兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第214回[2026年7月後半・HARRY & THE BIRTHDAY、フラカン『フォークの爆発』、ユニコーンなどの9本を観ました]編

コラム | 2026.08.19 17:00

イラスト:河井克夫

音楽などのライターである兵庫慎司が、自分が生で、もしくは配信で観たライブのすべてのレポを書いて、月二回ペースでアップしていく連載の、214回目=2026年7月後半編です。ロックバンドのライブも7本観ているものの、半月の間に二回、全日本プロレスに行く生活になってしまいました、とうとう。

7月17日(金)18:30 HARRY & THE BIRTHDAY @ SGC HALL ARIAKE

クハラカズユキの鼠径ヘルニアの治療で、1月〜2月の4公演が5月〜7月に振替になったHARRY & THE BIRTHDAYのツアー、その振替日程も終えたあとの7月17日に追加になったファイナル公演が、このSGC HALL ARIAKE。
HARRY(村越弘明)の曲のほか、The Street Slidersの曲では、「Let’s go down the street」は、トリビュート・アルバムでThe Birthdayがカバーしていたので、やるだろうなとは思っていたが、それ以外に「On the Road Again」と「Tokyoシャッフル」も演奏。The Birthdayの曲は、前半で「ALRIGHT」をやったし、アンコールでは「カレンダーガール」を、メンバー全員でリレーで歌った。そして、15曲目には、Thee Michelle Gun Elephantの「世界の終わり」も。そうだ、HARRYはこの曲、ずいぶん前からカバーしているんですよね。(出典はこちら ≫スライダーズ以来!ツインギターによる4ピースバンドツアー。村越“HARRY”弘明 TOUR 2017 “ BEAT FAST ”【横山シンスケのライブオアダイ】連載:第6回 ) さらに、HARRYがこのツアーのために書いた新曲「Gotta Move」も披露した。
それから。観る前は、この二組の音楽性やグルーヴ感って合うのかなあ、と思っていたのだが、そもそも自分が考えていたほど遠くなくて、どちらかがどちらかに寄せなくても自然に合うのだ、だから一緒にやることにしたのだ、ということが、観てよくわかった。
考えたら、フジイケンジがデビューしたバンド、THE BARRETTだしなあ。ということも、観ながら思い出したりした。1990年前後、タテノリ全盛だったバンド・ブームの中にあって、「若いのにヨコノリでブルージー」という点で、異彩を放っていたバンドです。フジイケンジの前のギターは、アイゴン(會田茂一)でした。

7月19日(日)11:30 全日本プロレス @ 後楽園ホール

半月に一回書くこの連載に、前々回・前回・今回と三回続けて出て来る全日本プロレスの大会、この日は神奈川〜東京×2〜神戸〜岐阜を回る『サマーアクションシリーズ2026』の2本目、後楽園ホール。今日もチケット完売、数ヵ月前ならクローズしていた2階バルコニーの立見席も、人でいっぱい。
全6試合のうち、5試合目と6試合目がタイトルマッチ。第5試合はアジアタッグ選手権試合で、王者組=アツハヤ(青柳亮生&ライジングHAYATO)に、安齊勇馬&小藤将太が挑戦。第6試合は世界タッグ選手権試合で、王者組=斉藤ブラザーズ(ジュン&レイ)に、真霜拳號&関本大介が挑んだ。
というこの2試合が、もう、すさまじく良かった。レスラー8人全員がベストバウト。中でもアツハヤ、自分が全日の試合に通い始めてから今日までの間で、一番だったかもしれないくらいだった。声がかれました。
他にも、諏訪魔&鈴木秀樹vs潮﨑豪&青柳優馬戦で、潮﨑からピンフォールを獲った諏訪魔が「次はシングルでやろう」と要求したり(8月29日EBARA WAVE アリーナおおた/大田区総合体育館で実現)、8月から始まる「ゼンニチJr.フェスティバル2026」の出場選手が発表になったり(デビュー時はジュニアヘビー級で、途中でヘビー級に転向した大森北斗が、ジュニアヘビー級に戻って参加)、それに出場するためにメキシコから初来日した謎のマスクマン=レオン・デ・オロが、この日、8人タッグのひとりで初めて全日のリングに上がったり──という、トピック多めの日。
それから。かつて全日のリングで活躍していたジョー・ドーリングが、脳腫瘍のため、6月26日に亡くなったことを受け、この日の第一試合の前に、出場選手全員がリングを囲んで、追悼の10カウント・ゴングを行なった。タッグ・パートナーだった諏訪魔が彼の遺影を、佐藤光留が(彼らの所属チームの)Evolutionのフラッグを持って、リングに上がる。なお、佐藤光留は、頸髄損傷と外傷性小脳梗塞で試合を休んでおり、全日のリングに立ったのは、2ヵ月ぶりだった。

7月19日(日)16:00 フラワーカンパニーズ @ 有楽町I’M A SHOW

毎年行なっているアコースティック・ツアー『フォークの爆発』(以下フォー爆)の東京編。今年のフラカンの『フォー爆』は、今までどおりのアコースティックのバンド編成と、歌とアコースティックギター1本と小物の楽器(振り物とか)で演奏する『フォークの爆発ミニマル巡業〜うたとギターとコーラスと〜』との二形態で行う、という新しい試みがなされている。6月に『ミニマル巡業』で4本、7〜8月にバンド編成で6本で、この日は後者の4本目。フラカンにとって初の会場である有楽町I’M A SHOW、満員で立見も出ている。
「足跡」「MY LIFE WITH A DOG」「アッチ向いてホイ」「40」「29」などなど、『フォー爆』ならではの曲、つまり普段のロック・バンド編成の時はなかなかやらない曲が多数で、とても楽しい。
特に、アンコールが「ロスタイム」と「宛てのない歌」だったのが、最高だった。鈴木圭介、本当に、いい詞を書く人だと思う。
それから、「『ミニマル巡業』用に作ったんだけど、『フォー爆』でもやりましょう」と、「How do you do?」という新曲も披露。あと、「カバー曲を」と、H₂Oの「想い出がいっぱい」を歌ったのには、ちょっとびっくりした。6月27日に真心ブラザーズの『青山フォーク村』で、マカロニえんぴつはっとり&真心が、この曲をカバーしたのを聴いたばかりだったので。リードボーカルは、鈴木圭介→ミスター小西→鈴木圭介でした。

7月20日(月祝)18:00 YAPOOL、the Tiger @ 下北沢BASEMENT BAR

YAPOOLとthe Tigerのスプリットツアー『WILD HORSES』のファイナル。ソールドアウト。どちらのバンドも初めてライブを観たが、どちらもおもしろかった、すごく刺激的で。
ものすごいざっくり分けると、YAPOOLは速くてタテでUK直系、the TigerはミドルでヨコでUS直系。でも共通しているのが、1980年より前 (=オリジナル・パンクまでの時代) のロックンロールであること。だというふうに、僕は受け止めた。
要は、自分が子供の頃に夢中になっていた、日本のロックバンドに近い感じなわけで、バンドよりもはるかに年上の(=僕がフロアにいても浮かないぐらいの)ファンが詰めかけているのも頷ける。
あと、ボーカルの強烈なキャラクターが、バンドをひっぱっていることも、共通するポイントだった。YAPOOLの石川蓮、歌も見た目もパンクとグラムが渾然一体となったみたいな感じで、とても華がある。the TigerのLinは、ハイトーンなのにドスが効いている、という、めずらしいタイプの歌い手。めちゃめちゃ声が出る、とにかく。ボ・ガンボス「さかなごっこ」のカバーも歌う。
アンコールは、2バンドのセッション状態で、ツアータイトルにした曲「WILD HORSES」(ローリング・ストーンズ)と「雨あがりの夜空に」(RCサクセション)の、カバー2曲をやった。そして、来年もこのスプリット・ツアーを行うことを発表した。

7月22日(水)18:30 全日本プロレス @ 新木場1st RING

全日本プロレスを観に行くのは、4日ぶり。「ジェーン・スーか俺は」と言いたくなる (スーさん、東京圏の会場では、ほぼ100%お見かけします)。今回は、新宿FACEよりも横浜ラジアントホールよりも狭い、「客席全部リングサイド状態」の新木場1st RING。その3列目で、全6試合を堪能した。
斉藤ジュンvs矢野安崇と、斉藤レイvs小藤将太という「体格差ありすぎシングルマッチ」の2試合でスタート。その2試合も、4日前が全日初参戦だったレオン・デ・オロと、メキシコでの活動経験があるセニョール斉藤のマスクマン同士のシングルマッチも、芦野祥太郎&大森北斗&田村男児vs羆嵐&吉岡世起&立花誠吾の6人タッグマッチも、宮原健斗&潮﨑豪&ライジングHAYATO vs綾部蓮&鈴木秀樹&MUSASHIの6人タッグマッチも、それはもうおもしろかったが、なんと言ってもこの日は、メインイベントが最高だった。
安齊勇馬&本田竜輝vs青柳優馬&青柳亮生のタッグマッチ。これ、安齊が大ブレイクした『バチェロレッテ4』のエピソード8の、安齊が、バチェロレッテの平松里菜に、自分がプロレスをしているところを観てもらう、というシーンと同じカードなのである。なぜ。そのシーンの撮影が行なわれたのが、ここ新木場1st RINGだから。
『バチェロレッテ4』の配信後、全日本プロレスは既にここで二回興行を行っている。このカードを組むのを、その二回じゃなくて今回にした理由は知らないが、たぶん、機が熟すのを待っていたんだと思う。で、それ、大正解だったと思う。
それに、『バチェロレッテ4』と同じカードを観れた、というだけでない。安齊勇馬と青柳優馬は、以前は「ダブルユーマ」としてタッグを組んでいたが、青柳優馬が2025年11月23日にクルマで衝突事故を起こし、しかも運転免許が失効中で、3ヵ月の謹慎になった。よって、その時ダブルユーマで出場中だった『世界最強タッグ決定リーグ戦』を棄権せざるを得なくなり、安齊は激怒。謹慎が明けて青柳優馬が復帰しても、敵味方に分かれたまま──という経緯があるのだが、一方で、安齊が全日本プロレスに入門した時に、新人たちのコーチをしていたのが青柳優馬で、安齊は彼にびしびし指導されて一人前になっていった、というバックボーンもあるのだった。
どうでしょう。観たいでしょ、そんな、ストーリーが幾重にもなった闘い。結果は安齊が青柳弟に、ギムレット(という安齊のオリジナルの必殺技)→エビ固めを食らわせて勝利、でした。

7月25日(土)19:00 brooks、Podenco、五雷王 @ 下北沢レトロニム

カフェでもありDJバーでもありライブハウスでもある、みたいな、下北沢のレトロニムという店で、Podencoというバンドが主催したイベント。彼らのほかに、brooksと五雷王が出演。
brooksは、今年6月の『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』において、「anna’s cradle」という楽曲で、「学生クリエイター奨励賞」を受賞しているバンドで、ベースが知り合い、というか高校の頃からの友人の息子、という縁で、久しぶりに観に行った。
そしたら、すっごく良くなっていて驚いた。R&Bやサイケなど、「洋楽のこのへんが好きです」というのがわかりやすい英語の歌と、オリエンタルなメロディの日本語の歌が同居しているバンドで、特に後者がとても耳にひっかかるというか、もう一度聴きたくなる。MCなし・表情なし・アクションなしで、淡々と歌い続ける女性ボーカルもいいし、他のメンバー(ギター・ベース・ドラム・キーボードで、全員男性)の佇まいも魅力的だし。次はもっと早めに観に来ようと思った。
主催のPodencoは、歌ものサイケデリック・アシッド・フォーク(そんな言葉ないけど)みたいな音楽性だが、ボーカルのマイクの音量が小さくて歌詞が聴き取りにくく、「ああもう!」と思った。しかし、家に帰ってサブスクに上がっている2曲を聴いてみて「あ、こんなにいい曲だったのか!」となった。もう一度観たい。
で、五雷王は中国のバンドだそうで、タイムマシーン3号の関太の目の奥の闇を抜いて身長を大きくしてドレッドヘアにしたみたいなルックスのボーカルの男は(途中でドレッドヘアを脱いでカツラであることを明かした)、歌は中国語でMCは英語だが、メンバーは日本語をしゃべる。音はレゲエで、ボーカルはアコーディオンを弾きながら歌う、ドラムも時々歌う、という、個性の塊みたいなバンドだった。おもしろい。最後の1曲でPodencoのボーカルも参加。
なお、こういうイベントって、普通、主催のバンドがトリをやるもんだけど、この日はPodenco→五雷王→brooks、という順番だった。不思議。

7月28日(火)19:00 カーネーション、堀込泰行(Band Set) @ 渋谷クラブクアトロ

『PLAY VOL.168』というイベントで、カーネーションと堀込泰行が対バンという、すばらしい組み合わせ。先にステージに上がった堀込泰行は、3曲目に歌った曲を、「『愛しのルーティーン』というね、ほぼライブでやってない曲を」と紹介する。
「あんまりライブでやってないから、僕がどこを間違えたかわかってないでしょ」。間違えたんですね。「あんだけスポットライトが当たるとね、間違えるのも予定調和ということでね。いいオチがついたかな、ということにしておきましょう」。そうですか。そうですね。「さあ、そんなことで落ち込んではいられず、今日は曲をどんどんやっていきたいと思います」。落ち込んでたのか。と、いちいち返事をしたくなる、絶妙なテンポ感でライブを進めていく。
後攻のカーネーションは、一回目のMCで直枝政広、「今日、ノドがダメなんですよ。だから、みなさんが歌ってくれないと」と言うほど、コンディションがバッドな状態。まんなかよりちょっと上くらいの音域が、特に厳しそう。悪戦苦闘しながら1曲1曲歌っていくが、MCを端折ったりせず、ちゃんとしゃべる。で、「意外とMCになると平気だね。でも歌うとねえ……」と嘆いたりする。
10年前にも同じことがあった、それよりもっと前に京都で声が出なくなったこともあって、その時はFM802の生中継が入っていた──という話をベースの大田譲としながら、声をあげて笑っては、「あ、ダメだ、笑ってノド使ってどうすんだ」と己を諌める、ということを、3回ぐらいぐらいくり返して、一緒に笑えばいいのか、心配すればいいのか、わからない気持ちにさせられたりもする。
「今日(のセットリスト、歌うのが)厳しい曲ばっかりなんだよな。でもやるぞ!」と言いつつ、(おそらく)曲をカットしたりすることなく、本編10曲を完走した。3曲目には「市内観光」という新曲もあり。本編ラスト前の「やるせなく果てしなく」のサビで、直枝の代わりに曲を成立させようと、オーディエンスが声を限りに歌うさま、かなり感動的だった。
で、最後に「Edo River」で終わり、と思ったら、アンコールを求める手拍子が起こる。え、まだ歌えっていうの?酷すぎない?と思ったが、ちゃんと出てきて、「夜の煙突」を追加した。この曲も、オーディエンスも、メンバーも、全員で歌った。

7月29日(水)18:30 ユニコーン『UNICORN ABEDON60祭「アベドンクエスト60〜勇者ヨシフィコ そして還暦へ〜」』 @ パシフィコ横浜 国立大ホール

メンバーの還暦の誕生日の度に行ってきた『60祭』の最終回=ABEDONの回、パシフィコ横浜2デイズ(誕生日は2日目)。 その1日目を観て、DI:GA ONLINEにレポを書きました。

ユニコーン、還暦シリーズの集大成!ABEDON60祭@パシフィコ横浜を観た

7月30日(水)18:00 『70号室の住人LIVE!!!! THE GARAGE』ハシリコミーズ、エルスウェア紀行、スーパー登山部、サニーデイ・サービス MC:遠山大輔(グランジ)@ Spotify O-WEST

TOKYO MXのグランジ遠山大輔の番組『70号室の住人』のイベント。過去の3回は豊洲PITやぴあアリーナMMで行なわれてきたが、今回の『THE GARAGE』は新シリーズで、若手バンド中心で、ライブハウスでの開催である。
オフィシャルレポを書きました。

どのアクトにも熱い反応!「70号室の住人」の新たなライブイベント「THE GARAGE」【ライブレポート】

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    兵庫慎司

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