神はサイコロを振らない
Special Live for Double Anniversary Year 2025
"神倭凡庸命 -カムヤマトボンヨウノミコト-" at 日本武道館
2025年2月11日(火・祝)日本武道館
タイトルは『Special Live for Double Anniversary Year 2025 "神倭凡庸命 -カムヤマトボンヨウノミコト-" at 日本武道館』。結成から10年、メジャーデビューから5年にあたる、ダブルアニバーサリーイヤーである2025年の、さまざまな活動のスタートが、この日本武道館である。客席は、2階の最上段まで、びっしり埋まっている。
2016年7月リリースの、最初の全国流通盤であるミニアルバム『anfang』収録曲の「秋明菊」で始まり、2025年1月31日にリリースしたばかりの、現時点での最新曲「スケッチ」で終わる、全21曲・2時間強のステージ。アンコールは、なし。
なお、ステージ上は、黒川亮介のドラムセットと、ギター吉田喜一&ベース桐木岳貢の足元のエフェクト・ボードと、それぞれのマイクスタンド以外は、何にもない。スピーカーも、高音は左右の空中、低音はステージの正面下にズラッと、配置されている。
開演予定時刻の16:00をちょっと過ぎたところで、客電が落ちてSEが響き始め、逆光のライトが目まぐるしく飛び交い、ステージ上が見えない状態になる。そして、SEが止まると同時に、白い光を放つ巨大なLEDパネル4枚の前・ステージの前後で言うとまんなかあたりに、横一列に並ぶメンバー4人の姿が見え、その状態で「秋明菊」の演奏が始まる。
同曲の後半、いったん暗転した状態で演奏が続き、ライトが点くと、メンバーはステージ中央で普段のフォーメーションになっており、柳田周作が「神はサイコロを振らない、始めます」と宣言し、2曲目の「火花」に入る──というオープニングだった。
柳田周作(Vo)
4曲目「少年よ永遠に」では、客席で、この日最初のハンドクラップとシンガロングが起きる。同曲が終わったところでの、この日最初のMCで、柳田周作は「去年の夏から、ずっとこの景色を想像してました。けど、想像なんかよりも、マジ…最高す。ヤバい……」と、早くも感極まり、落涙寸前になる。
次の「Baby Baby」で、彼は、中2の時に初めて買ったエレキギター(初心者入門用セットで15,000円だそうです)を弾いた。吉田喜一に貸して以来、いろんな人の手に渡って行って行方不明になっていたのを探し当てて、ギリギリ今日に間に合ったのだという。
柳田周作がハンドマイクで、ステージの両端まで移動しながら歌った7曲目「巡る巡る」では、サビでLEDに「Let’s run far away」と、リリックが出る。8曲目の「1on1」では、アリーナでも1階席でも2階席でも、すごい勢いでタオルが回る。
メンバーひとりずつのMCを経ての「LOVE」は、「一緒に歌ってほしいなあ、なんて思うんだけど」という柳田周作の言葉に応えて、オーディエンスのシンガロングから曲が始まった。
続く「カラー・リリィの恋文」でも、大きなシンガロングが起きる。オーディエンスがシンガロングする曲になるたびに、その声のボリュームが、上がっている気がする。
吉田 喜一(Gt)
「泡沫花火」「胡蝶蘭」「夜永唄」と、バラードを三連続で演奏した11〜13曲目のブロックでは、柳田周作の歌に合わせて、LEDに歌詞が映し出される。
コロナ禍の途中に、初の日比谷野音が決まった時、その頃にはオーディエンスの声出しがOKになっていることを願い、みんなと歌うことを想像しながら作った、でも当日にみんなで歌うことは、まだできなかった──そんな曲である「タイムファクター」を、今、ここ日本武道館で、満員のオーディエンスと神サイが一緒に歌う光景は、なんだかやたらと感動的なものがあった。歌い終えた柳田周作も、「この数のシンガロングを聴ける日が来るとはな……」と、感慨深そうである。
桐木岳貢(Ba)
「不条理なことばっかなんで、間違ったっていいぞ、逃げたっていいぞ、いつだって俺たちがそばにいるぞ!」という言葉から、17曲目の「ジュブナイルに捧ぐ」に入った柳田周作は、間奏で「無理に生きてとは言わないけどね、生きてたらまた会えるぜ!」と、さらにたたみかける。
8面すべてのLEDを使って、ビル街の夜景が描かれた、18曲目の「夜間飛行」では、柳田周作が何度も「Singin’!」と呼びかけ、それに呼応してオーディエンスが歌う。
そのビルの夜景が星空に変わってから始まった「illumination」では、オーディエンスが掲げるスマホのライトで、武道館が明るくなった。
20曲目「クロノグラフ彗星」では、またでっかいシンガロング。曲の締めで柳田周作、ステージに跪きながら「サンキュー!!」と絶叫する。
この曲終わりで、「種明かしをしないと」と、今日のライブのタイトルの説明が入った。「凡庸」というのは自分たちのこと。でも神サイは、今日だけは、無敵だと思います。ありがとうございます──という言葉から始まったラストの曲「スケッチ」では、この日初めて、演奏し、歌う4人の姿が、LEDに大映しになった。
黒川 亮介(Dr)
全21曲のパフォーマンスを終えた4人は、ステージの前方に出て、並んで一礼したあと、今日が「Double Anniversary Year」の始まり、ということで、今後の予定を3つ発表した。
ひとつめは、このライブの模様を、3月末に映画館で上映することと、東名阪と福岡の映画館ではメンバーも登壇すること。ふたつめは、6月〜9月に、9都市10公演の全国ホール・ツアーを行うこと。最後は、10周年と5周年のダブルアニバーサリーイヤーである2025年に、「神はサイコロを振らないの10の叶えたいこと」を、これから順次発表していくこと、だった。
なお、ひとつめはすでに達成した、今日のこの日本武道館ワンマンです、とのこと。うん、それはそうでしょうね。
客席をバックに記念撮影をしてから、もう一度深々と、長く、頭を下げてから、4人はステージを去った。MCで何度も何度も、本当に何度言っても言い足りないくらいの熱さで、オーディエンスへの感謝を伝えていた4人だったが、揃って頭を下げたその姿も、同じことを伝えているように見えた。
SET LIST
01.秋明菊
02.火花
03.修羅の巷
04.少年よ永遠に
05.Baby Baby
06.キラキラ
07.巡る巡る
08.1on1
09.LOVE
10.カラー・リリィの恋文
11.泡沫花火
12.胡蝶蘭
13.夜永唄
14.シルバーソルト
15.揺らめいて候
16.タイムファクター
17.ジュブナイルに捧ぐ
18.夜間飛行
19.illumination
20.クロノグラフ彗星
21.スケッチ