピアノの大林さんも、ベースの小川さんも、元々ニューヨークでも活躍されてる方ですよね。ジャズっていうジャンルがそもそもそうなのかもしれないんですけど、私は準備しないとできないタイプだけど、みんなは準備しなくても、何がきても大丈夫な感じでいて。それが私にやっぱ足りない部分だなと思ったし、そこのレベルに行くには音楽の知識もまだまだ足りない。まだまだやれることもあるし、やらなきゃいけないなっていうのはすごく思いました。

「有安杏果 Jazz Note 2024」ツアー 2024年2月14日(水)ビルボードライブ東京より

──最初のジャズライブなので、もっとスタンダーナンバーのカバーに近いジャズライブかと思ったんですよ。でも、有安さんも楽器のソロと同じようんスキャットでアドリブのソロを取ってて。
ずっと前からジャズライブをやるのが夢だったんですけど、その中でもスキャットはずっとやりたかったことだったんですね。私が、ジャズを好きになった理由はいっぱいありますけど、その中のメインでもあって。いろんなジャズシンガーの方を聴いたときに、スキャットがすごいジャズシンガーに特に魅了されたんです。だから、私もスキャットに挑戦したいっていうのは一番最初にあった部分だったんです。でも、確かに、ライブに向けて準備してるときに、「やっぱりスキャットは難しいから、今回は初めてだから挑戦しない方がいいんじゃないか」みたいに言ってくださる方もいて。それでも頑張る!という感じで、結構プレッシャーっていうか、戦いはありました。でも、選曲も一緒にやってくれた大林さんがすごくアシストしてくれて。全然、私が知らない曲もあって。
──ご自身で選んだ曲って何なんでした?
私が選んだのは「Bye Bye Blackbird」「How High The Moon」「I Got Rhythm」「You’d Be So Nice to Come Home to」「Over The Rainbow」「Corcovado」ですね。「Social Call」や「I Wish I Knew」 、「Embraceable You」「Speak Low」は大林さんに教えていただくまではあまり触れたことなかったので、急いでいっぱいいろんな人のを聴いてみて。
──スキャットが好きだったシンガーって誰だったんですか?
ニッキー・ヤノフスキーさんがすごい好きで、ニッキーがエラに捧げるっていうジャズのスタンダードを歌ってるCDを最初に聴いて。彼女のルーツはエラだから、やっぱエラにもたどり着いて。最初はまずこの素晴らしい2人をお手本に聴きまくりましたね。
──ジャズのスタンダードナンバーだけでなく、新曲もやりましたね。
初めてではないんですけど、久しぶりの共作だったんですよ。「feel a heartbeat」を多保さんと作った時以来かな。共作って意外とあんまりやってなかったし、多保さんと作ったときは、ほぼギターも弾けないし、コードも知らないし、鼻歌ベースだったから。そのときは全然違う感じで一緒にスタジオに入って。いろんな曲をいっぱい、10個ぐらいバーって一緒に作って。私のメロディー先行で、大林さんが後からコードを付けるパターンもあれば、コードを先に弾いてくれたのに対して私がメロディーをつけたりとか、ドラムパターンだけを決めたりとか、いろんな作り方を試してやってみて。その中で、2人ともこの曲が良かったねってなったのが「Tsuki Talk」。コードは大林さん全部考えてくださって。
──歌い出しがちょっと和メロっぽかった。
それは一緒に考えました。だから、私1人だと絶対に思いつかなかったですね。サビの部分は『杏ちゃん考えてきて』って言われたので、私らしく作ったんですけど。もう1曲はサンバの曲を作ろうってなって。歌詞がない曲をやったのは初めてかもしれないです。
──「Regeneration」はコーラスの練習をした後、みんなでラララで歌う曲でした。
リハーサルをしてるときは、みんなが歌う部分のメロディーがちょっと難しすぎるかなと思って。事前にリリースもしてないし、お客さんはあの場で初めて聴くのに歌えるかな? って勝手にちょっと心配しすぎてたんですね。でも、大林さんは「大丈夫だよ」って言ってくださって。本番は全然大丈夫でしたね。私が心配しすぎたなって感じでした(笑)。
──(笑)。バンドライブ、弾き語りライブに続く、ジャズライブというのは、有安さんのライブシリーズの中でどんな立ち位置のものになりましたか。
今までやってきたライブより精度の高さを求められるライブでした。特に、改めてリズムの勉強をしなきゃいけないなって思って。これまではコードは見るけど、音符をあんまり見る機会もなかったし、そんなにリズムにシビアに考えたこともなかった。変な話なんとなくやってたんですね。音楽学校に行ってたわけでもないし、申し訳ないんですけど、あんまり考えたことがなくて。でも、ジャズをやって、アロンの細かいドラムを体感して。“え? どこでリズムとってるの?”って思うんだけど、決めの部分では、私意外がみんなピタッと合ってて。“え?”ってちょっと取り残される経験をしたのも初めてだったんです。やばい、リズムわかんないっていうふうに痛感して。だから、リズムを勉強するようになりましたし、それは弾き語りライブにも生きてくるんじゃないかなと思います。

──これからもこの3つを軸にしていく?
やりたいです。弾き語りは正直、コロナが始まる前まではいつかやりたいと思ってたけど、まだ無理と思ってて。もうちょっと大人になってから、それこそ30歳とか、もうちょっと先かなって思ってたんですね。ジャズは、いつかやりたいと思って、割と前から勉強も始めてた。順番が前後しています。バンドライブが全然できなくて、もっと先だった弾き語りが先になって、ジャズもわりと思ってたよりも早くやることになった。コロナがなかったらジャズライブは10年後くらいだったかもしれない。時間ができたから英語を勉強しようって、オンラインの英会話から始めたことが今につながってます。
──どんどん増えてきますね。引き出しが。
いやいや、もうもうこれで終わりですよ。この3つを軸に頑張ります。
──その3つの軸のうちの一つである弾き語りライブ「A Little Harmony Live 2024」の開催が決定しました。
ジャズをやる前までは、バンドと比べると、弾き語りは誰も助けてくれないし、1人だからすごい緊張するし、怖いっていう部分はどうしてもあったんです。でも、ジャズをやったことによって、たぶん、お客さんも同じように感じてるんじゃないかな。ジャズはみんなが知らない曲がほとんどだったし、私も練習したといえども、全部英語で歌うライブは今までなかったし。Billboardっていうライブ空間もそうだし、2回公演っていうのもそうだし。今までとは全然違うライブしか今年やってないので、“リルハー”はホームに戻れるような安心感がある。もちろん、1人きりの弾き語りだから緊張はするんですけど、自分らしく、温かい空間にできたらいいな。
──東名阪の3箇所ですね。
今はまだセットリストを組んでる真っ最中で、どうしようみたいな状態なんですけど。たまたま10月11日の愛知公演の日が、2017年にももクロ時代にソロでアルバム『ココロノオト』を出した日で、10月20日の東京公演の日が武道館ワンマンをした日なんですね。たまたまの偶然なんですけど、そんな感慨深い思いを感じながら準備してて。
──8年前になるんですね。
短いようで長いってよく言いますけど、いろんなことがありましたからね。もちろん環境も2017年のときと比べたら、何よりグループを卒業してるっていう部分が一番全然違いますし。でも、MCでも伝えたいなと思うんですけど、これだけ年数が経っても、こうやってライブができるって、それ以上幸せなことはないなって感じてて。武道館のときって、本当に最後だと思ってたんです、私。1人でライブできるのは最後だって思ってやったんですね。だから、それから8年経った今も「feel a heartbeat」をまだ歌えるっていうのはなんか本当に感慨深いですね。
──みんなにはどんな思いで足を運んでほしいですか。
いやもう本当、リラックスして来てください。ビルボードライブの時みたいなドレスコードもありませんし(笑)。私は今出来る全てを出し尽くして歌と楽器で想いを届けようと思ってます!
一緒に楽しみましょう!

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