ひさびさのオリジナル・アルバム『ホームタウン』で最高のロック・サウンドに到達したアジカン!4人は今ほんとに好調そうで、目前に迫ったツアーへの気持ちも高まってきている様子である。話はこのアルバムのことからライブに向けての気持ち、そのマジな話の中にもジョークあり、ツッコミもありという、和気あいあいのムードで語ってくれました。
今回の作業ではサウンドの探求をみんなで共有できた部分があった(喜多)
──『ホームタウン』はとてもいいアルバムだと思います。今までの時点でどんなリアクションがありましたか?
伊地知潔(Dr.)ありがとうございます。今回は年上の方から「いいね」と言われることが多いですね。もちろん、若い子にも響いてほしいなと思いますけど……じわじわ来てるのかな?
山田貴洋(Ba&Vo)1曲目が「クロックワーク」だったのが良かったという感じは、なんとなく受けますね。いろいろな反応を聞いてると。
後藤正文(Vo&Gt)あと、「音がいいね」とは時々言われるかな。もっと褒めてほしいんだけど(笑)。
喜多建介(Gt&Vo)そうですね、サウンド面にこだわった部分を言ってくださる方もいるし。「今までとの違いがわかるよ」とかね。ファンの方に人気曲のアンケートをとったんですけど、それを見てもやっぱりゴッチの歌詞だったりメロディがいいという意見が多いんです。だからそっちも大事だなとは思うし、今回の作業ではサウンドの探求をみんなで共有できた部分があったので、両方、うまい具合にやっていけたらいいなと思いますね。
後藤でも(音の良さに関しては)聴いてもわかんないという人もいると思うからね。建ちゃんもわかってないでしょ?
喜多(笑)。でもゴッチも、最終的には普通に楽しんでほしいという気持ちがあるわけでしょ。そういうこだわりもあるけど。
後藤そうそう。サウンド云々はこっちの話であってね。
今はとにかく楽しい感じですね。ヘルシーな季節を迎えてるような気がします(後藤)
──でも、ちゃんと向かい合ってもらうと、低い音をポイントにしながら、いい音に仕上がってるのがわかると思います。で、ツアーまではもう少し時間がありますが、いまバンドはどんな感じでしょうか?
後藤今はとにかく楽しい感じですね。ヘルシーな季節を迎えてるような気がします。
山田このアルバムの曲もちょっとやりだしてはいるし。演奏してても、ポップだし、楽しい曲が多いのは感じますね。
喜多今までにこのアルバムの中からやってるのは「荒野を歩け」「ボーイズ&ガールズ」、あとこの前スペースシャワーTVの企画でフロアライブをやって、そこで初めて「ホームタウン」をやりましたね(このライブは1/26にO.A.予定)。あと1年ぶりに「スリープ」をやりました。
伊地知メンバーのコミュニケーションがうまくとれてるし、アルバムを作った楽しい感じがライブにも出てるなと思いましたね。このままいい感じでいければいいんですけど、ねえ?1回2回揉めたほうがライブもスキルアップしていくので。そのへんは戦いながら、長いツアーを乗り切りたいと思ってますけど。
後藤そんなことないよ。揉めないほうがいいよ!……って言ったら、なんか家族で揉めてるみたいだな(笑)。
ホールもライブハウスもできるバンドでありたい(伊地知)
──今回のツアーは前半がライブハウス、後半がホールと分かれていますね。
後藤どっちもやりたいと思ったんですよね。俺も人のライブ行くと「席あったほうがいいな」と思うようになってきたし(笑)、ホールだと音楽的なこともできるし。でもライブハウスはライブハウスの良さがあるからね。
喜多ライブハウスのほうは、ゴッチが選んだ若手を中心としたゲストバンドを迎えるので、そういうのも楽しみのひとつですね。
──そのゲストバンドはどんなアーティストになるんですか?
後藤Age Factory、Homecomings、ROTH BART BARON、Tempalay、MONO NO AWARE、折坂悠太、あとラッパーの唾奇です。
──えー!主にインディー・シーンで活躍してる、すごくいい顔ぶれですね。Homecomingsは畳野(彩加)さんが今回のアジカンの「UCLA」に参加してますね。
後藤どれも俺が好きな人たち、カッコいいなと思う人たちです。みんな素晴らしい作品を作ってるし、俺らも若い人たちと廻ったほうがいいなと思ったんですよ。彼らにはチャンスだしね。「アジカンのお客さん持ってっちゃっていいよ」みたいな(笑)。スピッツも「ロックロックこんにちは!」というイベントでこういうことをやってるけど、俺たちも若手から刺激をもらえるし、その若手にも開かれた場所が用意されるしね。まあフックアップといえばそうだけど、こういうことを少しでも広いところでやれたらいいなと思いますね。
喜多で、ツアーでは……アジカンは出したばかりのアルバムの曲を比較的やるほうだよね?
後藤やるよね。だって、その時しかやるチャンスがなかったりするんだもん。
山田ただ、ニューアルバムの曲を演奏していると、その感じでプラスアルファでやる曲も増えてくるからね。珍しい曲が入ってきたりするかもしれないし。前回の『Wonder Future』のツアーは『ワールド ワールド ワールド』の曲と相性がいいとか、そういうこともあったからね。
後藤今回のツアーでは「イエロー」を中心にしてね(笑)。で、黄色の照明だろうなあ。黄色のスポットライトが山ちゃんにドーン!と当たって(笑)。
──今度の「Can’t Sleep EP」(※初回生産限定盤に付属するCD)のほうで山田くんが作曲と初のボーカルで活躍している曲ですね(笑)。
伊地知難しそうだよな、あれを弾きながら歌うのは。
山田難しいんだよ。まだまともにライブで唄ったことないし、テンポも速いし。
後藤俺やろうか?ベース。
伊地知山ちゃん、ピンボーカル!
山田(笑)ええ~?
喜多そうそう!で、ゴッチがベース弾くの。大学生の頃やってたしね。
後藤そうだね。1曲ぐらいだったらできるでしょ?(笑)
伊地知(笑)まあホールもライブハウスもできるバンドでありたいですね。ライブハウスのほうが環境的にキツいこともあるけど、そこでもやり続けられるバンドでいたいなと思いますし。