KAMITSUBAKI WARS 2025 神椿後楽園戦線 IN Kanadevia Hall DAY-1
KAMITSUBAKI FES ’25 OUR ONE-DAY WAR
2025年11月2日(日) Kanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)
DAY-1ではKAMITSUBAKI STUDIO所属のアーティストとクリエイターが一堂に会する「KAMITSUBAKI FES ’25」が、DAY-2ではツーマンライブシリーズ「Singularity Live」のVol.4として春猿火とヰ世界情緒の共演が実現。初日の「KAMITSUBAKI FES」は2023年3月の豊洲PIT、2024年8月のパシフィコ横浜 国立大ホールに続き3度目の開催となる。リアルとバーチャル、ジャンルを超えて集結するさまざまな表現者たちとともにKAMITSUBAKI STUDIOの世界を立体的に体感できる1日となった。
「この瞬間は嫌なことをすべて忘れられるよう、全身全霊で歌わせていただきます!」と景気のいい挨拶とともにトップバッターの詩道がステージに現れると、観客をスマートに煽り「キョウメイミライ(2025 ver.)」で一気に会場のボルテージを上げると、続いてのSoodaはポエトリーリーディングで観客を自身の世界に引き込み、「「ワレワレは宇宙人だ。」」で透明感と純真性のある歌声を響かせた。ゲームクリエイターのKazuhide Okaによるインディーゲーム×音楽プロジェクト・ANMCのステージにはkahoca(Empty old City)と一ノ瀬陽鞠が登場する。2人がゲームの主人公を演じながらストーリーに紐づいた「また旅はネコミミと」、「二人だけの物語」の2曲で会場を華やかに色づけた。
リアルとバーチャルを行き来するバーチャルガールズグループ・VALISはミュー、チノ、ヴィッテ、ネフィ、ララの順にひとりずつリアルの姿でステージへ登場し、優雅な指先と艶やかな身のこなしを巧みに用いたフォーメーションダンスと憂いのある歌声で「廻転コースター」「黄昏シミュレイド」を瑞々しく表現する。少女革命計画はバーチャルとリアルを越境するXtuberユニット・心世紀が「ミリオン・コンプレクシティ」をリアルの姿で躍動的にパフォーマンスし、バーチャルシンガーユニット・罪十罰が「SURVIVAL」を前のめりかつ屈強な歌唱で観客を沸かした後、少女革命計画で「主人行路」を披露した。次元を超えて織りなす6人のパワフルなチームワークは非常に鮮烈だ。
今年8月の明透のワンマンライブにてゲスト出演し、初の有観客ライブを経験した琶舞は、潤いを帯びた歌声に長身やロングヘアーが映える麗らかなパフォーマンスで「Symbiotic Dominion」を届け、続いて登場した明透はアッパーなビートが効いた「illumina」をリズムを味方にした軽やかな歌声とモーションでダイナミックに表現する。両者がそれぞれ闇と光という相反する性質を追求しながら、深い愛情や気高さを持ち合わせているという共通点も感じられるステージだった。
スマートなユーモアが効いたPIEDPIPER UNDERGROUND ORCHESTRAによるKAMITSUBAKI DISCOTHEQUEを挟むと、Empty old Cityが美しいピアノとドラムンベースで織り成す「From Noir」、スタイリッシュなサウンドデザインの「Moonian」と会場を楽曲の物語で染め上げる。kahocaは先ほどのANMCも含め、楽曲ごとに異なるボーカルとパフォーマンスを見せて観客の心を掴んだ。EoCと同様にKAMITSUBAKI FES常連組の梓川は、煮ル果実「ナイトルール」のカバーとオリジナル曲「ノルカ//ソルカ」の2曲で同イベントに挑む。勢いと艶を併せ持つ歌唱と無邪気でエネルギッシュなMC、自由に音楽に身を任せるスタイルは、観客を大いに音の渦へと巻き込んだ。
第1部のラストを飾ったのは、花譜のシンガーソングライターとしての側面にフォーカスした別名義プロジェクトの廻花。「ターミナル」「かいか」と彼女のパーソナリティの根幹となる2曲を歌唱する。リアルな姿で身体を振り絞りながら歌う様子は、光とノイズが交錯するエフェクトが施されているとはいえ、彼女の魂や実態をより克明に映し出していた。
第2部はKAMITSUBAKI STUDIOを支えるバーチャルアーティストが揃い踏みとなった。まずは花譜、理芽、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜によるユニット・V.W.Pの“音楽的同位体”で構成されたV.I.Pが「ナイトオウルミュージアム」で会場をあたためると、今年8月の活動再開後初の有観客ライブとなるCIELが登場する。清廉な佇まいと歌声でバラード「常しなえ」を伸びやかに届け、「この場所に戻ってくることができて、皆さんにまた会うことができて本当にうれしいです。KAMITSUBAKI FES、まだまだ楽しんでいきましょう」と笑顔を浮かべると、客席もあたたかい声援と拍手を送った。
続いてはV.W.Pの面々のソロステージのセクションへ。幸祜は観客に拳を掲げるよう促してロックナンバー「ANTINOMY」を凛々しさと繊細さを兼ね備えた歌声で彩り、アカペラで「オレンジ」を歌い始める。包容力に満ちた歌声が、壮大なバラードを美しく照らしていた。理芽はまず最新曲「ノマネ」を届け、振り付けを交えながら伸びやかでほのかに寂寥感が漂うボーカルを響かせる。すると「TDCと言ったらこれだよなあ!」と呼び掛け、昨年同会場で開催したワンマンライブにてサプライズで初披露した「きみが大人になったんだ」で観客を沸かした。
春猿火はポップでパンキッシュな「SWIPE!」でスケール大きくカラフルに観客を盛り上げる。さらにヘビーかつポップなロックナンバー「starcloud」でエネルギーを増幅させ、攻めの姿勢を崩さない。ヰ世界情緒は天を仰いだりバレエのようなターンをするなどして「BREATHE」を全身で表現し、彼女の代表曲のひとつである「描き続けた君へ」を勇敢に歌い上げる。両者とも翌日に控えるツーマンライブ「Singularity Live Vol.4」への熱情が感じられた。花譜は清涼感としとやかな色気を兼ね備えたポップナンバー「ひとえに壊れて」を鮮やかに表現し、切々とした思いが刻まれた「痛みを」を一言一句強い意志でもって歌う。V.W.Pの面々が常に進化を遂げながら音楽に真摯に向き合い続けるシンガーたちであることをあらためて強く印象づけた。
イベントはさらに佳境へ入る。コラボレーションカバーセクションでは、KAMITSUBAKI FESならではのレアな編成のステージが繰り広げられた。理芽×ヰ世界情緒×CIELはEMAの「反逆者の僕ら」を、春猿火×幸祜×VALISのRARAはVALISの「革命バーチャルリアリティ」を、花譜×明透×琶舞はEmpty old Cityの「Death Designer」のカバーを披露する。3組ともハーモニーやダンスなど、この座組と選曲だからこそのパフォーマンスを見せ、その意外性と親和性の高さに観客も興奮をあらわにした。
その後は第1部にリアルの姿でステージを展開したVALISがアバターで登場する。「幻想アンヴェール」「純情エトワール」とドラマチックなダンスとボーカルで楽曲を情感豊かに表現し、5年間の多彩な活動で育んだ強固な結束で会場を魅了した。そしてこの日を締めくくるのはもちろんV.W.Pである。バンドメンバー紹介を兼ねたインタールードからTVアニメ『神椿市建設中。』OPテーマ「歌姫」につなぎ、爽やかでポジティブなムードあふれるボーカルはもちろん、アニメのOP映像を模したステージングや耳打ち風の振り付けも観客の高揚を煽った。最後に先述アニメの0話EDテーマである「追憶」をライブにて初披露する。5人による英語詞のやわらかな声の響きと壮大な演奏が会場を包み込み、光に満ちたすがすがしいラストを作り上げた。
エンドロールが流れた後は、明透と琶舞によるアコースティックアレンジライブ「Holy Night LIVE」が12月20日にYouTube Liveで全編無料配信されること、CIELのバーチャルミニライブ「再晴」が12月27日に開催されること、CIELとSoodaによるバーチャルユニット・空爽が始動することなどが新規で発表された。
次回の「KAMITSUBAKI WARS」 は2026年2月28日(土)と3月1日(日)に開催予定の「KAMITSUBAKI WARS 2026 神椿横浜決戦 IN ぴあアリーナMM」。初日がV.W.P 4th ONE-MAN LIVE 「現象Ⅳ-反転運命-」、最終日が花譜5th ONE-MAN LIVE 「宿声 / 深愛」と、どちらも自身最大規模公演となる。そして花譜は今月末に初の海外でのワンマンライブを行い、来年リリース予定のアルバム『深愛』はある特殊なプロジェクトとして進行中で、ライブと同じく花譜の“可能性の拡張”と言える1作を予定しているとのことだ。KAMITSUBAKI STUDIOは各アーティストと足並みを揃え、果敢に新しい試みを続けている。さらなる豊かな未来へ向かう彼らの過渡期のダイナミズムを、十二分に感じられる1日となった。
SET LIST
-第1部-
01. キョウメイミライ (2025 ver.) (詩道)
02. 「ワレワレは宇宙人だ。」(Sooda)
03. また旅はネコミミと (ANMC “kahoca / 一ノ瀬陽鞠”)
04. 二人だけの物語 (ANMC “kahoca / 一ノ瀬陽鞠”)
05. 廻転コースター (VALIS)
06. 黄昏シミュレイド (VALIS)
07. ミリオン・コンプレクシティ (心世紀)
08. SURVIVAL (罪十罰)
09. 主人行路 (心世紀 × 罪十罰)
10. Symbiotic Dominion (琶舞)
11. illumina (明透)
12. KAMITSUBAKI DISCOTHEQUE PIEDPIPER UNDERGOUND ORCHESTRA
13. From Noir (Empty old City)
14. Moonian (Empty old City)
15. ナイトルール (梓川) ※cover
16. ノルカ//ソルカ (梓川)
17. ターミナル (廻花)
18. かいか (廻花)
-第2部-
19. ナイトオウルミュージアム (音楽的同位体 V.I.P)
20. 常しなえ (CIEL)
21. ANTINOMY (幸祜)
22. オレンジ (幸祜)
23. ノマネ (理芽)
24. きみが大人になったんだ (理芽)
25. SWIPE! (春猿火)
26. Starcloud (春猿火)
27. BREATHE (ヰ世界情緒)
28. 描き続けた君へ (ヰ世界情緒)
29. ひとえに壊れて (花譜)
30. 痛みを (花譜)
31. 反逆者の僕ら (理芽 × ヰ世界情緒 × CIEL)
32. 革命バーチャルリアリティ (春猿火 × 幸祜 × RARA)
33. Death Designer (花譜 × 明透 × 琶舞)
34. 幻想アンヴェール (VALIS)
35. 純情エトワール (VALIS)
36. 歌姫 (V.W.P)
37. 追憶 (V.W.P)































