そらる、ツアーファイナルは満員の日本武道館!16年目という新たな“冒険”へと踏み出す

ライブレポート | 2024.07.08 19:00

SORARU LIVE TOUR 2024 -telescope-
2024年6月29日(土)日本武道館

シンガー・ソングライターのそらるが、全国6都市をめぐるツアー「SORARU LIVE TOUR 2024 -telescope-」は2024年6月29日(土)、東京・日本武道館で締めくくった。2年ぶりにバンド編成で行ったライブでは新曲「オーロラ」など約20曲を熱唱。曲間のMCでは、ご当地メニューを味わう、突然の“もぐもぐタイム”などもあり、集まったファンを喜ばせた。

開演前から青いペンライトが揺れる会場。ステージ中央のスクリーンには、白くまの背にまたがって雪原を進むそらるが、左手に持った望遠鏡をのぞき込むイラストが映し出されていた。お城のテラスのような作り込んだセットの扉が開き、そらるが姿を現すと会場は大きな歓声に包まれた。

美しいファルセットなど、そらるの声の魅力を感じられる「テレストリアル」で幕開けしたステージ。そらるの第一声で「待っていた!」という思いをぶつけるように、観客の歓声が沸き起こった。総立ちになった客席を見つめたそらるは「さぁ、行くぞ。武道館。よろしく!」とあいさつ。ロックチューンの「幻日」では、観客が拳を上げて声を出すなど、冒頭からヒートアップしていた。

最初のMCでは「武道館。久しぶり。ソロでは初めてなんですけど」と呼びかけたそらる。After the Rain以来、7年ぶりの帰還に「7年ぶり、今日はありがとう」と青い光が輝く客席に感謝した。

真っ赤に燃え上がるような照明の中で披露した「アイフェイクミー」では『♪早く引き金を引いてよ』と“真相”を暴くように歌い上げ、客席を揺さぶっていく。ラストは力強いシャウトで、見る者を圧倒した。天国と地獄を見せた後は、メロディアスな鍵盤の音に合わせ「ひともどき」を歌い上げていく。心の内をさらけ出す、表現力は唯一無二のもの。左手を左胸の上に置き、そっと空を見上げると、“ドク、ドク、ドク”と心臓の鼓動音が会場に響き渡る。スッと音がやんだ瞬間、会場全体が息を呑むのが分かった。

歌とバンドの迫力ある演奏。背後スクリーンのイラストやアニメーション、照明など、さまざまな技術で幻想的な空間を見せるそらる。2度目のMCでは昨年迎えた15周年ツアーでオーケストラと共演したことなどを振り返りながら、今年のツアーのコンセプトについて頭を悩ませたことを吐露。「節目の次の年のツアーどうしよう、何しよう。困ったって。だから『じゃ、みんなで何かを見つけに行こう!』」と、「telescope」と名付けたことを告白。「ツアー中は、不安なこともあったけど、みんなが引っ張ってくれたことが大きいと思います」と完走の喜びを分かち合っていた。

重厚感あるサウンドに乗せた「銀の祈誓」では、スクリーンに十字架が映し出され心の叫びを現すようなギターの音が会場を揺さぶり続けた。スタンドマイクに変えて歌った「ドリームレス・ドリームス」では、ガウンのようなジャケットを翻しながら軽やかに歌い、ファンの目を釘付けにしていた。

ステージ2階に移動したそらるは、ボックスの上に腰掛け、大きな振り子時計のイラストの下で一途に恋する相手を思い「花と君と」を甘く、切なく歌い上げていた。鍵盤の音で沸き立った「ダーリン」では女性目線の歌詞で、色気たっぷりに“狂気”を歌い会場をざわつかせていた。

「楽しんでくれていますか?」。ステージの真ん中にイスを持ってくると「ちょっとしゃべろうかな」と腰掛け、座ったままメンバーを紹介。続けてツアーの途中から導入したという「ご当地メニューを食べる」企画を突然始め、もぐもぐタイムに突入。「仙台では牛タンを食べた」と回想しながら「今日は何でしょうね」とスタッフの準備を待つそらる。運ばれた3種のメニューは「和風ハンバーグ」「鶏のトマト煮」「からあげクン」で「じゃあ一口ずつ」と食べ始めると「おいしい?」「かわいい!!」と声をかけられていた。
続けて前日に、同地で開催した「ファンミーティング」にも話が及び、質問コーナーや体力測定を行ったことを説明。一通り話し終えると「何かある?」と会場に逆質問し、客席から笑いが起こっていた。

ほっこりしたトークが幻だったかのように「きみも悪い人でよかった」を熱唱すると、鍵盤のみで「ナイティナイト」と披露。恋人の横で祈るように歌う姿を、支えるようにペンライトが揺れていた。しっとりとした空気を一変させた「ノンブレス・オブリージュ」ではタイトル通り、息もつけないほどの勢いで歌詞を畳みかけていく。「スゥーッ」と息を吸った瞬間、そらるを照らしていたスポットライトが消えると、ファンが地鳴りのような歓声をあげる。

熱を冷ますように──。深海を思わせるインストゥルメンタルが奏でられた後、たくさんのタッセルが付いたブルーの衣装を羽織ったそらるが、舞台に戻ってきた。スクリーンに映された満月の中で「海中の月を掬う」を歌い、一息つくとスクリーンでは、真っ赤なハートが回転。ポップな「愛言葉Ⅲ」がスタートすると、頭上で手を揺らすそらるの動きに合わせて会場に波が起こっていく。歌唱中「みんなの声を聞かせて!」と煽るそらると掛け合い、武道館が一つになっていく。

「全力で歌わせていただきました。汗だくです!!」と笑った本編最後に持ってきたのは、新曲の「オーロラ」。楽曲制作当時は「遠い存在」と思っていたオーロラが日本でも観測されたことに触れ「一生かけても見られないと思っていたんですけど、日本でも見られると知って、それが不思議。自分が選択をし続けた結果で、夢が近づいてきたり、遠ざかったりする。みんなもこれからも夢を追いかけていきましょう」と呼びかけると、賛同するように大きな拍手が送られていた。
オーロラのように輝く照明の中で歌い上げた「オーロラ」は、困難なことがあっても一歩を踏み出していこうと背中を押してくれる温かい曲。一人ひとりに届けるような柔らかい歌声で、会場を包み込んでいた。

アンコールでは「ユーリカ」のほか、事前に募ったリクエストが多かったという「地球をあげる」を投下。地球の隅々まで響かせるような伸びやかなファルセットで壮大な世界を繰り広げていく。

アンコールの2度目のMCでは「昨日やった曲の中でどうしても後悔がある曲がある。そのリベンジをさせてもらおうかな」と話すと、駆け寄ったスタッフからリコーダーを受け取ったそらる。ざわつく会場を前に「よし!」と気合いを入れると「昨日は、ふがいないところを見せてしまった」と予定になかった「強風オールバック」で盛り上げていく。ファンのクラップに支えられ、演奏を終えたリコーダーの出来映えは「50点・・・」と肩を落としたが、「昨日より10点上がった!」と前向きに受け止めていた。

「次が最後の曲」と明かした後「次のライブは良い意味で『ワンダー』を歌わなくても良くなるように、色んな曲を皆さんに届けられるように。速報はインターネットで待て!」とさらなる高みへと向かうことを示唆。ジャンプをして喜ぶ会場に向け、最後まで手綱は緩めない。疾走感ある「ワンダー」では力を振り絞り、ステージから左右に伸びた花道に飛び出していく。両手を振って歓迎するファンと思いを交換し続け、大熱狂の中で幕を閉じた。

歌い終えたそらるは、「楽しかったです。ありがとう!みんな飛ぼう!」とファンと一緒にジャンプ。「今日でツアーは終わりになりますが、また会いに来てください」と呼びかけると、バンドメンバーと横一列になりマイクなしで「ありがとうございました!」と一礼。「みんなお元気で。ありがとう!!」と何度も感謝するとステージの扉を開き、次の“冒険”の地へと踏み出していった。

SET LIST

01. テレストリアル
02. 幻日
03. アイフェイクミー
04. ひともどき
05. バレリーコ
06. 悋気な惑星
07. 銀の祈誓
08. ドリームレス・ドリームス
09. 花と君と
10. ダーリン
11. きみも悪い人でよかった
12. ナイティナイト
13. ノンブレス・オブリージュ
14. 海中の月を掬う
15. 愛言葉Ⅲ
16. Good Morning, Polar Night
17. オーロラ

ENCORE
01. ユーリカ
02. 地球をあげる
03. 強風オールバック
04. ワンダー

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