KIRINJI 20th Anniv. 堀込高樹に訊く、キリンジとKIRINJIの「19982018」

インタビュー | 2018.11.08 20:00

──98年8月に「双子座グラフィティ」でデビューした頃のことっておぼえていますか?

それが、あまり記憶に残ってないんですよね。早く自分たちの作品を出したい、音楽で食べて行きたいっていう気持ちはあったんですけど、具体的なヴィジョンとかはあまりなかった。今もないんだけど(笑)。とにかく、好きなように好きな作品を作りたいっていうことぐらいしかなかったかな。まあなかなかそうも行かないんですけど。『47'45"』を作る前くらいから、キャッチーでアッパーなものを求められるようになってきて。要はチャートの上位にランクインするようなヒット曲が欲しいということなんですけど。でも、キリンジって、もともとそんなアッパーな曲なんてあんまりない。自分の音楽趣味やキリンジそのものは、わりとマニアックな感じがあるじゃないですか。プロデューサーだった冨田(恵一)さんも含めて。なんとなく作っている側のムードは、そういうマニアックな方向に行ってるんだけど、周りからはもっとわかりやすいものを要求されるわけで。

──20年キャリアを積み重ねてきた今だったら、そういう意向を理解して作れるのでは?

うん、作れる、作れていると思いますよ。今のほうが、そういうことを考えてやっていると思います。KIRINJIのお客さんってこういう人が多いな〜とか、20年もやっているとだいたいわかってくる。フォークっぽいものはあまり好きじゃないんだとか、やっぱりメジャーセブンスとかマイナーナインスがないと嫌なんだ、転調しないと納得しないんだ、とか(笑)。それは、いつも意識して作っていると思いますね。

──でも、『47'45"』のリード・シングルだった「牡牛座ラプソディ」はキャッチーだったけど、アッパーではなかったですよね。

結局よくわかんないから好きなものを作るしかなかった(笑)。けっこうマニアックなアルバムになっちゃって、渋いと言えば渋いと言うか。でも、そのときはさほどマニアックだな、というような実感はなかったんです。そのときに一番良いと思ったものを出したい、ぐらいの考えしかなかったので。ヒット狙うとか考えてもできなかったし。

──最初の転機は「エイリアンズ」で訪れたと思うのですが。

ミックスに関してはアイデアを出したりしていますけど、この頃から分業になってきたんですよね。自分の曲は自分で完結させるというように。なので、同じグループの曲ですけど、やっぱり(堀込)泰行の曲という感覚が強いんですよね。

──でも、「エイリアンズ」が収録された『3』は手応えを感じたんじゃないですか?13曲あって、いろんなタイプの曲が入っている。曲のクオリティは高くなっていますし。

曲が長くなり始めたのも、そのぐらいからかな。8小節で完結するようなメロディみたいなものに当時は惹かれてたんですよ。その8小節の中にも山あり谷ありでそれが3パートぐらいあって、長い間奏があって、さらにその先にもうひとつメロディが来て、最後はサビをさらに展開させたコードが来るっていう。で、また長めのエンディングが来る、みたいな。その形がなんかもう、好きで好きで(笑)。『3』ができあがったときが、そのスタイルが完成したタイミングでもあるかもしれないですよね。1、2枚目は、まだシンプルだった気がするんですよ。『千年紀末に降る雪は』はわりとボリューミーな構成になってるし、『悪玉』は軽い曲だけど構成している要素はすごく多いし。

公演情報

DISK GARAGE公演

KIRINJI 20th Anniversary Live「19982018」

[L→R] KIRINJI、兄弟時代のキリンジ、堀込泰行

KIRINJI 20th Anniversary Live「19982018」
2018年11月9日(金) [大阪]Zepp Osaka Bayside SOLD OUT
2018年11月15日(木)16日(金) [東京]豊洲PIT SOLD OUT

出演:KIRINJI / キリンジ / 堀込泰行
■スペシャルゲスト:冨田恵一(キリンジ – Key)
■サポートメンバー:矢野博康(KIRINJI – Per/Manip)/ 伊藤隆博(堀込泰行・キリンジ・KIRINJI pt1 – Key)/ 真城めぐみ(堀込泰行・キリンジ – Cho) / 松江潤(堀込泰行 – Gt)

RELEASE

『愛をあるだけ、すべて』

13th ALBUM

『愛をあるだけ、すべて』

(Universal Music)
※初回限定盤】(CD+DVD)、通常盤(CD)の2携帯
2018年6月13日(水)SALE

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デビュー20周年を記念して、各社復刻盤、紙ジャケット盤など続々リリース!また、「レコードの日」にKIRINJIのオリジナル・アルバム3枚がアナログLPで一斉リリース!

●「エイリアンズ」(ワーナーミュージック・ジャパン) ※完全生産限定
2018年11月3日(土)SALE
●20th企画盤「キリンジ Melancholy Mellow I – 甘い憂鬱- 19982002 (LIMITED EDITION)」「キリンジ Melancholy Mellow II -甘い憂鬱-20032013 (LIMITED EDITION) (ワーナーミュージック・ジャパン)
2018年11月3日(土)SALE ※通常盤は11月7日 SALE
●「キリンジ SINGLES BEST ~Acchives 完全版」(CD+DVD)2018年11月7日SALE
●コロムビアからリリースされたキリンジ、馬の骨、堀込高樹のオリジナル作品が紙ジャケ仕様で20周年記念再発決定。
2018年11月7日(水)SALE
●Blu-ray「KIRINJI TOUR 2003 / LIVE at BUDOKAN」(Universal Music)
2018年12月5日(水)SALE

SPECIAL

期間限定コラボカフェ
『KIRINJI CAFE CHRONICLE “19982018”』

会場:下北沢・monarecordsおんがく食堂
会期:2018年11月2日(金)~2018年11月18日(日)
>>>詳細はモナレコードツイッター(@monarecords)でご確認ください。

  • インタビュー

    油納将志

  • インタビュー写真撮影

    近藤宏一

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