川村結花が、“会いたい”ゲストを招くライブ企画「duoでデュオvol.2」開催へ向け、ゲストの城 南海との対談が実現【前編】

インタビュー | 2024.06.21 19:00

シンガーソングライターの川村結花がこれまでに楽曲を提供したり、彼女自身が“会いたい”ゲストを招くライブ企画「duoでデュオ」。昨年7月に渡辺美里を招いて行われたvol.1に続く「duoでデュオvol.2」が7月5日、東京・duo MUSIC EXCHANGEで開催される。今回のゲストはデビュー曲「アイツムギ」をはじめ、川村が数々の楽曲を提供してきた城 南海(きずき みなみ)。この公演に先駆け、2人の対談をセッティング。「アイツムギ」にまつわるエピソードや「duoでデュオ」への想いなどについて語り合ってもらった。
対談の様子を前後編でお届けする。
──川村結花さんは城 南海さんのデビュー曲「アイツムギ」(2009年)の作詞・作曲を手がけていらっしゃいます。どのようなテーマで制作された楽曲だったのしょうか?
川村結花「今度、奄美大島出身のこういう子がデビューします」という資料をいただいたんですね。そのときに印象的だったのが“ジブリのような女の子”という言葉で。
城 南海初めて聞きました(笑)。

川村結花

城 南海

川村写真も奄美大島っぽくなくて、どちらかというとパステル感が強かったんですよ。曲の内容について「こうしてほしい」というものはそれほどなくて。歌声も聴かせてもらって、“天使”“巫女”のようなイメージもあったので、そこに沿って作ったんじゃないかな。「アイツムギ」の歌詞とメロディは5分くらいで出来たんですよ、じつは。私がお渡ししたタイトルは“愛紡ギ”だったんですが、いつの間にか全てカタカナになっていて。
そうなんですね! 知らないことがたくさん(笑)。

アイツムギ(full ver.)

──「アイツムギ」のレコーディングはいかがでしたか?
私にとっては生まれて初めてのレコーディングだったので、すごく緊張していたんです。これはたぶんスタッフの皆さんの作戦だったんですけど、「本番じゃないから、自由に歌ってみて」と言われて。「だったら(奄美大島のシマ唄の)コブシを取り入れてみようかな」と思って歌ったら、「はい、終了です」って(笑)。いい感じに力が抜けていて、自分のナチュラルなところを出せたと思います。
川村南海ちゃんの歌を聴いて、「清いな」と思いました。私が書いた曲に魔法をかけてくれたんだなって。「アイツムギ」の2番にはかなり強い言葉もあるんですけど、彼女が歌ってくれたことで、まるで海の神様が語っているような雰囲気になったと思いますね。
リリースから15年経って、歌詞の受け止め方も変わってきてるんですよ。レコーディングのときは18歳だったので、そのときなりの解釈で歌っていたと思います。MBSテレビの(情報番組)「ちちんぷいぷい」に「今月のおいしいうた」で、月の最後に設けられた1曲生放送で歌う「1曲だけのコンサート」というコーナーがあって、1か月間ずっと「アイツムギ」を歌わせてもらったんです。心臓が口から出そうになるくらい緊張しましたけど、そのおかげで関西のみなさんに「アイツムギの子や」って覚えていただいて。川村さんの地元(大阪)でも知ってもらえてうれしかったです。
川村「アイツムギ」を歌い続けてくれているのもすごくありがたいなって。人によっては「デビュー曲を歌うのは恥ずかしい」という時期があると思うんですけど、彼女はずっと「アイツムギ」を愛でてくれて、とても丁寧に歌ってくれて……話していると泣きそうになるんですけど、こんなに幸せな“子”はいないですね。
私にとっては大事なデビュー曲ですから。
川村その後もずっと交流があって、何曲も書かせてもらって。私はいろんなアーティストの方に楽曲を提供させてもらっているんですけど、南海ちゃんは“たくさん書かせてもらったアーティスト”の上位に入ってます。

──NHK「みんなのうた」で放送された「夢待列車」、叙情的なメロディと〈心のまま ありのままに この道を行けばいいと〉という歌詞が響き合う「ヒカリあれ」など、素晴らしい楽曲ばかりですよね。サンバのリズムを取り入れた「アカツキ」も印象的でした。
川村それまではミディアム、スロウの曲が多かったんですが、スタッフの方から「盛り上がる曲をお願いできますか?」というお話があったんです。作っていたときはサンバではなくて、「とにかくビートを効かせよう」というつもりだったんですよ、じつは。たまたま使ったループがサンバだったんですが、編曲のただすけさんがしっかりサンバにしてくださって。
そうだったんですね。
川村和音階で盛り上がる曲はたくさんあるし、奄美にもみんなで踊れる曲があるでしょ? サンバのリズムは少しテンポが速いけど、南海ちゃんに合うだろうなと思ったんです。原始的な雰囲気だったり、太陽のイメージもあって。
月をテーマにした曲が不思議と多いんですよ、私。それは声や私自身の印象をもとに作っていただいたものなんですけど、川村さんが陽をイメージして曲を作って
くださって。
川村南海ちゃんはよく笑うし、陽のパワーがあるからね。太陽の光で客席を照らすような曲もいいんじゃないかなって。
「ラララララララ~」というフレーズを入れてくださったので、それを活かして皆さんと盛り上がれる曲にしたいなと思って。奄美の踊りの振付を取り入れて、お客さんに歌ったり踊ったりしてもらうのが恒例になってるんですよ。
川村うれしいです。「アカツキ」のコーラスは日本っぽくもあるし、中東みたいな雰囲気、ブルガリアン・ポリフォニーっぽさもあって。あのメロディは世界共通じゃないかな。
奄美で歌ってもすごく盛り上がるんですよ。
川村たぶんブラジルでも盛り上がると思うよ。自分で書いた歌詞なんですけど、2番の歌詞に勇気づけられることもあります。
「あらがえば あらがうほど 足はもつれるもの」のところですね。
川村そうそう。「風を待て 雲を読め」
「流れが変わるまで」ですね!
──先日アップされた川村さんのセルフカバーも素晴らしかったです。ピアノのインストで「アカツキ」を演奏していて。
川村おかげさまでとても評判がよくて。昔から仕事をしている辛口のプロデューサーからも「すごくいいね」と言っていただきました(笑)。
カッコいいですよね! 背中を押してくれるメロディだなと改めて思いました。

提供曲をピアノで/アカツキ(城 南海さん)

川村7月の「duoでデュオvol.2」では、「アカツキ」にその日だけのアレンジを加えて披露しようと思っているんですよ。ワールドミュージックのテイストを少し入れたいなと。
さっきデモ音源を聴かせてもらったんですけど、すごくよくて。ステージで歌うのが楽しみです。

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