ありがとうございます! 周りの方達には『27歳はターニングポイントになることが多い』と言われてて、誕生日からまだ数日ですけど、すでにその風を感じています。
20代って経験値はまだ少ないじゃないですか。そこで、自分には何が合っているのか。周りと比較しながら探し求めていく中で、人生の4分の1が過ぎた20代後半に入って、自分の人生に思い悩み、ついつい自分を追い詰めてしまう。そういう迷いのことを<クオーターライフ・クライシス>と言うんだそうです。私の周りでいうと、結婚したり、出産した子もいて。だんだんと道が絞られてくる感覚もあるんですよね。コロナ禍もあって、上京した友達で実家に戻る子もいましたし。27〜28歳というのは、自分のテーマを選び直して進んでいく人たちが多い年齢だと思うんです。
コロナ禍の最中に自分と向き合って……私はやっぱり表現していくことを続けていきたいなと改めて思ったんです。いつここから抜け出せるんだろうって考えたらキリがないけど、「じゃあ、やめたいの?」って自分に聞くと、「絶対にやめたくない」という答えが返ってくる。だから、私は自分を極めることを続けたい。そういう気持ちで10周年以降に進んでいけることをとてもありがたく思います。
ここまでたくさんの出会いがあって。何一つとして無駄なことはなかったなと思います。私は常に自分のことを探し続けているタイプなので(苦笑)、私と一緒に音楽人生を歩んできてくださったファンの方は、時にびっくりしたり、時にちょっと哀しくなったりした方もいらっしゃるかなと思う。いいことばかりではなかったけど、泣き笑いしながら一緒に記念日を迎えられることが、まさに人生だなという気がしていて。苦しかったり、どうしても会えない日もあったけど、そこを乗り越えて、“今、ここ”にいることが全てだなと思っています。
私はその時その時で、自分が進んだほうがいいと思った道を選び取ってきたんです。自分が何かを選ぶということは、それがいいと思う人もいれば、ちょっと違うなと思う人もいる。選択をするってそういうことですよね。でも、それくらいの責任と覚悟を持ちながら歩いてきたし、「それでもレオちゃんを信じたい」ってついてきてくれたファンの方たちやスタッフが、今、ここに送り届けてくれた。次の20周年を目指す上では、私と同じように自分を探し続けていたり、何かに挑戦しようとしている人たちの力に少しでもなれたらいいなと思います。
いや、私は永遠に自分のことを探し続けたい人なんだなってことに気づいたという感じですね。向上心がすごく強くて、欲しがりで、現場に常に満足できないタイプだから。デビューから考えてみると、叶えたいなと思っていたことは、何らかの形で実現させていただいているんですけど、満足していなかったり、自分をなかなか褒めてあげられなかったりして。でも、そのエネルギーが、また来年、再来年って突っ走っていくガソリンになるんですよね。満足したら終わりだと思うし、永遠に勉強するという覚悟は持てたかなと思います。
一つの通過点ではあるんですが、武道館でライブができたこととか。あと、歳を重ねていくと、人が生まれ持った性質は変えることができないんだなってことがわかったんですよね。人と上手に折り合いをつけていく術は学べるけど、根本的なことは変えられない。今は、10代の時とは違った、20代での人間関係の悩みがあって、チョイスする言葉が強すぎたり、すれ違いになっちゃったりもする。本当は素直に「寂しかった」って言えばよかっただけなのに、もっと難しくして相手に伝えちゃったりとか。そういうフラストレーションを音楽にし続けたいし、それがないと絶対に生きていけない。だからこそ、ずっと歌っていきたいなと思っているし、10周年という節目を迎えることができたことも、叶ったことのひとつですね。まだまだこれからですけど。
5周年のタイミングで「変わった」って言ってたことが、また「変わって」、結局は、今、スタートラインにいた時と同じ自分になってるんですよ。なんというか、私は陰と陽がはっきりしてるタイプで、二極化が激しいなと思ってたけど、実は喜怒哀楽の全てが強くて、原色なんですよね。デビュー当時は、陰の方の作品を作って届けていくことが多くて。そのメッセージを世間のかたが受け取ってくださって。
ありがたいですよね。でも、もちろん陰だけじゃなく、陽もあって。二十歳を越えて、プロデューサーの多保孝一さんと出会って、『WE』というアルバムを作った。陰と陽の両方をやってみたときに、どっちかを選ばなくていいんだな、両方を肯定していいんだなって思えたんですね。年々、自分らしくいられるようになってきて。だから、変わってるようで変わってないというか。ずっと足し算をやってきたけど、自信が持てると、引き算すること、服を脱ぎ捨てることができるんだなって思って。どんどん裸の心に近づいてきてるなと思います。
選べないな〜。でも、やっぱりライブかな。コロナになる前は日常的にライブというものがあったから、自分がどれほどライブが好きなのか、気づいてるようで気づけてなかったんですね。曲作りやレコーディングは、どんどん自分の中に矢印を向けていく作業なんですよ。歌詞を書きながら、自分の気持ちを知ったりするけど、ライブは目の前にお客さんがいて、私という湖にみんなが小石を投げてくれるんですね。だから、同じ言葉と同じメロディだとしても、泣いてくれてる人がいたら、語りかけるように歌いたくなるし、笑ってくれてる人がいたら、包み込めるような声色で歌ってみたくなるんです。
そうですね。さらに、この歌を届けたいというエネルギーをもらってる気がします。それに、ライブは、お客さんが私をもっと私らしくしてくれるんです。おもしろいのが、お客さんも同じことを言うんですよ。「レオちゃんの歌を聴いていると、自分を取り戻せます」って。そういう浄化の場になってるというか。マネージャーに「家入レオのライブは一人で参戦する方が多いです」って言われてびっくりしたんですけど、どうやら類は友を呼ぶみたいで……。
同じような性質を持ったあなたと私だから心を預け合えるのかもしれない。音楽ってそこが素敵なことだと思います。