兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第169回[2024年9月前半・京都MUSEの怒髪天ピーズフラカンや、ひたちなかのエレカシなど6本を観ました]編

コラム | 2024.10.08 17:00

イラスト:河井克夫

音楽などのライター兵庫慎司が、自分が観たすべてのライブのレポを書いて月二回ペースでアップしていく、ライブに行った日だけ書く日記のような連載の、169回目=2024年9月前半編です。
今回は、9月14日(土)に京都MUSEでCAPITAL RADIO ONEの25周年イベント(怒髪天、ピーズ、フラワーカンパニーズ [Welcome act] SKY)を観て、翌朝、京都から品川までのぞみ214号、品川から勝田までときわ59号、勝田からシャトルバスで国営ひたち海浜公園のROCK IN JAPAN FESTIVALに到着、という移動が、自分的にはなかなかないことで、新鮮でした。普段は東京からどっかに行って、どっかから東京に戻って来る、というシンプルな移動がほとんどなので。

9月1日(日)18:00 あらかじめ決められた恋人たちへ @ 新代田FEVER

あらかじめ決められた恋人たちへ(以下あら恋)プレゼンツの『残像の夜に vol.6』。あら恋、downt、CARTHIEFSCHOOLの3アクトが出演、あら恋にはVJでrokapenisが入る、というイベント。
3つとも観るつもりで、開演前に行ったのだが、あら恋以外は見逃してしまった。なんで。古い知人とばったり出くわして。20年ぐらい前の一時期、数社が関わる同じチームで一緒に仕事をしていたが、僕が異動になったり、その後、お互いが会社をやめたりして疎遠になり、10年ぶりぐらいにFEVERで偶然会ったのだった。
お互い「おおおー!」となって、POOTLE(FEVERのロビーにあるカフェ)で、話し込んでしまった。彼は奥さんと一緒で、紹介されたりもした。そうか、結婚したのか。するよそりゃ。当時は20歳そこそこだった彼も、オーバー40だし。いつの間にか僕らも若いつもりが年をとった。それでも俺より一回り以上若いんだけど、彼は。
で、あら恋。1ヵ月前に、フジロック最終日の深夜、ピラミッド・ガーデンのトリで観たばかりだが、その時に輪をかけてすばらしい時間だった。もともとジャンル的にこのあたりの音が好き、フロントマン(池永正二)がギタリストとかじゃなくて「鍵盤ハーモニカを吹くのとなんか機材をいじるのと踊っていてたまに叫んだりする人」なのがいい、リズム隊のふたり(ベース劔樹人とドラムGOTO)のプレイと佇まいが好み、テルミンとパーカッションなど担当のメンバー(クリテツ)がいるのが素敵、ギター(オータケコーハン)が時折ロックなテイストになるのも効いてる、PAもメンバーなのも好ましい(石本聡)、あと劔樹人の著作が出たらいつもすぐ買う──などなど、脳内で、自分があら恋を好きな理由を、いろいろ反芻しながら楽しんだ。最後のはあら恋のライブには関係ないか。とにかく、ずーっと観て・聴いていたくなるし、どれだけ観ても、ライブが終わると「え、もう終わり?」と思う。
なお、この9月1日に、新曲「Nokuoto feat.山内真紀」がリリースされた。歌ものもいいのよねえ。8月14日に出た、曽我部恵一の『ハザードオブラブ』を、あら恋がダブミックスしたアルバム『HAZARD OF DUB』も最高だったし。8月14日(水)下北沢440の曽我部恵一vs大武茜一郎のライブの日が、ちょうどその発売日で、物販でアナログ盤が売られていたので、並んで買いました(この日 ≫ 兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第167回[2024年8月前半・佐野元春、カネコアヤノ、ホルモンvs生田斗真などの7本を観ました]編)。

9月9日(月)18:00 新日本プロレス @ 後楽園ホール

東京ドームとかのビッグマッチじゃなくて、平日に後楽園ホールでやっている新日本プロレスの普段の興行を、たまにはちゃんと観ておかないといけないんじゃないか。という謎の衝動にかられて、ネットでチケットを買ってひとりで観に行くことが、年に1〜2回ある。それの、今年における1回目が、この日でした。後楽園ホール、6月10日にも来たが、その時は「普段の興行」ではなかったし(この日です ≫ 兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第163回[2024年6月前半・デスペ自主興行、宮本浩次、くるり、やついフェス1日目などの6本を観ました]編)
で。新日の後楽園ホールって、たとえばコロナ禍のより前の頃は、たぶんお客さんが「お目当てのレスラーが出なかった」と不満を持たないように、という配慮からだと思うが、その日に出られるレスラーの数を、とにかく多くするために、4人タッグとか5人タッグとかの大人数の試合がやたら多くて「せっかくライガーいるのに出番少ないよ、もっと見せてくれよ」と思う、というようなことも、けっこうあったのだが。
大当たりでした、この日は。そういう「人数多すぎ」みたいなこともなかった上に、第0試合(開場〜開演までの間にやる試合)から第8試合までの全9試合、バリエーションに富んでいて、おもしろい試合ばかりで。
特にメインイベント=NEVER無差別級選手権試合、第45代チャンピオンHENAREvs高橋ヒロム戦が、最高だった。25分02秒、Street of Rageからの片エビ固めでHENAREが勝利、初防衛を飾ったのだが、特に中盤から後半にかけて「いや、ヒロム、死ぬって、こんな試合を後楽園ホールでやってたら!」と叫びたくなるくらいの大熱戦で。いや、「叫びたくなる」じゃないわ、実際に何度も叫んだので。

9月12日(木)19:00 GRAPEVINE、betcover!! @ EX THEATER ROPPONGI

GRAPEVINE仕切りの対バンイベント『MAGNIFIK』の今年二回目で、betcover!! と共演。ぴあ音楽にレポを書きましたので、ぜひ。
GRAPEVINE×betcover!! 異なる世界観で観客を圧倒させた、一夜限りの対バンライブをレポート

9月14日(土)17:30 CAPITAL RADIO ONE 25周年大感謝祭 DAY2(怒髪天、フラワーカンパニーズ、ピーズ、SKY) @京都MUSE

さまざまなバンドのTシャツや、『京都大作戦』などのフェス/イベントのTシャツのデザインを手掛けている、CAPITAL RADIO ONE 25周年大感謝祭のイベント2本のうちの、2本目がこの日。1本目は9月5日(木)KBSホールで、10-FEET・ROTTENGRAFFTY・四星球が出演した。
この2本目の日、CAPITAL RADIO ONEの依頼で、オフィシャルレポを書きました。アップされたら貼ります。各バンドのパフォーマンスの前のCAPITAL RADIO ONE代表梶健治の前説が毎回爆笑だったり、各バンドのパフォーマンスがいちいちすばらしかったり、その上フラカンはこのステージで2025年9月20日に10年ぶり二度目の日本武道館を行うことを発表したり──と、ネタが豊富すぎて、自分でもちょっとどうかと思うくらい長く書いてしまいましたが、ぜひ。

9月15日(日)14:00 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA の2日目(04 Limited Sazabys、エレファントカシマシ) @ 国営ひたち海浜公園

CAPITAL RADIO ONE25周年イベント@京都MUSEの翌日だったもんで、早起きして京都からひたちなかまで大移動した結果、14:00からの04 Limited Sazabysに間に合うのがギリだった。
かつ、その後さらに別の仕事もあって、フォーリミの次のエレファントカシマシが終わったら、すぐ帰らないといけなくて、その2バンドしか観れなかった。トリ、ELLEGARDENだったのに!この3週間前に『MONSTER baSH』で観たけども。うー。
で、フォーリミ、最初のMCでGENが「ひたちなか、こんな感じだったね。『ただいま』と『お帰り』と『ありがとう』の気持ちでいっぱいです」と言ったりして、「くぅー、わかる」などと言いたくなった、こっちも。
エレファントカシマシは、宮本浩次ソロの時は決して観られない、宮本が本来の曲のテンポよりもめっちゃタメたり、逆にめっちゃ前のめりに突っ走ったりして、演奏と合わなくなるところを、バンドがアドリブで必死に付いて行く、という、「そうそう、これこれ、こうじゃなきゃ!」という瞬間を何度も観れて、うれしかったです。
ちなみに、フォーリミを観終わった後、バックステージで、この日のエレファントカシマシのサポート・キーボード、奥野真哉fromソウル・フラワー・ユニオンに出くわした。「あれ?なんでもうおんの?昨日京都ちゃうかった?」と言われました。おそるべし、SNS社会。

9月16日(月・祝)15:00 TOKYO CALLING 2024 SHIBUYA(帝国喫茶) @ 渋谷クラブクアトロ

9/14新宿、9/15下北沢、9/16渋谷の複数のライブハウスで開催された、サーキットイベント『TOKYO CALLING 2024』の3日目=渋谷編の、15:00からのクラブクアトロに出演した、帝国喫茶を観に行った。翌日に、このDI:GA ONLINEのインタビューが決まっていたので、その前に観ておきたくて。
で。観ておいてよかった。3月31日に静岡UMBERで観た時(この時 ≫ 兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第158回[2024年3月後半・GLIM SPANKY、ハナレグミ、Saucy Dogなどの9本を観ました]編 )とは、さらに感じが変わっていて。ボーカル&ギター杉浦祐輝、普通にギターを弾きながら歌っているんだけど、目つきや立ちふるまいが何か違う、以前とは。キモが据わったというか、何かがわかった、もしくは何かをつかんだ、というか。メンバーもストレートに音楽愛を爆発させるパフォーマンスの方向に進んでいる気がした。
で。帝国喫茶だけ観て帰るのももったいないので、そのあと数時間、タイムテーブルを見ながらライブハウスを移動し、いくつかバンドを観た。O-EASTの打首獄門同好会は、大澤会長が、今日のこのステージのアクトで自分たちが圧倒的に最年長であること、今日は敬老の日なので祝日なのは自分たちのおかげであることを力説して、爆笑をとっておられました。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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