結成20周年のアニバーサリー・イヤー真っただ中、MONKEY MAJIKから届いた12作目のオリジナル・アルバムは、Maynard&Blaiseの故郷・カナダでレコーディングされた『northview』。それは『eastview』(2005年)から始まった「viewシリーズ」完結編であり、リアルタイムの洋楽R&B、ヒップホップ、ロックにJ-POPのエッセンスをクロスオーバーする、唯一無二の音楽性にさらに磨きをかけた、バンドの最高到達点と呼ぶにふさわしい充実の一作。7月11日には東京に新しく生まれたホール、東京ガーデンシアターで、「花鳥風月」と題した20周年プロジェクトを締めくくるスペシャル・ライブも決まった。アルバムについて、バンドのヒストリーについて、ライブについて、4人の本音を聞いてみた。
──ニュー・アルバム『northview』は、「viewシリーズ」の完結編。これで東西南北、コンプリートということで。
Maynard(Vo&Gt)コンプリートしましたね。
Blaise(Vo&Gt)20年かかりました。
──そもそも、カナダのレコーディングって、誰が言い出したんですか。
Maynardnorthだから、スウェーデンとか、アイスランドはどう?とか言ってたんだけど。「カナダじゃないの?」って、メンバー内でそういう話もあって、「そうだね」っていう感じ。
Blaiseカナダに決めた時に、イエローナイフに行こうかなと思った。オーロラを見に。そこできれいな写真を撮ったら面白いねって言ってたんだけど、なかなかいいスタジオがなくて。バンフのリゾートで、山が目の前にあって、キャビン(山小屋)があって、「ここがいいね」って。
──ジャケット写真の、この風景のところ?
Maynardそう。ロッキー山脈の、バンフって聞いたことあります? バンフ・ナショナル・パークのふもとの、キャンモアっていうリゾート地に泊まりながら、カルガリーのスタジオに通ってたんですよ。
DICK(Ba)日本では考えられない距離感だけどね。150kmぐらい離れてたから。
──スケール感が違うなあ。TAXさん、カナダ・レコーディングの感想は?
TAX(Dr) 寒かったです(笑)。
Blaise11月だからね。マイナス25度くらい。
TAX でも期待通りの寒さで、逆に寒くないほうが嫌じゃないですか。肩が狭まるような感じで、そこで感じることを曲に落とし込めるのが、viewシリーズの醍醐味でもあるので。その土地に行って、その土地の感覚で曲を作るなんて、贅沢な環境ですよね。二人は特に、ふるさとでもあるから。Maynardの若い時の話で、「この季節、嫌いだったんだよね」とか。
Maynard冬の手前が、あんまり好きじゃなかったんですよ。何もないですから。
TAX「その感じわかる!」とか言いながら。東北人としては(笑)。
Maynard秋の始まりとか、紅葉はすごくいいじゃないですか。でも散ってしまえば、どんどん寂しくなる。カナダは10月に雨が降ったりするので。まだ雪も降らないし。
TAXアイスホッケーもできない。
Maynard僕はそれが寂しかった。それが逆に、インスピレーションになる人もいるだろうけど。新学期の9月は楽しくて、全部が新しくて、でも10月になると、「そういえば俺、友達いないな」って。一人でランチ食べたりして、外見ながらぼーっとして。それでクリスマス手前になると、フェスティバルなシーズンに入って、なんだかんだ友達もできて、クリスマス・ホリデーに入って行く。その前、だいたい10月、11月はちょっときついんですね。
──それってもしかして、アルバムの最後に入ってる「Walk Alone」の歌詞の話?
TAXはい。
──この曲大好きです。すごくナイーブで、メランコリーで。そういう背景を知ると、ますますいい曲だなあと思いますよ。DICKさん、カナダ・レコーディングは?
DICKスタジオがすごく良かった。日本から見ると、カナダは音楽的にわりと新しい国のイメージがあるけど、ロック/ポップにおいては、日本より歴史を感じられるところがたくさんあって。スタジオのオーナーがビートルズが大好きで、機材のラインナップも楽器のコレクションも充実してて。ドラムはすごかったよね。
TAXすごかった。全部叩きたかった。
DICK脈々と受け継がれてきたものがあるんだなと思いました。そこで作業したあとに、カルガリーにあるナショナル・ミュージック・センターというところに行ってみたら、もっとすごくて。見たことない機材がいっぱいあって、音楽の歴史がすごくある国だなって、認識を改めました。
──Blaiseは?
Blaise楽しかったね。20年ぶりに、(カルガリー、バンフのある)アルバータ州に入って、変わったなと思いました。20年前に初めて行った時、めちゃくちゃインパクトあったのに、全部変わってた。マクドナルド以外は(笑)。レコーディングはすごく楽しかったし、スタジオのスタッフさんもいい人で、家族になったみたいな感じ。このアルバムをすごい気に入って、ヴァイブスがすごく良かったですね。あと、僕は冬が大好きですね。雪が大好き。今回、『northview』というコンセプトで、真っ白なイメージで、ミュージック・ビデオも、アルバム・カバーも全部真っ白。今まで、ギリシャのサントリーニとか、ニュージーランドにも行ったし、みんなパラダイスだったけど、今回が一番つらいところで(笑)。
──アハハハ。確かに、パラダイスというには寒すぎる。
Blaiseそのギャップがいいと思いますね。すべてのアルバムに、違うイメージが出るようなアルバムが作りたかったので。