ASIAN KUNG-FU GENERATION、「Anniversary Special Live “ファン感謝祭2024”」にみた、バンドとオーディエンスの間にある確かな信頼

ライブレポート | 2024.09.03 18:00

ASIAN KUNG-FU GENERATION
Anniversary Special Live “ファン感謝祭2024”
2024年8月24日(土)25(日)横浜BUNTAI
※取材は2024年8月25(日)に実施

ASIAN KUNG-FU GENERATIONが8月24日(土)、25日(日)、横浜BUNTAIで「Anniversary Special Live “ファン感謝祭2024”」を開催した。
伊地知潔(Dr)加入25周年、昨年デビュー20周年を迎えたことを記念して行われた今回のライブは、“この日、演奏してほしい曲”のリクエスト結果をもとに構成。アジカンからファンへの感謝がたっぷりと込められたステージとなった。その根底にあるのは、バンドとオーディエンスの間にある確かな信頼だった。

会場に入ると、横長のステージが目に入ってきた。スクリーンには四棟の団地(「君という花」のMVと同じ建物を、今回のライブのために新たに撮影したそうだ)、そしてステージには植物が生い茂っている。ライブのなかで後藤正文(Vo&Gt)が「土手と河川敷がモチーフ」と明かしていたが、これは彼らの原風景であり、ライブと日常が地続きであることを表現しているのだろう。

開演時間を過ぎると夕暮れを想起させる映像が映し出され、少しずつ客席の照明が落とされる。そして、後藤正文、喜多建介(Gt&Vo)、山田貴洋(Ba&Vo)、伊地知潔がステージに登場。山田の骨太のベースラインからはじまる「遥か彼方」でライブは幕を開けた。さらにスクリーンにバンド名が映され、「羅針盤」へ。「遥か彼方」「羅針盤」は1stミニアルバム『崩壊アンプリファー』(2003年)の1曲目と2曲目。まさにアジカンの原点だ。続いて披露されたのは、リクエスト1位を獲得した「夏の日、残像」。1stフルアルバム『君繋ファイブエム』に収録されたこの曲は、シングルでもなければタイアップ曲でもないが、リリース当初からファンの間で強く支持されてきた。社会の入り口に立った青年期の葛藤を描いたこの曲は、発表から20数年が経った現在も、生々しいリアリティとともに我々の心を揺さぶり続けている。拳を上げ、熱唱するオーディエンスを見ながら、そのことを強く実感した。

後藤正文(Vo&Gt)

喜多建介(Gt&Vo)

山田貴洋(Ba&Vo)

伊地知潔(Dr)

「“これ聴きたかったわ”という待ってました感はうれしいんだけど、俺の喉だけはうれしくない(笑)」「ここ1年くらい、手が上がらなくなったり、体的に苦しんでいたんだけど、ここにきてだいぶ戻ってきて。聴いてもらえればわかると思うけど、“あいつ、声出てるんじゃないか”って」
という後藤のMCの後も、「センスレス」「君という花」などの代表曲、人気曲を次々と演奏。オアシスをはじめとする90年代の洋楽ロックの影響を強く受けながら、日本語によるギターロックの新たな可能性を切り開いたアジカン。深みを増したバンドサウンドによって、その豊かな功績を改めて体感することができた。言うまでもなく、そのことが今回のライブの醍醐味だったと思う。

後藤正文(Vo&Gt)

喜多、山田、伊地知がバックステージに下がり、後藤は階段を上って“土手”の上へ。アコギを手にした後藤は「ソラニン」「ボーイズ&ガールズ」を弾き語りで披露。特に40代半ばになった後藤が歌う〈はじまったばかり/We’ve got nothing〉(「ボーイズ&ガールズ」)というフレーズには強く感じ入るものがあった。

続いて、喜多&山田によるユニット“Cosmostudio”が後藤と喜多が作曲の「ウェザーリポート」、さらに伊地知も加わり、伊地知と後藤が作曲の「冷蔵庫のろくでもないジョーク」も。普段のワンマンとは違う“ファン感謝祭”に相応しいステージが繰り広げられた。

Cosmostudio

Cosmostudio Loves 潔

公演情報

DISK GARAGE公演

ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2024「ファン感謝サーキット」

2024年9月30日(月)神奈川 F.A.D YOKOHAMA
2024年10月2日(水)恵比寿 LIQUIDROOM
2024年10月5日(土)札幌 PENNY LANE24
2024年10月6日(日)帯広 MEGA STONE
2024年10月10日(木)金沢 EIGHT HALL
2024年10月11日(金)長野 CLUB JUNK BOX
2024年10月13日(日)新潟LOTS
2024年10月19日(土)香川 高松festhalle
2024年10月24日(木)福岡DRUM LOGOS
2024年10月26日(土)熊本B.9 V1
2024年10月27日(日)鹿児島 CAPARVO HALL
2024年10月31日(木)茨城 水戸 LIGHT HOUSE
2024年11月1日(金)福島club SONIC iwaki
2024年11月3日(日祝)宮城 石巻BLUE RESISTANCE
2024年11月4日(月祝)岩手 大船渡 KESEN ROCK FREAKS
2024年11月13日(水)14日(木)Zepp Shinjuku(TOKYO)
2024年11月20日(水)21日(木)大阪 味園ユニバース
2024年11月23日(土祝)京都 磔磔
2024年11月24日(日)兵庫 神戸 Harbor Studio
2024年11月29日(金)愛知 名古屋 DIAMOND HALL
2024年11月30日(土)岐阜club-G
2024年12月4日(水)宮城 SENDAI GIGS
2024年12月7日(土)8日(日) 静岡 藤枝市民会館〈追加公演〉
2024年12月12日(木)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2024年12月13日(金)広島 CLUB QUATTRO
2024年12月18日(水)19日(木)Zepp DiverCity(TOKYO)

RELEASE

映像作品集20巻~ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2023「サーフ ブンガク カマクラ」~

ライブBlu-ray

映像作品集20巻~ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2023「サーフ ブンガク カマクラ」~

2024年9月25日(水)SALE

INFO

後藤正文が創設「アップルビネガー音楽支援機構」
滞在型音楽制作スタジオ建設のクラウドファンディング実施

 

今回クラウドファンディングは、新しいアーティスト支援のコミュニティーを目指し、明治時代から残るお茶の倉庫をレコーディング・スタジオに改修する費用と宿泊施設の改修を目的として「5,500万円」の目標金額を設定。改修費を上回る支援が集まった際は「Music Inn Fujieda」の運営費に充てられる。

 

支援受付期間:2024年9月27日(金)〜2024年12月15日(日)
※9月30日(月)~スタートとなる、Tour 2024「ファン感謝サーキット」の各会場でプロジェクト支援の為の募金箱を設置予定

  • 森朋之

    取材・文

    森朋之

    • ツイッター
    • Facebook
  • 山川哲矢

    撮影

    山川哲矢

    • ツイッター
    • instagram

SHARE

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの関連記事

アーティストページへ

最新記事

もっと見る