高校生の頃、「LOUIS VUITTON」という有名なブランドの大きな看板を見た友達が『なにあれ?ルイス…ルイスバチューン?』と言ったのを何故だか思い出した。そんなよく晴れた3月にこの文章を書いている。
3月といえば卒業シーズンだ。
高校の卒業式もいい天気だった気がする。
中学高校と男子校だったからいわゆる学校での甘酸っぱい記憶なんてものは一切ない。
同じクラスの女の子と一緒に勉強だとか、修学旅行で夜抜け出して女の子のいる部屋に忍び込んだりだとか、バレンタインデーにそわそわだとか、合唱コンクールとかで『ちょっと男子!ちゃんと歌いなさいよ!』だとか…したかった。
僕らの過ごした学校生活ってのは、お鍋とコンロを持ってきてお昼休みに湯豆腐をしたりだとか、運動会の徒競走を全員でほふく前進でやるだとかそんなことばっかりだった。
なんだこれ。それはそれで結構楽しそうじゃないか。
もっと思い出さなければいけないことがたくさんあるはずなのに今はこんなものしか出てこない。
あの頃によく聴いていた音楽を引っ張り出してみよう。
音楽は時々タイムマシンのようなものになったりするから凄い。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「転がる岩、君に朝が降る」を聴いたら、初めて付き合ったあの子に振られて惨めだった日々に戻れた。
あの子とした『大人になったら結婚しようね』の約束も思い出したりして恥ずかしくて少し嬉しかった。
Ba&Cho.石川大裕
(2回/全3回)