ЯeaLとしてこういうものを魅せたいから、それをたくさんの人に観てもらいたいという発想に変わった(Ryoko)
──Ryokoさんはバンド結成時からリーダーシップをとり続けてきてた訳ですか?
Ryoko
そうです。“私についてきたら売れるよ”というのをネットに書き込んでたら、それにつられてやってきたのがFumihaで。Fumihaに紹介されて、私が説得しまくって入ったのがAikaで。だから、バンドがしたくてバンドを始めたというよりかは、人に認めてもらいたかった。自分たちの存在意義を音楽を通してたくさんの人に知ってもらいたかった。それが目標やったんです。
──そのためにバンドを始めた、と。
Ryoko
はい。昔は見返したいとかの反骨精神がすごくあって。売れるためにはこうすればお客さんが増えるだろうとか考えるようになって、年表を作るようになったんですね。そうやってやってきて6~7年間でメジャーデビューまでたどりつき。いろんなタイアップもさせてもらって。
──「ポケットモンスター」に「銀魂」、「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」とメジャーなアニメ主題歌を手がけてきましたもんね。
Ryoko
ありがたいことに。それでたくさん自分たちを認めてくれる味方が増えてきたなかで、ライブが楽しくなくなってきてたんです。
──味方が増えて、反骨精神がなくなってきてたんじゃないですか?
Ryoko
そうなんですよ。ガールズバンドだからってなめんなよっていう反骨精神だけではステージに立てなくなってきてたというのが正解だと思います。仲間が増えて、なにくそ精神が減ってきてたんでしょうね。初めはお客さんに対してもそうやし、観てくれてる対バン、スタッフさんに対しても「私たちはこれぐらいできるんや。どうや!」ぐらいのテンション感やったんですよ。ライブの向き合い方が。だけど、それよりも感謝の気持ちが上まってきたときに、私たちは気持ちの変換がうまくできなくて、ライブのモチベーションが上がらなかったんやと思うんです。いま考えると。
──ああー、なるほど。
Ryoko
だけど4月に休んだときに、いつまでも反骨精神を持っていなきゃいけないって思ってたのも、私の固定概念やったことに気づいて。そこから私のなかでガチガチに固めてた鎖がちょっとずつほぐれて、MCのあり方もセトリのあり方もいままで1mmも構成は変えずにやってきてたんですけど。
──そこまでガッチガチにルールを決めてやってたんですか?
Ryoko
ルールというよりも、それが一番伝わる、売れる方法だと思い込んでたんです。それを当たり前のように継承してやってきたんです。どれだけFumihaに「頭からゆっくりな曲やってみようや」といわれても「いや。それじゃあライブが起爆せんから嫌や」って。
Fumiha
セトリは提案してたんですけど、何度いっても弾かれるんで諦めてました。
Ryoko
いままではそうだったんですけど、そこを試行錯誤しだしたんです。休み明けから。
──おぉー!大きな変化じゃないですか。
Ryoko
そこからはMCを減らしてみたりなくしたり、ライブのラストをエモ-ショナルではない曲にしてみたりいろいろチャレンジしだしたんですよ。
Fumiha
やっとな?
Ryoko
やっと(微笑)。そうしたら、意外とこういうのも悪くないんやなって思って。
──だはははっ(笑)。
Ryoko
と同時に、いままで自分がやってきたのも間違いではなかったんやなとも思って。そこでちょっと幅が広がって。そこからの対バンツアーやったんですよ。そこで、いろんなジャンルの方と対バンするにあたって自分たちの武器をどう使おうかと、対バン相手に合わせて新しいチャレンジができるようになって。そういうことを踏まえた上で書いたのが「Unchain My Heart」なんですよ。
──うわー。いま話してもらったことがこの曲のバックボーンになってるんですね。
Ryoko
こうじゃなきゃいけないという考えにがんじがらめになってたところから、初めて自分で鎖を切れたことを曲にしたのがこれなので、ちゃんといまの等身大のЯeaLを書けた曲やったんですね。それで、これをもって回ったのが年末のワンマンツアーやったんで。そこではMCはこうしようとかセトリはこうしようというのもメンバーといろいろ話し合いながら決めて。ここでは、初めてアンコールをやらないツアーをしたり。本当にいろんな新しいことをやりつつ、みんながバンドに向き合う時間が長かった1年やったと思うんです。それが、さっきAikaがいってたバンドマンやったというのにつながってるんやと思うんですけど。いままではある意味、こうじゃなきゃいけないというのに当てはめて、そこで平均点以上のものが出せるかということやったんですよ。けどいまは、今日のライブのテンション感はどうやったのか、見せかたは正解やったのか、セトリの流れやMCはどうやったのかとか。細かいところまでメンバーで考えて。
──話し合って相互の意見を聞くようになった、と。
Ryoko
そうですね。1年を通してそれができるようになって、ЯeaLの個性というものがだんだん見えてきたんじゃないかなと思います。これ、面白い話なんですけどね。去年1,2月頃、ライブについて悩んでた頃にメンバーと集まって話したときに私は「今年1年やってЯeaLの武器が分かんなかったらもうバンドはやめどきや」という話をしたんですよ。ЯeaLの武器は速い曲もできるしいい歌もうたえるしゆっくりな曲もできるしポップな曲もできればロックな曲もできる。なんでもできることだけど、私たち強みってなんなんだって聞かれたら答えられない。それを見つける1年にしようと2人に話したんですけど。いま考えると、それがほんまにできた1年やったと思います。たくさんの人に認めてもらうためにはこうするのがいいんだじゃなく、ЯeaLとしてこういうものを魅せたいから、それをたくさんの人に観てもらいたいという発想に変わったんです。
──発想が逆転した訳ですね。そこは。
Ryoko
そうですね。いままではとにかく早く売れたい、早く認められたいという一心でせかせかやってきてたのを。
──Ryokoさんってかなりのせっかちさんですか?
Aika
ええ。究極のせっかちです(笑)。
Ryoko
だけど、その結果よりも大事なことがあるんだということがいまは分かりました。バンドにどれだけ向き合うか。そこが一番大事なことなんやなというのが分かりましたね。だから、ちゃんとバンドマンしてたし、ライブも1本1本重みのあるものができましたね。