
MUCC、Psycho le Cému、Waiveによるタイバンライブ『MUD FRIENDS』が7年ぶりに開催決定、杉本善徳(Waive)、seek(Psycho le Cému)、逹瑯(MUCC)による“泥友”鼎談が実現した。2000年代を振り返る貴重なエピソードや開催の経緯など、前後編でお届けする。
世代の差や流行のサイクルもあるけれど、ライブハウスだけは生じゃなきゃダメ
──無理やり話を戻しますけど、2000年代初頭にこの3組が好きだった人たち。きっとお子さんも大きくなってきて、すごい久しぶりにライブに来る人とか、子どもを連れてくる人とか、きっと新鮮な喜びや驚きがあると思います。
seek僕らはお客さんたちとずっと一緒にいるつもりだから、僕らのことも全部共有して、知ってくれてるだろうって思いがちなんですけど。MUCCもWaiveも新たなカテゴリーを増やしていたり、2000年からみんなどんどん広がっているから。例えばMUCCのファンで、Psycho le CémuやWaiveのライブを見たことないって人はたくさんいると思う。
逹瑯それ言ったら、Waiveなんて一回止まってる間、メンバーそれぞれが違うフィールドで活躍してきたわけだから。“Waiveのライブを見たことないWaiveのファン”っていうのがいるかもしれない。
杉本それはね、実際にいる。
Waive
──ママが好きだったバンドを中高生の子どもと観て、新鮮な驚きが生まれてみたいなこともあるかもしれないですし。
杉本まだそこまでの人は少ない印象ですけど、あと5年くらいしたら増えるかもしれない。バンド界隈でよく言うんですけど、20周年、25周年はとにかくキツくて。30周年から子どもが手を離れたり、子どもを連れて来たりして、またファンが増えだすって。そう考えると、「あと5年遅かったら、解散ライブ行けたのに!」って人もいるかもしれない。
──へぇ!そういうもんなんですね。
逹瑯ウチの現在のマネージャーは、お母さんが『鵬翼』(2005年)の頃によくライブ来てたって言ってて。その子は専門学校の先生に薦められてマーヴェリックに入って、MUCCの担当になったんだけど。お母さんは知らなかったから、話したらすごい驚いてたって。
杉本でもそういうこともあるやろうな。子育てしてた人たちが、子どもが大きくなってから、またライブに来るようになるから。いまの世の中、ライブに足を運ぶ年齢層が10代と45歳オーバーにガッツリ分かれるらしくて。ライブに足を運ぶってことが、娯楽として流行ってる時期のサイクルもあるみたいで、それも30年周期だって話やから、そんな理由もあるんやろうけど。あと、ファッション業界やメイクの学校で、いま90年代ビジュアル系が注目され始めてて。服や髪のデザインや色を見て、「あぁ、僕らがやってたヤツや!」って感じになってきてるんで。そんな流行サイクルも30年周期で来るんやなって。
逹瑯あと、いまの25~30歳くらいの年齢層って、インターネットで音楽が垂れ流しになって、音楽に一番金を払わなかった層なんですよ。それがさらに下の世代になると「タダで楽しむなんて申し訳ない」って、課金する世代になってきて。お金を払って音楽を聴きに行くって、そこの感覚の違いもあるんだろうなって思う。
MUCC
──音楽を聴く術がCDから配信になって、サブスクになって。聴き方が変化しても、生でライブを観るという体験はライブハウスに来ないと出来なくて、それを求める人や必要としてる人はどんな時代にもいると思ってたんですが。やっぱり世代の差があるんですね。
杉本僕らが若い頃って、ライブハウスはいつ行っても人がいっぱいだったし。土日以外もライブやっていたし。
seek僕らは地方出身なんで、地元のライブハウスを見てきたから余計にそれを感じるのかもしれないですね。地方に行くと、いまは週末しかブッキングが入ってなかったり、そもそもバンドやってる人口が減ってたり。若者がバンドってコンテンツに憧れてないんやなっていうのを、ライブハウスに行ったら感じますよ。
Psycho le Cému
逹瑯日本は娯楽が多すぎるからね。
杉本音楽以外にも楽しいものがいくらでもあるのに、こと音楽に絞っても、いまはPCがあれば楽器を弾けなくてもDTMで曲を作れたり、それを発表する場もあるから。音楽好きの人数は変わらないけど、やり方が広がったから濃度は薄まったのかもしれない。ただ、デジタルライブハウスみたいなものを作ろうとしたけどいまいち流行らなかったのは、ライブハウスだけは生じゃなきゃダメなんだなっていうのがあると思う。
逹瑯ライブは画面で見てたら、「現場に行きてぇ!」ってなるよね?
杉本視点が一緒じゃないのもストレスになり得るしね。カメラが抜いてくれる視点と自分が見たい視点って、どうしても一致しないじゃないですか。
逹瑯そうなったらVRしかないね。
杉本VRがあんな大げさな機械じゃなくて、コンタクトみたいなものを付けて体感出来るなら、もっと浸透するかもしれない(笑)。







