ここで山中以外のメンバーによるMCコーナー。人生でいちばん数多くライブを観ているピロウズの35周年のライブに参加できことを光栄に思いますと語った宮川に続き、佐藤が“ファンから送られてきた「ゼルダの伝説」のTシャツが……”というトークで和ませ(?)、真鍋は「バンドがスタートした9月16日、こうやってライブができて本当に嬉しく思います。35年間、いろんな形で付き合ってくれて、みんな本当にありがとう!」と率直な言葉を放つ。「35年間、俺はずっと考えている。ロックンロールバンドについて」というコメントから始まったのは、もちろん「About A Rock’n’Roll Band」。ロックンロールに触れ、体の中に火花が散った瞬間を切り取ったこの曲は、今もなお瑞々しさと鋭さを保ち続けている。
ここからライブは一気にクライマックスへ。ファンのためのアンセムソング「LITTLE BUSTERS」、“屈するな!”という強いメッセージを放つ「No Surrender」、そして、苦しみや悲しみを“この世の果てまで/投げ捨てに行こう”と呼びかける「この世の果てまで」で本編は終了。
この時点で完全に満足/納得していたのだが、アンコールでも、すべてがハイライトと称すべき場面が続いた。奇跡なんか起こらなくてもいい、人生は美しいはずだという切実な願いを刻んだ「Thank you, my twilight」、どんなに傷つけられても、自分を貫く意思を込めた「New Animal」と楽曲を重ね、さらなる感動と興奮が押し寄せてきた。「すごい長い時間をかけて、俺は、なりたい自分になった。どうやってなったと思う。何もかも、何もかも、君たちのおかげだ」という山中の言葉も、この場にいる全員の心に深く刻まれたはずだ。
2度目のアンコールで演奏されたのは、「Sweet Baggy Days」美しいメロディと孤独を受け入れたかような歌詞に心を奪われる。そして、3度目のアンコールではキャリアを代表する名曲「ハイブリッド レインボウ」を披露。〈昨日まで選ばれなかった僕らでも/明日を待ってる〉というあまりにも切実な希望を描き出し、35周年を記念したライブは幕を閉じた。
もちろんこれが終着ではなく、バンドは先へと進む。11月からは全国ツアー「LOSTMAN GO TO CITY 2024-25」がスタート。11月2日(土)長野CLUB JUNK BOXから1月31日(金)KT Zepp Yokohamaまで全20公演のツアーでthe pillowsは、その日、その場所でしか体感できないロックンロールを鳴らすはず。すべてのものは、いつか終わりがくる。その事実を胸に刻みながら、“今”のthe pillowsを全身で感じ取ってほしいと思う。
SET LIST
01.僕らのハレー彗星
02.TRIP DANCER
03.Rebroadcast
04.Comic Sonic
05.WAITING AT THE BUSSTOP
06.空中レジスター
07.ぼくは かけら
08.ノンフィクション
09.バビロン 天使の詩
10.Funny Bunny
11.ハッピー・バースデー
12.サード アイ
13.Rush
14.LAST DINOSAUR
15.王様になれ
16.RUNNERS HIGH
17.Calvero
18.About A Rock’n’Roll Band
19.LITTLE BUSTERS
20.No Surrender
21.この世の果てまで
ENCORE
01.Thank you, my twilight
02.New Animal
W ENCORE
01. Sweet Baggy Days
T ENCORE
01. ハイブリッド レインボウ