KAMITSUBAKI WARS 2024 神椿横浜戦線 IN パシフィコ横浜
[DAY-2]KAMITSUBAKI FES ’24 THE DAY THE EARTH STOOD STILL
2024年8月8日(木) パシフィコ横浜
第1部
オープニング映像の後、この日のトップバッターを務めたのはど~ぱみん。オープニングDJとして会場をあたためると、続いて登場した梓川が「会いたかったぞー!」と景気よく叫びバンドの生演奏に乗せて「今さらサレンダー」「ノルカ//ソルカ」をメドレーで歌唱する。彼が色気と少年性を併せ持つ歌声でアッパーな楽曲を届けると、跳亜は軽やかさを帯びたアンニュイなムードで「凍結」を、詩道は甘く鋭いボーカルで「黎明」を歌唱する。ソロボーカリスト陣がそれぞれの声を武器に観客の心を掴む様子は痛快だ。あらためてKAMITSUBAKI STUDIOが音楽はもちろん歌の力を信じているチームであることを再確認する。
AwairoはシンガーのWaMiがハンドマイクで、コンポーザーの雄之助がDJとキーボードスタイルでパフォーマンス。デビュー曲「Pale&Deep」と和の要素を用いた「烙印」でユニットの最新モードを見せつける。音に乗ってしなやかに身体を動かすWaMiは情感たっぷりに歌い、雄之助もコーラスで奥行きを作った。すると両名のステージに梓川が登場し、コラボレーション楽曲「Replay feat. 梓川」を披露する。WaMiと梓川の声は時に溶け合い、時に触発し合い、刺激的な空間を作り出した。
リミックスDJ×VJのKAMITSUBAKI DISCOTHEQUEを挟み、第1部を締めくくったのはEmpty old City。Neuronのキーボードで厳かに幕を開けると、kahocaがそこに歌を乗せて「カミツレと愛のブーケ」を披露する。繊細な激情に観客が息を呑むと、「Buffer」ではバックバンドの生演奏も相まって感傷的かつエネルギッシュな緊迫感が溢れる。幻想的なのに生々しさをはらんだ歌と演奏は、ふたりがステージを去った後も会場に余韻を残していた。
第2部
第1部でAwairoとしてステージに立った雄之助が第2部のオープニングDJを務めると、V.W.Pのメンバーの音楽的同位体によるユニット・V.I.Pが登場。可不がボーカルを務めたヒットソング「フォニイ」を5人で歌唱し、ユニットオリジナル曲「機械の声」では5人のぶれない歌声と5声を活かしたコーラスがメッセージ性を細やかに映し出した。
キーボードボーカルスタイルで登場した水野あつは、鮮やかな鍵盤さばきから「知りたい」につなぐ。ライブならではのアレンジが楽曲の新たな輝きを生み出し、彼のソフトな歌声もより高揚感をもって響いた。そしてさらに水野とSoodaによるユニット・雨宿りが現れ、「スターダスト」ではポジティブなムードで包み込み、「猫かぶり」はSoodaのウィスパーボイスが等身大のメッセージを素直に伝える。短尺ながらも水野の楽曲の幅広さや、ユニットならではの旨味などが表現されたステージだった。
次の出番はANMC。今夏始動したインディーゲーム×音楽のプロジェクトで、8月8日に発売されたKAMITSUBAKI STUDIO発のゲーム『ムーンレスムーン』とタイアップするかたちで全3曲をリリースする、KAMITSUBAKI STUDIOの枠を越えた挑戦的なクリエイトだ。WaMiが「月の匂い」でチルかつ甘美なムードを作ると、むトは「Sad Sad Hot Latte」でキュート&センチメンタルに観客の琴線へ触れる。成熟したライブパフォーマンスも、今後のさらなる発展を予感させた。
多種多様なアーティストが集結した第2部のラストを務めるのは獅子志司。「虚ろを扇ぐ」では初音ミクとデュエットし、「絶え間なく藍色」では小気味よいリズムに乗せて躍動感のあるボーカルで客席を揺らす。洗練された空気感と人懐っこさのコントラストが会場を巻き込み、「神下り」は菅原圭のパートを可不が歌唱するKAMITSUBAKI FES仕様のライブアレンジで披露。獅子志司がシンガロングを呼び掛けると観客もそれに応え、ライブならではの一体感を作り上げた。