高校3年生、部活動をした直後の2021年9月に1stデジタルシングル「嫌いになれない」でアーティスト活動をスタートさせ、コンスタントにリリースを重ねるなかで2022年3月には高校卒業記念ワンマンライブ「れん 1st ONEMAN LIVE ~きみのうた~」を開催。8月にオリジナル曲としては6作目のデジタルシングル「ゆらせ」をリリースし、10月には東阪ワンマンライブ「1st Anniversary Tour ~ゆらせ~」も決定している。
音楽活動を本格始動させ約1年、高校卒業から約半年経った彼は、今何を思いながら音楽と向き合っているのだろうか。これまでの歩みから今後のビジョンまで、じっくりと話を聞いた。
そうです。最初はサッカーの動画を上げていたんですけど、高校に入ってからサッカー部の友達に「歌った動画を上げてみればいいじゃん」と言ってもらったんです。僕はサッカーの練習中や試合前はONE OK ROCKやゲスの極み乙女、洋楽とか、ジャンル問わず好きな曲をめちゃくちゃ聴いたりしていたし、その友達は僕がよくロッカールームで歌っているのを耳にしていたからそう思ったみたいで。それで親戚の結婚式でONE OK ROCKの「Wherever you are」を歌った動画をアップしてみたら、たくさんの人に見てもらえたんです。
好きなことをやっている、という感覚でした。でもそれは今も同じかも。僕、好きなことしかできなくて。サッカーも好きで楽しいし、曲の投稿も小さい頃から歌うのが好きだから始めて、それを幸運なことにありがたい環境でやらせてもらっているんです。だからサッカーも音楽も、僕にとっては大好きな趣味なんですよね。それで結婚式の動画以降TikTokではサッカーの練習の合間にカラオケに行ったときの動画を上げていたんですけど、2020年にコロナ禍に入ってしまって。
家にいるのも退屈で、何かやってないと落ち着かないから動かないとと思って。前々から弾き語りができたらかっこいいなとも思っていたので、これを機会にギターを始めたんです。1、2万円ぐらいのギターを親に買ってもらって、半年以上それで練習しました。今までカラオケのゴージャスなオケで歌っていた曲も、弾き語りだとちょっと優しい感じ、エモい感じ、落ち着く感じが表現できるのが面白くて。そこから少しずつオリジナル楽曲のかけらをTikTokに上げるようになりました。
2020年の部活停止期間がなかったら、ほぼ間違いなくそのまま大学でもサッカーを続けていたと思います。弾き語りを始めたことをきっかけに、音楽についてより深く知るようになったんです。そしたら自然と自分で曲を作ってみたくなって。新しいことに挑戦していくのが新鮮で楽しかったし、たくさんの人に届いて、反応をもらえたことがすごくうれしくて。それでこのままサッカーを続けるか、音楽の道に進むかすごく悩んで。「高校最後のインターハイで全国に行ったとしても、大会が終わったら音楽活動をしやすい大学を受験しよう」と決めたのが2021年の5月でした。
監督や校長、学年指導の先生からも「考え直さないか?」と説得されました。母親のところにも「息子さんどうにかしてください」という電話がかかってきたらしくて(笑)。そこまで言ってもらえるのは本当にありがたいし恵まれていると思うんですけど、音楽を始めて得た経験は本当に新しいことばかりで……好奇心がどんどん湧いてきてしまったんです。母親も僕が決めたことは何を言われても曲げないとわかっているので、「もう本人が決めたことなので」って。
そうですね。「嫌いになれない」が出来上がったときに……女性に対しておこがましい言い方になってしまいますけど、子どもをつくるような感覚があったんです。曲は僕が死んだ後も残り続けるし、知らない誰かの元にも届いて、その人の心にも寄り添える。すごく神秘的でクリエイティブだと思いました。バンドに憧れはあったんですけど、まず自分の軸を確立させたかったので、ひとりで活動をしていくことにして。ちゃんと自分で自分の責任を取りたかったんですよね。
わ、うれしい(笑)。曲作りは習ったこともなかったし、最初は何をすればいいのかまったくわからなかったんですけど、僕の好きなコード進行や展開を意識しつつ、そのコードにメロディをはめて歌詞をつけていって。そうやって作ったのが「嫌いになれない」なんです。
「今日は曲を作ろう!」と意気込んで作り始めるときもありますけど、だいたいは普段生活していてメロディが落ちてきたり、生活のなかでふと自然に作り始めています。曲作りが義務的ではなく、趣味の延長線上でやれていることが、すごく自分にとってもありがたくて。曲作りも歌うこともライブも全部楽しいし、自分の知らない人にも自分の曲が届いていること、それを喜んでもらえたり共感してもらえるのもうれしい。全部同じくらい大事なんですよね。
僕の恋愛経験がまだまだ浅いのかも(笑)。ラブソングを書くときは僕の恋愛観もあれば、友達に聞いた話から生まれることもあるし、想像から生まれることもあって。「氷解」は幼馴染に恋をする男の子というシチュエーションを想像して、「きみのうた」は口に出せない、内心に秘めている独占欲をテーマに書きました。「Promise」は彼女ができた僕の友達から「彼女ができて初めてあの曲の良さがわかった」と言ってもらって。そう言ってもらえることも、自分が歌で思いを伝えられていることも、すごくうれしかったですね。