cali≠gari第8期終了。解散を発表した新宿LOFTをレポート

ライブレポート | 2026.03.14 19:00

cali≠gari「3/4」
2026年3月4日(水)
新宿LOFT

1月25日(日)にEX THEATER ROPPONGIで開催した「cali≠gari TOUR18 FINAL “Lorem ipsum dolor sit amet,”」において、最新アルバム『18』のリリース・ツアーに幕を下ろしたcali≠gari。その終演間際に突如発表されたのがこの日のライヴ──3月4日(水)の新宿LOFT公演だ。彼らのライヴの告知にはその内容を示す何かしらのタイトルが添えられていることがほとんどだが、今回は「3/4」のみ。普段とは異なる空気を感じていたところに、桜井青(ギター)によるXのポストが何とも意味深で……。

「明日のGIG、急遽EX-THATERのゲネプロで決めて、あっという間の40日間。出来たらガリスト(cali≠gariのファンの呼称)には見て欲しいし、穏やかな春の日であって欲しいなと、そう思っている次第。人生の転換期かもしれないし、何も変わらないのかもしれない。人生は面白い。じゃ、明日。」

そんな言葉に胸騒ぎを覚えながら迎えた3月4日の当日。サポート・ドラムのササブチヒロシ、村井研次郎(ベース)、桜井、石井秀仁(ヴォーカル)の順でステージ上に現れた4人は、平常通りの風情だ。しかし、MCなしで本編を突っ走る近年のパフォーマンスとは異なり、この日はおもむろに桜井が口を開いた。

「2028年9月10日で第8期cali≠gari終了。解散します」

メンバーの登場でフロアから上がっていた歓声が、戸惑いのざわめきに変わる。……が、ステージから放たれるパワフルな音塊によって、躊躇いながらも突き上げられる拳が次第に増殖。オープニングは、2009年に期限付きで復活した際の置き土産『≠』から、久々の“散影”だ。4つ打ちを交えたスピーディーなグルーヴと鮮やかなキメの応酬でタフに走り切ると、続いては、桜井と石井の初の共作曲であるケルト&スパニッシュ調の疾走チューン“一つのメルヘン”へ。繊細なアンサンブルでフロアを惹きつけたあとは、『18』から“ニッポニアニッポン”と“東京亞詩吐暴威”を連打。ダイナミックなドラミング&ド派手なコーラスワークでグラマラスなエネルギーを放出したかと思えば、翳りのあるギター・サウンドとささくれ立った歌唱で場内を切なく酔わせる。

桜井青

その余韻を一気に吹き飛ばしたのは“トゥナイトゥナイヤヤヤ”。アレンジは2014年の舞浜アンフィシアター公演〈東京カリ≠ガリランド〉の配布音源バージョンだが、当時の桜井に「cali≠gariの第九」と言わしめたクラシカルな盛大さでその場を制圧していく。そこからシームレスに“落花枝に帰らず破鏡再び照らさず”に突入すると、ジャジーに加速するビートを介して密やかなエモーションが爆発。そのままインプロビゼーションに移行した村井と桜井は、ステージ前まで乗り出してフロアを扇動し、会場のヴォルテージをグイグイと引き上げていく。

石井秀仁

村井研次郎

そして、即興演奏は「“Hello, world!”」の一部をデフォルメした混沌へ。一旦、退場していた石井が淡々とした低温ヴォイスで「Lorem ipsum dolor sit amet,」と繰り返しながら再びステージへ現れると、妖艶な“夢遊病”、石井のファルセットに胸を掴まれる“さかしま -かさまし篇-”、新宿の危うい繁華街がよく似合う“東京アーバン夜光虫”を滑らかに繋ぎ、会場をムーディーな音空間に変貌させていく。そこからはスウィンギンな歌謡ロック“三文情死エキストラ”、これまた久々のお披露目となった狂騒のジャズ・ロック“ゼリー”と続けると、徐々に深遠かつ壮麗なアンビエンスが浮上してくる。

どこか宇宙的でもあるSEに導かれたのは、“淫美まるでカオスな”だ。キャッチーすぎて既聴感すらあるタイトルのフレーズと、レイヴィーなビートが天井知らずの昂揚感を膨らませる同曲から、セットリストは怒涛の90sダンス・タイムに雪崩れ込み。ほとんどシャウトのようにササブチ→村井→石井→自身の順でメンバー紹介を終えると、踊りながら会場を煽る桜井。さらにライヴ時のド定番である“マッキーナ”では、重音のジュリアナ・ロックがフロアに激しく揺れるジュリ扇の花を咲かせていく。

桜井青

村井研次郎

そうした途轍もなくハイな状態を包み込むかのごとく、続いてはニューロマ調のダンス・ポップ“セックスと嘘”。そこに多幸感のあるシンセ・サウンドがたなびく“ラストダンス”が連なると、ソフトなリヴァーブの彼方にドリーミーな儚さが漂いはじめる。

そんな、いつまでも浸っていたい夢の世界を引き継ぐ本編のラストは、“月に吼えるまでもなく”と“燃えろよ燃えろ”。ストリングスの音色を背に大陸的なスケールで駆ける前者と、エネルギッシュなビート・ロックをドライヴさせる後者が場内の熱気を沸騰させたところで、メンバーは退場した。

石井秀仁

アンコールは桜井によるMCから。

「思ったよりしんみりしてなくてよかったです(微笑)。いきなりの発表で皆さん困惑しているかと思いますが……(会場を見渡して)そんなに困惑してなさそうですが(笑)、私は困惑してるんですよ。人生いろいろあるんです。再来年、2028年の9月10日でこのバンドが終わるので、それまで全力で付き合ってください。2年半かけて、お前たちの通帳を空にするつもりでございます」

そんな言葉に、和やかな歓声で応える観客たち。あくまで通常運転なレスポンスが何ともガリストらしいが、それを受けて桜井は、9月11日(金)にはバンドの周年ライヴを、その後には東京と大阪でこれまでの作品を振り返るツアーを開催し、その間に作品のリリースもあることを告知していく。

「まだまだあります、2年半。一緒に遊びましょ」

そんなふうに語りかけると、この季節にぴったりの別れのシーンを穏やかな石井の歌唱で聴かせる“春の日”をプレイ。村井と桜井のソロも挿みながら込み上げるような叙情を掻き立てると、その切なさを払拭するようにトライバルなドラムとハード・ロッキンなギターが高らかに鳴り、ラストの“ブルーフィルム”へ。これまた久々のお目見えとなるバンドの代表曲だが、オーディエンスは即座に反応。歌詞の〈映写機〉というワードを模した、頭上で指をくるくると回す振り付けの波がフロア全体を覆い尽くすという一体感をもって、この日のパフォーマンスは終了した。

「2年半よろしくね! 体に気をつけて、健康診断受けてね!」
「終活始めるぞ!」

いち早くステージを後にした石井に続き、村井と桜井もそれぞれ観客に向かって声をかけながら退場。場内もいつもの空気感とそれほど変わらないように思えたが、誰もが動揺を抱えながら帰路についたことは、当日のSNSに溢れたコメントの数々にあきらかだろう。

筆者個人としては、〈いつ死ぬかわからない人生、楽しんだもん勝ち〉というメッセージが込められた“ラストダンス”、もう二度と会うことのできないカリスマに向けた追悼歌“月に吼えるまでもなく”、〈生〉なるエネルギーを燃やしながら我が道を往く“燃えろよ燃えろ”という、本編の締め括りの3曲にいま現在のcali≠gariが映し出されていたように思う。〈第8期終了、そして解散〉という表現の仕方に、〈この3人でなければcali≠gariは成り立たない〉というお互いへの信頼感が滲んでいる。

終演後、石井と桜井は自身のXでいまの心境とこれからへの思いを綴っていたが、バンドの状況とそれぞれの胸の内は、今後発表されるであろう新たな楽曲を通じて明かされていくようだ。9月11日(金)の新宿LOFT公演から始まる、彼らの終活はどのようなものになるのか。この先の2年半を見逃すことなく追いかけていきたい。

SET LIST

01. 散影
02. 一つのメルヘン
03. ニッポニアニッポン
04. 東京亞詩吐暴威
05. トゥナイトゥナイヤヤヤ
06. 落花枝に帰らず破鏡再び照らさず
07. Lorem ipsum dolor sit amet,
08. 夢遊病
09. さかしま-かさまし篇
10. 東京アーバン夜光虫
11. 三文情死エキストラ
12. ゼリー
13. 淫美まるでカオスな
14. マッキーナ
15. セックスと嘘
16. ラストダンス
17. 月に吼えるまでもなく
18. 燃えろよ燃えろ

ENCORE
01. 春の日
02. ブルーフィルム

公演情報

DISK GARAGE公演

<カリ≠ガリの終活、第一弾>
「結成33周年記念&ロフト50周年記念ライブ」

2026年9月11日(金)東京・新宿ロフト

<カリ≠ガリの終活、第二弾>
TOUR「Re(member):?」

2026年9月25日(金)大阪・梅田シャングリラ
2026年9月26日(土)大阪・梅田シャングリラ
2026年10月3日(土)東京・五反田BLAZE
2026年10月4日(日)東京・五反田BLAZE
2026年12月19日(土)大阪・梅田シャングリラ
2026年12月20日(日)大阪・梅田シャングリラ
2027年1月10日(日)東京・Shibuya WWW X
2027年1月11日(月祝)東京・Shibuya WWW X
2027年3月13日(土)大阪・大阪バナナホール
2027年3月14日(日)大阪・大阪バナナホール
2027年3月20日(土)東京・Shibuya WWW X
2027年3月21日(日)東京・Shibuya WWW X

  • 土田真弓

    取材・文

    土田真弓

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    マツモトユウ

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