“ベース弾いてみた”カバー動画で注目を集め、ももいろクローバーZ、YOASOBIのサポートベーシストとしても注目されている彼女。2019年にキタニタツヤの書下ろし楽曲「DOGMA」でソロアーティストとしてデビューし、多彩なクリエイターと組んで「NOISE」「ZERO」「ツキカケラ」といった楽曲をリリースしてきた。
初ライブは、新曲「ナムネス」を手がけた眩暈SIRENとの2マン。やまもとはyu-ya(G/vivid undress)、仄雲(Dr/眩暈SIREN)の3ピース・バンドでステージに立つ。ソロアーティストとして大きな一歩を踏み出す彼女に、これまでのキャリアと初ライブに対する思いについて聞いた。
最初はピアノだったんですよ。5歳くらいから弾き始めたんですけど、その頃から「音楽を仕事にしたい」と思っていて。まだ小学校にも行ってないのに、「中学を卒業したら働く」って言ってたみたいです(笑)。父がドラマーだったせいもあると思いますけどね。かなり本気でやってたんですけど、テレビの“天才キッズ”(「天才キッズ全員集合〜君ならデキる!!」)で、すごいピアノを弾いてる子たちを見て、「これは勝てないな」と思って(笑)。ベースを始めたのは、中学2年のとき。SCANDALのTOMOMIさんに憧れたのがきっかけなんですけど、やってみたら、初心者にしてはわりとスムーズに上達したんですよ。生意気にも「ピアノの鍵盤に置き換えれば、わかりやすい」なんて思って。当時はSCANDALやUVERworldの曲をよく弾いてました。
そうかもしれないです。小学校の頃、車でマイケル・ジャクソンの曲をよく聴いてて、「カッコいいな」と思ってたんですよ。インコグニートも好きで、「こんなふうに弾けたらいいな」って練習したり。
いえ、最初はバンドでデビューしたいと思ってました。実際、いくつかバンドをやったんですけど、どれも解散してしまって。その後もメンバーを探しつつ、「一人でやれることはないかな?」と思って、弾いてみた動画をアップするようになったんです。バンドを組むにしても、名刺代わりになる動画があれば、声をかけてもらいやすいかなって。結局、バンドに誘われることはなかったんですけど(笑)。
いろいろな経験をさせてもらえて、本当にありがたいですね。ももクロさんのライブは凄腕ミュージシャンばかりで。毎回メンバーが違うんですが、すごく緊張があるし、勉強させてもらってますね。YOASOBIバンドはAYASEさんが集めたメンバーで、スタジオミュージシャンが一人もないんです。“バンドっぽくやりたい”という意向があって、リハもすごくしっかりやって。いつも楽しくやらせてもらってます(笑)。YOASOBIは、初お披露目が紅白(NHK紅白歌合戦)だったんですよ。知り合いや友達から「紅白出てたね」って連絡が来たり、いつも使っているスタジオの店員さんから「見ました」と言われたり。かなり反響がありましたね。
激しく動くというより、堂々と弾いていたいと思っていて。よく“仁王立ちで弾いてるね”って言われるんですけど(笑)、周りの人に安心してもらえるベーシストになりたいんですよ。少しくらいトラブっていても、「大丈夫だな」と思ってもらえるというか。実際にそういう頼もしいミュージシャンの方を見て、「私もこうなりたい」と思ったのがきっかけですね。
以前バンドをやっていたときも少し歌っていたんですが、“コーラスもできるベーシスト”という感じだったし、ボーカリストとして活動したいという気持ちはなかったんです。でも、ひとりで活動をはじめてからは、“動画を通して知ってもらいたい”と思いつつも、ベース・カバーの人なりたいわけではないなと。だったら自分で歌って、がんばってソロアーティストとしてやってみようと思いました。その後、ボイトレに通ったり、少しずつ準備をはじめて。
キタニさんの曲をリスナーとしてずっと聴いていて、カッコいいなと思っていたんです。「芥の部屋は錆色に沈む」のベース・カバー動画をアップしたときに、キタニさんがインスタで“めっちゃいい”ってコメントをくれて。ちょうどソロ活動を始めたいと思っていたときだったので、ワンチャン、曲を書いていただけないかなと思って(笑)、DMを送って直談判したんです。そしたら、快く受けてくださって。
まだ何者でもなかったので、どういうことをやっている人かがわかる曲にしたくて。MVを見れば“弾きながら歌ってるんだな”とわかるけど、音源でもベースとボーカルを際立たせたかたったんですよね。その後に配信した曲もそう。ケンカイヨシさんと共作した「ZERO」はシンセベースの要素も入ってるんですが、「NOISE」「ツキカケラ」はベースをゴリゴリ弾いていて。どれも「これが私です」という名刺代わりの曲になっていると思います。
ありがとうございます。もちろんベースはバキバキに弾きたいんですけど、曲の主役はあくまでもボーカルだと思っていて。いちばんいいバランスを探しながら、いつも制作しています。自分の声に関しては……よく、“人混みの中でも、声がわかる”と言われますね(笑)。好きな声かどうかはちょっと微妙なんですが(笑)、確かに尖っているし、ベースをバキバキ弾いていても、ちゃんとボーカルが聴こえる。そこはいいところなのかなと思ってます。