やまもとひかる、今までのキャリアとソロアーティストとして初ライブに対する思いを語る

インタビュー | 2022.12.22 18:30

ベース&ボーカルのソロアーティストとして活躍している“やまもとひかる”が2023年1月20日(金)、東京・Veats Shibuyaで初ライブ「AM vol.1」を開催する。
“ベース弾いてみた”カバー動画で注目を集め、ももいろクローバーZ、YOASOBIのサポートベーシストとしても注目されている彼女。2019年にキタニタツヤの書下ろし楽曲「DOGMA」でソロアーティストとしてデビューし、多彩なクリエイターと組んで「NOISE」「ZERO」「ツキカケラ」といった楽曲をリリースしてきた。
初ライブは、新曲「ナムネス」を手がけた眩暈SIRENとの2マン。やまもとはyu-ya(G/vivid undress)、仄雲(Dr/眩暈SIREN)の3ピース・バンドでステージに立つ。ソロアーティストとして大きな一歩を踏み出す彼女に、これまでのキャリアと初ライブに対する思いについて聞いた。
──やまもとさんがベースをはじめたきっかけから教えてもらえますか?

最初はピアノだったんですよ。5歳くらいから弾き始めたんですけど、その頃から「音楽を仕事にしたい」と思っていて。まだ小学校にも行ってないのに、「中学を卒業したら働く」って言ってたみたいです(笑)。父がドラマーだったせいもあると思いますけどね。かなり本気でやってたんですけど、テレビの“天才キッズ”(「天才キッズ全員集合〜君ならデキる!!」)で、すごいピアノを弾いてる子たちを見て、「これは勝てないな」と思って(笑)。ベースを始めたのは、中学2年のとき。SCANDALのTOMOMIさんに憧れたのがきっかけなんですけど、やってみたら、初心者にしてはわりとスムーズに上達したんですよ。生意気にも「ピアノの鍵盤に置き換えれば、わかりやすい」なんて思って。当時はSCANDALやUVERworldの曲をよく弾いてました。

──ロックバンドが入り口だったんですね。現在のやまもとさんのプレイには、ブラックミュージックの影響もあるのでは?

そうかもしれないです。小学校の頃、車でマイケル・ジャクソンの曲をよく聴いてて、「カッコいいな」と思ってたんですよ。インコグニートも好きで、「こんなふうに弾けたらいいな」って練習したり。

──なるほど。ベースを弾き始めてからは、プロのベーシストになることが目標だったんですか?

いえ、最初はバンドでデビューしたいと思ってました。実際、いくつかバンドをやったんですけど、どれも解散してしまって。その後もメンバーを探しつつ、「一人でやれることはないかな?」と思って、弾いてみた動画をアップするようになったんです。バンドを組むにしても、名刺代わりになる動画があれば、声をかけてもらいやすいかなって。結局、バンドに誘われることはなかったんですけど(笑)。

──弾いてみた動画が話題になり、フジテレビNEXTで放送中の音楽番組「しおこうじ井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村」にレギュラー出演したり、ももいろクローバーZ、YOASOBIのサポートベーシストとしても活躍。一気に知名度も上がりました。

いろいろな経験をさせてもらえて、本当にありがたいですね。ももクロさんのライブは凄腕ミュージシャンばかりで。毎回メンバーが違うんですが、すごく緊張があるし、勉強させてもらってますね。YOASOBIバンドはAYASEさんが集めたメンバーで、スタジオミュージシャンが一人もないんです。“バンドっぽくやりたい”という意向があって、リハもすごくしっかりやって。いつも楽しくやらせてもらってます(笑)。YOASOBIは、初お披露目が紅白(NHK紅白歌合戦)だったんですよ。知り合いや友達から「紅白出てたね」って連絡が来たり、いつも使っているスタジオの店員さんから「見ました」と言われたり。かなり反響がありましたね。

──ステージでの見せ方も広がりそうですね。

激しく動くというより、堂々と弾いていたいと思っていて。よく“仁王立ちで弾いてるね”って言われるんですけど(笑)、周りの人に安心してもらえるベーシストになりたいんですよ。少しくらいトラブっていても、「大丈夫だな」と思ってもらえるというか。実際にそういう頼もしいミュージシャンの方を見て、「私もこうなりたい」と思ったのがきっかけですね。

──そして2019年からはソロアーティストとしての活動をスタート。“やまもとひかる”名義の活動をはじめたきっかけは?

以前バンドをやっていたときも少し歌っていたんですが、“コーラスもできるベーシスト”という感じだったし、ボーカリストとして活動したいという気持ちはなかったんです。でも、ひとりで活動をはじめてからは、“動画を通して知ってもらいたい”と思いつつも、ベース・カバーの人なりたいわけではないなと。だったら自分で歌って、がんばってソロアーティストとしてやってみようと思いました。その後、ボイトレに通ったり、少しずつ準備をはじめて。

──1stシングルは、キタニタツヤさんのプロデュースのよる「DOGMA」。キタニさんに依頼したのはどうしてなんですか?

キタニさんの曲をリスナーとしてずっと聴いていて、カッコいいなと思っていたんです。「芥の部屋は錆色に沈む」のベース・カバー動画をアップしたときに、キタニさんがインスタで“めっちゃいい”ってコメントをくれて。ちょうどソロ活動を始めたいと思っていたときだったので、ワンチャン、曲を書いていただけないかなと思って(笑)、DMを送って直談判したんです。そしたら、快く受けてくださって。

DOGMA / やまもとひかる【Official Music Video】

──「DOGMA」はベーシスト、ボーカリストとしての個性がしっかり打ち出されていている楽曲ですね。

まだ何者でもなかったので、どういうことをやっている人かがわかる曲にしたくて。MVを見れば“弾きながら歌ってるんだな”とわかるけど、音源でもベースとボーカルを際立たせたかたったんですよね。その後に配信した曲もそう。ケンカイヨシさんと共作した「ZERO」はシンセベースの要素も入ってるんですが、「NOISE」「ツキカケラ」はベースをゴリゴリ弾いていて。どれも「これが私です」という名刺代わりの曲になっていると思います。

ZERO / やまもとひかる【Official Music Video】

NOISE / やまもとひかる【Official Music Video】

ツキカケラ / やまもとひかる【Official Music Video】

──ボーカリストとしてもすごく個性的だと思います。輪郭がハッキリしていて、激しい曲が似合っていて。

ありがとうございます。もちろんベースはバキバキに弾きたいんですけど、曲の主役はあくまでもボーカルだと思っていて。いちばんいいバランスを探しながら、いつも制作しています。自分の声に関しては……よく、“人混みの中でも、声がわかる”と言われますね(笑)。好きな声かどうかはちょっと微妙なんですが(笑)、確かに尖っているし、ベースをバキバキ弾いていても、ちゃんとボーカルが聴こえる。そこはいいところなのかなと思ってます。

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