私は幸いなことに、音楽以外にも家族があって、特に子供のことでいろいろ気持ちを向ける先があったから、なんとか健康な心を保ってこれたのかなと思うんですけど、それでも“音楽が足りない!”という感覚はあったから、YouTubeの番組で爆発したり(笑)、オンライン・ライブをやってみたり…。バンドも、やれない状況があると余計に一緒にやりたくなっちゃうんですよね。しかも、バンドとしての状態がどんどん上り調子で来てたところにピタッと頭を抑えられるような状況になってしまったので、ちょっとやりきれない気持ちでした。レコーディングはなんとかやってたんですけど…。
■岸谷 香 Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/channel/UCDqNkVQ7d5ZkHSOe_oFK7WA
とにかく、このパッとしない日々に、パッとしてる音楽が必要だったんですよね。それは、私たち自身も含めて。だから、あのレコーディングについては新作のテーマを?とか、そういうややこしい話は全くなくて、“今はとにかくやらなきゃダメだ!”っていう感じでした。
(笑)。あれしか考えられなかったです。というか、こういう状況でやりたいと思うものは、自分が本当に好きなものだと思うんですよ。そういう曲をガールズがものすごく喜んでやってくれてるのを見て、やっぱりこれで良かったんだなと思ったし。この状況の中で、自分の原点みたいなものがはっきりしたなという感じもありますね。
話しましたよ。というか、彼女の長男とウチの長男は同い年なんですよ。それもあって、「どうしてる?」ってママ友会話みたいなことはけっこうLINEでやり取りしたりしてるんです。そういうやり取りのなかで「ホント、最近は冴えないよね」「何かパッとしたのを作りますか」みたいな話になって、その会話を今から振り返ってまとめると「プリプリみたいな曲をやりたいね」ということでしたね。とにかく今はパッとしないから、青い空、輝く太陽、海も広がっててスカッとする!みたいなのをやろうって(笑)。
そうですね。私も、ファンの皆さんと私たちをつなげる共通の思いを表現した一節だと思いました。それに、プリプリがそういう音楽を元気一杯やってた80年代後半から90年代初めという時代自体、夏のイメージがあると思うんですよね。
プリプリも、長いツアーはずっと夏にやってたし、夏のイメージがありましたよね。それなのに、去年はあの冴えない夏を過ごしたから、どうしてもこういうのをやりたかったんだと思います。“こういうのが絶対好き!”と思ってレコーディングしてましたから。
青春って、その真っ只中にいると意外とわからないものじゃないですか。過ぎてこそ気づく、みたいな。
彼女たちももう30代だし、前にバンドでデビューしたりしたキャリアがあるから…。青春というものとの距離感は私とはちょっと違うかもしれないけど、それにしても今が真っ只中というわけではないから、そういう意味ではみんなで共有できたものがあるんじゃないのかなあと思うんです。サウンド的にも、私が不思議に感じるくらい彼女たちにもしっくり来てて、すごく楽しそうに演奏してたし。「胸キュンですよね」とか言ってましたよ(笑)。