2019年1月25日に東京・マイナビBLITZ赤坂で開催するライブ「Kra LIVE 2019『創りし者 / FOUR CHILDREN』」をもって靖乃とタイゾが脱退。現在の4人体制に終止符を打つKra。脱退が発表されてから約2ヶ月たった今の心境とはー?彼らからのメッセージがしっかり受け取れる4人でのラストアルバム『ブレーマー』について、ライブに賭ける想いについてたっぷり話を聞いた。
──2019年1月25日のマイナビBLITZ赤坂を最後にタイゾさんと靖乃さんが脱退、『ブレーマー』は現体制4人での最後のアルバムとなります。オフィシャルHPでみなさんのコメントが発表されていますが、あらためて今の心境とKraへの想いを聞かせていただけますか?
Gt. タイゾ
Kraというバンドが嫌になって辞めるわけではないんです。活動を続けていく上でメンバーそれぞれのバンドに対する価値観にズレが出てきてしまっていると感じたのが2年ぐらい前で、このままだと自分が思う良いライブができないなという悩みをずっと抱えていたんです。ただ、自分はKraの前のバンドを脱けているし、脱退がどういうことなのかわかっているつもりなので、続けようと思っていたんですけど、これ以上は限界だなと。
──悩みに悩んだ末に出した結論だったんですね。
Gt. タイゾ
はい。Kraに中途半端な気持ちで加入(2011年)したわけではないし、人生を賭けてやってきたのですごく考えましたね。
Dr. 靖乃
バンドが始まってから17年の長きにわたり、みなさんに育てていただいたからこそ続けてこられて、すごく良い経験をたくさんさせてもらったんですけど、5年後、10年後の未来について4人で話していく中、考えを1つにまとめるのが難しかったっていうのはありますね。メンバー各々にやりたいことややり方があるので、そこで自分自身の考えを押し通すのは違うと思い、離れることを決めました。
──進む方向性に違いを感じたということですか?
Dr. 靖乃
もともとわがままな人間なのでKraの結成当初から「絶対これがいいと思う」っていう提示の仕方でメンバーに意見をぶつけてきたんですけど、そのやり方はもうフィットしないのかなというところも含めてですね。かなり話し合った末にお互い別の道で頑張っていくのもアリなんじゃないかと。お互いに腹の内をさらけ出しあった上での結論です。
──景夕さん、結良さんは2人の考えをどう受け止めたんですか?
Vo. 景夕
もともとKraってガッツリ方向性を決めて進んできたバンドではなく、それぞれの色を出して“楽しければOK”っていう考えが強かったと思うんですよ。自分は活動していく上で“ここは無理に押し通したら関係性がぎくしゃくするんじゃないかな”って意見を抑えていた部分もあったんですが、2人の話を聞いて“変な気遣いは必要なかったのかな”って思うようになりました。とは言え2人がこの先やりたいようにやっていく道があるならそれでいいし、Kraじゃなくても同じ音楽シーンにいるならまた会うこともあるだろうし、“この日、ちょっとお願い”ってヘルプを頼むこともあるかもしれないし。永遠の別れではないですからね。
Ba. 結良
思ったように動くのがバンドマンらしいと僕は思うし、1月25日のBLITZが次の活動に向かうステップアップになったら、みんな万々歳なんじゃないかなって。だから、すごく良いライブにしたいですね。
──ある程度、みなさんの気持ちがふっきれたところで制作したのがアルバム『ブレーマー』なんでしょうか?
Vo. 景夕
ホントにふっきれたのは脱退を発表した9月1日ですね。
Gt. タイゾ
個人的には今年の4月ぐらいから曲作りをしていたので、制作の途中で区切りがついた感じですね。
──アルバムタイトルの『ブレーマー』はブレーメンの音楽隊と関係があるんですか?
Vo. 景夕
そうですね。“ブレーメンの音楽隊”ってストレートに表現するよりもちょっとひねったほうがKraっぽいし、ジャケットや各曲のタイトルを見たら、「この曲、どんな曲なんだろう?」って想像を膨らませてくれるだろうし。
──前半が狂気やエッジ、緊張感があるダークな曲が多いのに対して後半は希望が見えるメッセージ性が強い曲が多いと感じました。
Vo. 景夕
今回、ジャケットにも描かれている鳥、猫、犬、馬をテーマにした曲が1曲ずつ入っているんですよ。「フクロウ」という曲は“鳥”で「夢駆け行く」が“馬”、「犬も歩けば」という曲や「黒猫と愚者」という曲も収録されています。この4人になって出した初のアルバム『ナロとトルテ』を意識して最初と最後を深く結びつけた作品にしたいという気持ちもありました。
──なるほど。各自、どんなアルバムに仕上がったと思っていますか?
Ba. 結良
今回、曲の構成が複雑というかビックリするような展開の曲が多いんですよ。そもそも僕には出てこなかった発想なのでこれまでのKraの中でいちばん演奏するのが大変そうだなって。それだけに楽しみでもありますけどね。
──ちなみに特にどんな曲が?
Ba. 結良
「It is What It is」と「ダイス」、「ブレーマー」かな。特に「ダイス」は完全にファンクなリズムなのでノリを出す上でベースが重要なんです。
Dr. 靖乃
今回、制作段階からレコーディングに至るまで楽曲が育っていく様をずーっと見ていたんですけど、曲を書いた3人の人となりが出ていてヴァリエーションがありつつ最終的にはKraっぽい仕上がりになったなって。Kraのライブって起承転結があってドタバタしてるんですけど、最終的にみんなハッピーになって笑顔で帰っていくんですよね。そういうKraがわかりやすくパッケージされた1枚になった気がしますね。
Gt. タイゾ
自分も結果、Kraっぽいアルバムになったと思っています。もともと、いい意味で音楽のジャンルを限定していないバンドだし、景夕が歌えばKraになるって解釈していたので、この4人での最後のアルバムだからこそコンセプトや音楽性を統一させないで逆に良かったのかなと。ノッティ(靖乃)が作曲した「ダイス」は超ファンクで最初はビックリしたんですけど、今までのKraになかった曲だし、自分が作った「GUSTAV」は最近聴いているサイケトランスの要素を入れてみたり、「It is What It is」はレゲエのエッセンスがある曲を景夕が歌ったらどうなるのかな?って。各自がいろんなことにチャレンジできたアルバムになったと思っています。
──それと今作はKraをずっと聴き続けてきた人には涙なしでは聴けないアルバムになっていると思います。「メッセージ」は素直な言葉で歌やリスナーに対する想いを届けている曲だし、最後の曲「ブレーマー」は違う道を歩んでいく4人やファンのことを“ブレーマー”と表現しているのかなと。
Vo. 景夕
自分自身、言葉選びを考えすぎてしまうところがあるんですけど、「メッセージ」の歌詞は今までの自分に関わってくれた人たちへの想いやこの先の自分がどうありたいかっていうのをストレートに歌っていますね。「ブレーマー」はKraは一悶着も二悶着もあったけど、それでもライブをやったら「今日は良かったね!」って1つになれる。そういうバンドだし、こういう結論になったけど、お客さんの人生も含めてこの先も楽しくやろうぜって。そういう意味を込めて歌詞を書きました。
──11月4日からはライブツアー「QUARTETTO」がスタートしますが、ツアーは『ブレーマー』がメインのセットリストで、1月25日のマイナビBLITZ赤坂は別モノの内容になるんですか?
Vo. 景夕
ツアーは『ブレーマー』を出しきる内容になると思うんですよ。マイナビBLITZは4人での最後のライブなのでアルバム中心というよりはKraの全ての楽曲から選んだセットリストになるんじゃないかなと。
──過去の代表曲を織り混ぜたり?
Vo. 景夕
集大成になると思います。
Dr. 靖乃
天邪鬼なところがあるバンドなのでどう転ぶかはわからないですけど、みんなでイメージを出し合いながら演出を考えたりセットリストを組んだり、全部ひっくるめてこの4人での最後の公演を成功させたいですね。
──ちなみに「創りし者/FOUR CHILDREN」というタイトルはどなたがつけたんですか?
Dr. 靖乃
これはかなり揉んだよね。
Vo. 景夕
メンバーだけじゃなく、まわりのスタッフからも「こっちのほうがいいんじゃないか」って意見がいろいろ出て、Kraを大切に思ってくれていることが伝わってきました。
Gt. タイゾ
シンプルに数字の「4」っていう候補もあって自分はそれが良かったんですけど、落選しました(笑)。
──“CHILDREN”が付いているのが気になります。
Vo. 景夕
結成当初からライブのSEで使っていたのが「CHILDREN」(Robert Miles)という曲でお客さんも“この曲かかったらKraだな”って認識があるので付けたのと、4人とも男のコだから子供っぽい面があるので(笑)。
──“創りし者”もKraらしいですけどね。
Vo. 景夕
言葉だけだと凄そうですけど、創っているのは4人の子供なので(笑)。
Dr. 靖乃
そういう意味でいうと砂場遊びみたいなものかもしれない(笑)。創っている本人たちは極めて真剣だけど。
──マイナビBLITZは今後のKraも提示できるような内容ですか?
Vo. 景夕
そうですね。俺と結良さんはこれからもKraとしての道を進んでいきますし、ノッティとタイゾもそれぞれの道を進んでいくので、未来も支えてくれるぐらい惹きつけられるライブにできたらいいなと思ってますね。
Dr. 靖乃
最近、バンドや事務所、ヴィジュアル系というフィールドにより感謝することが多いんですよ。自分の中でも区切りの時なのできっちりパフォーマンスしてみんなの心に刺さる表現をしたいですね。
──オフィシャルHPでは音楽から距離を置くかもしれないというコメントを発表していますよね?
Dr. 靖乃
ただ現状はホントに白紙で何も決まっていないんですよ。全てはBLITZが終わってから考えたい。それまで一瞬、一瞬を大事にして、まずはKraをちゃんと楽しみたいですね。
Gt. タイゾ
自分もノッティと同じでバンドはできたらまたやりたいですけど、先のことは全然決まっていないんですよ。今はせっかく良いアルバムができたので「これまででいちばん良かった!」と思われるぐらい4人で最高のパフォーマンスをしたい。悔いのないライブにします!
PRESENT
メンバーサイン入りポスターを3名様に!
※転載禁止
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