橋爪もも(OPENING ACT)
オープニング・アクトの橋爪ももは、サポートのピアノとのふたり編成で、アコースティック・ギターの弾き語りで3曲を。
ロリィタファッションだったり、その衣装は自分で手作りしていたり、それに留まらず他のアイドルの衣装製作も手がけていたり、美少女ルックスなのにしゃべると力いっぱいAMラジオノリだったり──と、要素が多すぎてどこから手をつけていいんだかわからない人だが、「憂い」「痛み」「怒り」「孤独」などをそのまんまの形で、リアルに、メロディと言葉にするとこうなります、というソングライティング力と歌唱力が抜きん出ている。なお、3曲中2曲が4月17日(水)リリースのニュー・アルバム『本音とは醜くも尊い』の曲だった。
SET LIST
01. バレリーナ
02. 本音とは醜くも尊い
03. 独身
藤田恵名
二番手となる藤田恵名は、自身のバンド(ギター、ベース、ドラム)と共にオンステージ。「今いちばん脱げるシンガーソングライター、って言ってるんですけど、今日は服多めで」。確かに今日はビキニじゃない。女性ドラマー平川萌が今日初参加だそうで、なのに彼女に生尻を見せて歌うのはなにかな、と思って、そうしたそうです。
とはいえ──彼女の音楽を知る人はみんな言うことだが──歌の中でしか言えないこと、歌の中だから言えることを詰め込んでスパークさせるような、鬼気迫るステージ。1曲目にやった「月が食べてしまった」や、ラストに歌った「言えない事は歌の中」が特にそう。2曲目「等価交換」後半の歌の爆発っぷり、エモかった。
SET LIST
01. 月が食べてしまった
02. 等価交換
03. 青の心臓
04. ライブドライブ
05. 言えない事は歌の中
西沢幸奏
「デビュー曲をみんなで歌って始めたいと思います」とオーディエンスに歌詞を教え、「吹雪」のシンガロングでライブをスタートした西沢幸奏は、ドラマー、マニピュレーター&キーボード、の3人編成でのライブ。バック・トラックとシンセと生ドラムの洪水のような音にのって、がんがんギター弾いてがんがん歌う、ステージから放たれる情報量も熱量も膨大な全6曲だった。
というか、「うわ、すごいエネルギー」とあっけにとられていたら、あっという間に終わってしまった、という印象だった。「ラストの6曲目でも、オーディエンスに「The Asterisk War」と叫ばせる。彼女目当てで来たファンも、それ以外のこの日初めて観たオーディエンスも含めて「The Asterisk War!」コールが響いた。
SET LIST
01. 吹雪
02. LOVE MEN HOLIC
03. Gemini
04. PERIOD
05. Brand-new World
06. The Asterisk War
été
トリは東京都在住の3ピース・バンド、été(エテ)。「ジャンル」とか「界隈」とかいう言葉はとにかく嫌い、だから今日みたいなイベントは意義があると思う。声をかけられた時にどういう趣旨の顔ぶれなのかを「気になった人に声をかけたらこうなった」と言われた、それがよかった──というようなことを、MCでオキタユウキ(Vo,Gt)は言っていた。
1曲目で……いや、1曲目の前ってことになるのか、ドラムとベースにのせてハンドマイクでラップのようなポエトリー・リーディングのようなことを始め、それをしばし続けてからギターを手にして爆音を発し始めたこの3人に、最初、オーディエンスは虚をつかれたようだったが、曲が進むごとに音の放つ熱に引き込まれていくのが、観ていてわかった。リズムもアンサンブルもとにかく精微で複雑なサウンド・プロダクトなので、リズムに合わせて踊ったりして盛り上がる、というのはほぼ不可能な音楽性なんだけど、フロアからステージに向けられる集中力がどんどん上がっていく感じだった。
SET LIST
01. ドルシネア
02. I am
03. crawl
04. DAWN
05. It
06.Burden
次回=6回目の『MUNETAKA』は4月19日(金)渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて開催。GOOD ON THE REEL、ヒグチアイ、Absolute area、Half time Oldの4組が出演する。