ASIAN KUNG-FU GENERATION、「Anniversary Special Live “ファン感謝祭2024”」にみた、バンドとオーディエンスの間にある確かな信頼

ライブレポート | 2024.09.03 18:00

ここで後藤が登場し、メンバー紹介。伊地知に対する「最初の頃はすごいチャラチャラしてたけど(笑)、彼がもたらしてくれた音楽的な進化は、自分にとってもバンドにとってもとても大きく、素晴らしいものがありました」という後藤の言葉に、会場からは大きな拍手が沸き上がった。
さらにコーラスのAchico(Ropes)、キーボードのGeorge(MOP of HEAD)が加わり、伊地知のドラムソロに導かれた「ブルートレイン」からライブは後半へ。「十二進法の夕景」「迷子犬と雨のビート」、そして、「Re:Re:」「リライト」。キャリアのなかでトライ&エラ―を重ね、ときに躓きそうになりながらも、自らの音楽を前進させ続けてきた彼ら。この日のライブからは、4人がもがき、悪戦苦闘しながら獲得してきた“今”の音がダイレクトに伝わってきた。

Achico(Cho/Ropes)

George(Key/MOP of HEAD)

ここで後藤は観客に向かってゆっくりと語り掛けた。
「本当にいろんなことがありましたけど、潔が入って25年。ここに立てていることをうれしく思います。ステージの上では“自分はスーパーマンじゃない”と思わせられることが多いです。だけどこの3人と出会って、自分のなかで思ってもないところが開いていく感覚があって。それはたぶん他のメンバーも同じで。もしかしたら今日参加してくれてるみんなも同じかもしれない。そう思うと、本当にASIAN KUNG-FU GENERATIONをやっててよかったなと思います。ありがとう」

本編の最後は「転がる岩、君に朝が降る」。〈僕らはきっとこの先も/心絡まってローリング ローリング〉というフレーズが高らかに響き渡り、観客のテンションも最高潮に。映像のメッセージ性──世界で起きている争い、震災、分断を映し出した──も強く心に残った。(ステージの上に“Stop The Genocide in GAZA”と書かれたボードが置かれていたことも記しておきたい)

オーディエンスの手拍子に導かれ、まずは後藤が一人でステージへ。後藤が立ち上げたNPO法人「アップルビネガー音楽支援機構」のクラウドファンディングを告知した。これは静岡県藤枝市内にアーティスト支援のための滞在型音楽制作スタジオを建設するにあたり、その改築を目的にしたもの。期間は2024年9月27日~12月15日までとなっているので、ぜひチェックしてみてほしい。
アップルビネガー音楽支援機構

アンコールでも、すべてがハイライトと称すべき場面が続いた。まず披露されたのは、未発表の新曲「MAKUAKE」。“またここから始まる”という意思を込めたロックンロールは、この先のアジカンの未来をしっかりと照らしていたと思う。そして「All right part2」にはGuestとして橋本絵莉子が登場!凛とした橋本のボーカルによって、楽曲に鮮やかな彩りを加えた。

後藤正文・Guest 橋本絵莉子

「まだまだここから10年くらいは転がっていきたいと思います。最近“推し活”ってあるじゃん。俺はああいう関係より、もっと緩いほうが好きで。たまたま“ここに居合わせた”みたいなさ。みんなが知らない俺達もいるし、俺たちもみんなのことを知ってるわけじゃない。そういう絶妙な塩梅のなかで、たとえば俺たちが30周年を迎えたとき、またこうやって同じ時間を過ごせたらうれしいです」
そんな言葉の後で演奏されたのは「海岸通り」。切ないエモーションをたたえたメロディが広がり、ライブは大団円……と思いきや、鳴り止まない拍手に応え、4人が再び登場。「このあとはチケット料金には含まれておりませんので 」(後藤)と極上のパワーポップ「柳小路パラレルユニバース」を放ち、客席は狂喜乱舞。最後はメンバーが客席に降りて挨拶をし、ライブはエンディングを迎えた。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONは9月末から全30公演の全国ライブハウスツアー Tour 2024「ファン感謝サーキット」を開催。9月30日のF.A.D YOKOHAMAを皮切りに、北海道から鹿児島まで23都市を回る。ファイナルは12月18日、19日の東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)。あなたにとってアジカンとはどんなバンドなのか?各地のライブ会場でぜひ、そのことを確かめてほしいと思う。

SET LIST

01.遥か彼方
02.羅針盤
03.夏の日、残像
04.ワールドアパート
05.路地裏のうさぎ
06.バタフライ
07.センスレス
08.橙
09.君という花
10.ソラニン
11.ボーイズ&ガールズ
12.ウェザーリポート(Cosmostudio)
13.冷蔵庫のろくでもないジョーク(Cosmostudio Loves 潔)
14.ブルートレイン
15.ムスタング
16.無限グライダー
17.或る街の群青
18.十二進法の夕景
19.未だ見ぬ明日に
20.迷子犬と雨のビート
21.Re:Re:
22.リライト
23.転がる岩、君に朝が降る

ENCORE
01.MAKUAKE(新曲)
02.All right part2 Guest/橋本絵莉子
03.海岸通り

W ENCORE
01.柳小路パラレルユニバース

公演情報

DISK GARAGE公演

ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2024「ファン感謝サーキット」

2024年9月30日(月)神奈川 F.A.D YOKOHAMA
2024年10月2日(水)恵比寿 LIQUIDROOM
2024年10月5日(土)札幌 PENNY LANE24
2024年10月6日(日)帯広 MEGA STONE
2024年10月10日(木)金沢 EIGHT HALL
2024年10月11日(金)長野 CLUB JUNK BOX
2024年10月13日(日)新潟LOTS
2024年10月19日(土)香川 高松festhalle
2024年10月24日(木)福岡DRUM LOGOS
2024年10月26日(土)熊本B.9 V1
2024年10月27日(日)鹿児島 CAPARVO HALL
2024年10月31日(木)茨城 水戸 LIGHT HOUSE
2024年11月1日(金)福島club SONIC iwaki
2024年11月3日(日祝)宮城 石巻BLUE RESISTANCE
2024年11月4日(月祝)岩手 大船渡 KESEN ROCK FREAKS
2024年11月13日(水)14日(木)Zepp Shinjuku(TOKYO)
2024年11月20日(水)21日(木)大阪 味園ユニバース
2024年11月23日(土祝)京都 磔磔
2024年11月24日(日)兵庫 神戸 Harbor Studio
2024年11月29日(金)愛知 名古屋 DIAMOND HALL
2024年11月30日(土)岐阜club-G
2024年12月4日(水)宮城 SENDAI GIGS
2024年12月7日(土)8日(日) 静岡 藤枝市民会館〈追加公演〉
2024年12月12日(木)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2024年12月13日(金)広島 CLUB QUATTRO
2024年12月18日(水)19日(木)Zepp DiverCity(TOKYO)

RELEASE

映像作品集20巻~ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2023「サーフ ブンガク カマクラ」~

ライブBlu-ray

映像作品集20巻~ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2023「サーフ ブンガク カマクラ」~

2024年9月25日(水)SALE

INFO

後藤正文が創設「アップルビネガー音楽支援機構」
滞在型音楽制作スタジオ建設のクラウドファンディング実施

 

今回クラウドファンディングは、新しいアーティスト支援のコミュニティーを目指し、明治時代から残るお茶の倉庫をレコーディング・スタジオに改修する費用と宿泊施設の改修を目的として「5,500万円」の目標金額を設定。改修費を上回る支援が集まった際は「Music Inn Fujieda」の運営費に充てられる。

 

支援受付期間:2024年9月27日(金)〜2024年12月15日(日)
※9月30日(月)~スタートとなる、Tour 2024「ファン感謝サーキット」の各会場でプロジェクト支援の為の募金箱を設置予定

  • 森朋之

    取材・文

    森朋之

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  • 山川哲矢

    撮影

    山川哲矢

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