-真天地開闢集団-ジグザグ 『ジグザグ 大晦日の大禊!』
2025年12月31日(水)東京ガーデンシアター(有明)
開演前、場内には除夜の鐘が鳴り響き、ステージ左右に設置されたモニターには、ここまでに鳴らされた回数が刻まれている。おそらく108になるタイミングで何かが起こるのだろう。期待が徐々に高まっていく中、102……103……104……まで来たところで、カウントがストップ。ジグザグのメンバーによる影アナが始まり、そのまま場内が暗転する。あれは何だったのだろうか……という思いをよそに、聴き覚えのある祭囃子が鳴り響き、客席から大歓声が上がった。
ステージに並ぶ赤い灯籠に明かりがともされると、龍矢 -ryuya-(Ba)と影丸 -kagemaru-(Dr)が登場。バンドロゴが描かれた特大サイズの紅白団扇を振り回しているところへ、「愚かなるもの共よ! 待たせたな!」と叫ぶ命 -mikoto-(Vo)が、神輿の形を模したトロッコに乗って現れた。ステージを練り歩き、参拝者を大いに盛り上げると、そのまま1曲目の「あっぱれ珍道中」になだれ込む。
大量のスモークが噴き上がる中、会場が一体となって踊りまくる光景は、なんとも大晦日にふさわしい賑やかさだ。曲の最後に極彩色のレーザーが放たれると、ド派手なEDMナンバー「JAPPARAPAN ~Japanese Party~」へ。龍矢は華麗に舞いながら低音を響かせれば、タイトなビートを繰り出していた影丸は、曲の途中で持ち場を離れて走り回り、銅鑼を打ち鳴らす場面も。そんなパーティー感を煽るように、命はラップを織り交ぜつつ強烈なロングトーンを響かせ、客席の熱気をぐんぐん高めていく。続けてダンサブルな「いいこいいこして」へ。振り返れば、2025年は世相的にも暗い話題が多く、決していいことばかりではなかった人も多いだろう。生きていれば、いろんなことがある。そんな1年をそっと労うように、包容感たっぷりに音を届けていた。
そんなハッピーで賑やかな幕開けから一転、「Drip」を皮切りに、シリアスでラウドなブロックへ突入。「Guru」「Cry Out -victims-」と、時にテクニカルなフレーズを随所に盛り込みつつも、どっしりと安定した轟音を放つ楽器隊と、混沌とした世界を嘆き、憂いながら、生きる術を模索し葛藤するように、多彩なシャウトを繰り出していく命。切迫感を孕んだ音塊が、次々と投げかけられていく。そんな失意の底に立ちこめた暗闇を切り裂くように、未来を切り拓くように高鳴らされた「燦然世界」は、圧倒的なまでの熱と光に満ち満ちていた。
そんなロックバンドとしての芯の強さを持ちながらも、振り幅の広い楽曲で楽しませてくれるのが-真天地開闢集団-ジグザグだ。奇抜なメイクを施したメンバーたちが登場する自主制作映像を流しながら届けられた「顔が無理」や、続く「スマイル★かわいいねん」では、「誰だって可愛くなれる不思議な魔法があるんですよ!」と、サポートギターの菅野尋を含め、メンバー全員が楽器を置いて、参拝者と共に歌い踊る。シリアスな面とコミカルな面が同時に存在し、それぞれの方向へ全開で振り切っても成立してしまう。そんな、フツーのバンドでは到底できないこともさらりとこなせてしまうのは、彼らが卓越した演奏力と表現力の持ち主であるからこそであり、楽曲に多くの人の心を掴む圧倒的なキャッチーさがあるからであり、ここまでの月日の中で着実に積み上げてきた賜物でもある。そうした彼らのスタンスが存分に表れているのが、「P0WER-悪霊退散-」だ。テクニカルなフレーズを織り交ぜた凄まじい重音を豪快に疾駆させ、ユニークなパートを盛り込みながらも、サビでは大音量のシンガロングを巻き起こすメロディを放つ。プログレッシヴでありながらキャッチーで、強さと優しさを併せ持った言葉が胸を打つこの曲は、今のジグザグを物語るにふさわしいスケール感とメッセージが詰め込まれていて、とにかくドラマティックだった。
そんな高揚感に満ちた空気を、「最高だZ」が最大限に膨らませていく。曲タイトル通り、軽快でハッピーなのだが、なぜか胸が熱くなる。それは、彼らの楽曲の根底に流れている無常感や侘び寂びが、そうさせるのだろう。それを物語るように、命はこの日のMCで「今あることがずっと続くなんてありえない」と、ぽつりと呟いていた。「最高だZ」を終え、少し長めの間を置いた後、儚く響くピアノの音色とともに幻想的な空気がゆっくりと広がっていくと、叙情的なスロウナンバー「昴」を披露。儚くも美しいアンサンブルを響かせる中、命は胸の内を明かすように、ときに繊細に、ときに激情的に歌を届けていた。
凄まじい説得力を持った演奏はもちろん、この日は大晦日らしい演出でも盛り上げる。MCで龍矢、影丸、菅野が1年を振り返っていたところへ、命が除夜の鐘を運びながらステージイン。開演前に104回で止まっていたが、残り4回を突いて108にしようということで、菅野、龍矢、影丸、そして最後に命が乱打。無事に今年の煩悩を取り払うと、まだ午後8時前にも関わらず、「今年がもう終わりますよ!」とカウントダウンがスタート。ゼロになると「新年あけましておめでとうございます!」の声とともに銀紅白テープが発射されるという擬似年越しで参拝客を喜ばせた。そこから「苦しいこととか、腹立つこととかもあったと思います! 俺たちと一緒に復讐しようぜ!」と、ヘヴィナンバー「復讐は正義」を壮絶な熱量で叩きつけると、再び路線をがらりと変えてダンスナンバー「WAN WAN WONDERLAND」へ。龍矢がショルダーキーボードで音でも視覚でも彩りを添える中、途中でメンバー全員が犬に扮装して賑やかに踊り、「ワン」という犬の鳴き声でコール&レスポンスを繰り広げる。そして「ワンワンの次はコンコンや!」と「きちゅねのよめいり」を続けて演奏し、熱狂のピークを延々と更新していった。
大忘年会的なテンションで参拝者たちと禊を楽しんでいた3人だが、その意識は確実に10周年イヤーへと向かっているようで、MCではその話題がたびたび語られていた。
「一時は“ああもう終わったな”と思って、メンバーにも“ごめんなさい、もう売れません”って言ったこともあったんですよ。でも、やりたいことを好きなようにやって、自分たちがいいと思うことをやり続けて、10周年ぐらいに1000人ぐらいのところでやれたらハッピーやなぁと思っていたら、その2年後に武道館に立っていて。そういう大きな禊も1回だけじゃなく、横浜アリーナでもやらせてもらえて……なんてこった! 本当にやめなくてよかった。来年も、この先もずっとよろしくお願いします! ありがとう!」(命)
約束と誓いを交わすように「Promise」を高鳴らすと、それに共鳴するように客席からは大合唱が巻き起こった。そんな両者の絆をより深く、強く結びつけるように、間髪開けずに「Aria」が届けられると、「最後の曲です!」と「Nighty night!」へ。別れを惜しむように陽性なバンドサウンドを届けると、再びテープが空高く発射された。楽器隊が多幸感たっぷりに音を掻き回す中、命は何度も「ありがとう!」と、圧巻のメロディフェイクを響かせる。そんな感動的なエンディングとなった……と思っていたのだが、命が客席を見渡し、指で「もうちょっとだけ」とジェスチャー。歓喜に沸く客席へ向けて、ラストナンバーとしてこの日2度目の「あっぱれ珍道中」を投下。大量の紙吹雪が舞う中、会場全体が狂喜乱舞する大騒ぎで、最後には強烈な音玉が炸裂。ド派手に2025年を締め括った。
前述の通り、今年は本格始動10周年のアニバーサリーイヤーを迎える-真天地開闢集団-ジグザグだが、この日のライヴでその情報が続々と解禁された。新曲制作はもちろん、秋頃には初のベストアルバムのリリースが決定。6月からは47都道府県ツアーの続編がスタートする。さらには初の海外公演、そして10周年の集大成となる“10周年記念禊”の開催など、現時点で8つの特別企画が解禁されていて、話題に事欠かない1年になること間違いなし! ジグザグの10周年を思う存分味わい尽くしたい。
SET LIST
01. あっぱれ珍道中
02. JAPPARAPAN ~Japanese Party~
03. いいこいいこして
04. Drip
05. Guru
06. Cry Out -victims-
07. 燦然世界
08. 顔が無理
09. スマイル★かわいいねん
10. P0WER-悪霊退散-
11. 最高だZ
12. 昴
13. 復讐は正義
14. WAN WAN WONDERLAND
15. きちゅねのよめいり
16. Promise
17. Aria
18. Nighty night!
19. あっぱれ珍道中












