──そして、「恋人失格」は、みゆはんさんに楽曲提供した、「たばこ」のアンサーソングのセルフカバーになってます。
みゆはんちゃんにお願いされなかったら書かなかったし。違う人にお願いされてもこういう風にはならなかったと思う。ほんとに出会いとタイミングがすごくよかったので、感謝してますね。「たばこ」を聴いた後に聴いてもらうと、答え合わせもできるように、歌詞が繋がってたりもしてて。
──男性視点ですよね。
そうですね。「たばこ」を聴いた人が、たまに「そんな男、やめとけ」ってコメントしているのを見てて、いや、男にも事情があるんじゃないかって思ってて。別れって、どっちかだけ一方的に悪いって思うような時でも、二人のすれ違いがあると思うんですよね。「恋人失格」の男の子は、「お前も仕方なかったよな」って周りがちゃんと言ってくれるような人物にしたかったので、そこだけ気をつけましたね。
──王道バラードの「恋人失格」と、続く、「帰りたくないって」の2曲はコレサワさん編曲になってます。
「帰りたくないって」は一番短い曲で、歌も全部ダブルになってて、オートチューンもかかっていて。やってみたかったことを全部詰め込んだ、元彼の家に荷物を取りに帰る女の子の曲。「自分の気持ちVS自分の気持ち」の戦いの感じをアレンジでも出した感じです。
──BPM152と一番速い曲にもなってますが、どんな気持ちですか?
元彼の家に荷物を取りに行く時、「泊まってけよ」って言われた時に、まだ好きだから、「うん」って言いたいけど、言いたくない、みたいな。ほんとに自分との戦い。その後、どうなったかは歌ってないから、聴く人それぞれにお任せしたいなと思います(笑)。
──これは男がずるいですよね。まだ女の子に気があるのはわかってて言ってる。
そこなんですよ。優しさを履き違えてるというか。突き放す優しさを持たないといけないんですよ、別れた時って。慰めとかいらないんですよね。それで、どんだけ女の子が泣いたかを考えて欲しいですよ、男子には!
──男を代表して、なんか、すみません(笑)。
「Day by Day」もそうですけど、ちょっとでも気がないなら、突き放せ!って思います。
──…肝に銘じます。「センチメンタルに刺された」はどんなところから生まれた曲ですか。
お風呂を溜めてて、ウキウキしてた時に作ったんですけど、女の子って、常にセンチメンタルがそばにいて。そいつが、急に牙をむくか、温もりに変わるか、みたいなところがあると思うんですけど、これは、牙を向けられちゃった女の子の気持ち。ライブでやった時に、みんなで楽しめるような曲になったらいいなと思いました。
──カラオケで女子に大声で歌って欲しい曲ですね。
そうですね。振られた時とか、ストレス発散で歌って欲しいなと思うし。アレンジもすごいカッコいいので、ライブで早くやりたいです。
──アレンジャーの出羽良彰さんにはどんなリクエストを出しました?
かわいいロックでパンクなイメージで、あとは、出羽さんなりに色をつけて欲しいってお願いしました。MVは私が部屋でただただリモコンをもって歌ってる映像をウチボリさんに送って。これを参考にしてくださいって感じでした。
──あの子、思い出の品を全部捨ててますよね。
私は一時保管タイプなんですけどね(笑)。すぐに捨てなくていいと思う。捨てられるものは捨てるんですけど、どうしても捨てられないものは無理に捨てずに、一時、保管して。もうなんとも思わなくなったら捨てるし、ちょっとでも捨てにくい時は無理せずに置いておくタイプですね。
──「センチメンタルに刺された」で<えーん>と泣いたあとが、「やっぱり泣くでしょ」で。
別れを受け入れて感謝している女の子だから、7曲の中で一番、大人といえば大人かもしれないですね。どうせ別れるならそうやって、いがみ合うんじゃなくて、ちゃんとお互いに「いい出会いだったよね。それぞれまた頑張ろうね」っていう別れ方をしたいなと思いますね。それができてる子だからまた切ないんですけど。
──<君が撮ってくれた写真>のところがとてもリアルですよね。
恋人が撮る写真って、ほんとに味があるというか、なんの気無しに撮った写真も良かったりするじゃないですか。そういう思い出って、みんなにもあるんじゃないかなって思いますね。あと、振った側としても聴ける曲だから、いろんな別れを経験した人にも届いて欲しいなと思います。
──編曲は、コレサワさんのライブのサポートもしていた藤澤有沙さんです。
最近はアレンジャーのお仕事をやっているので、ライブでは弾いてもらってないんですけど、今までのレコーディングでほとんどの鍵盤を弾いてくれてたのがアリちゃんで。アリちゃんと一緒にドライブすると、彼女が好きなK-POPがずっと流れてるんですよ。それで、打ち込みっぽいのもカッコいいなって思うようになって。やってみたいってずっと言ってて。今回、この曲ができた時に、これは打ち込みでいけるやつだと思ってお願いして。今までになかったから、みんな新鮮な気持ちで聴いてくれると思うし、面白いって思ってもらえたらいいなと思います。
──そして、ラストナンバーがピアノバラード「バカでしょ」で編曲は渡辺シュンスケさん。
シュンスケさんは「恋人失格」のピアノを弾いてくれてて。そこで初めてお会いして、「なんて素敵なピアノを弾くんだろう!好き!!」ってなって(笑)。絶対にシュンスケさんにもアレンジして欲しいってなって、今回、お願いしました。この曲は一番失恋っぽいというか。まだ後ろ向きだし、アレンジも失恋全開だし、曲自体もシンガーソングライターが作った曲っていう感じがして。一番私っぽいなって思って最後にしました。
──「バカでしょ」って言葉にはどんな思いが込められてますか。
恋をしてるとその人しか見えなくなったり、恋愛してない時の自分にはない汚いところが見えたりするじゃないですか。「女の子と飲みに行かないで」って言っちゃったりとか。それが友達や仕事関係の人でもやきもち焼いちゃったりとか。なんで自分、こんなことで怒ってるんだろう、バカだなって思う瞬間が、恋愛にはあるから。
──恋愛はネガティブな部分を見せ合うこともありますよね。
うんうん。ドロドロ、ぐちゃぐちゃしてる感じがこの1枚で伝わればいいし、だからこそ、思いが通じ合った時は綺麗で、大事にしなきゃいけないんだってことを感じ取ってもらえたらいいなと思います。あと、こんなに失恋の曲ばかり書いた自分に対しても「バカだな」とも思いますね(笑)。
──失恋ソングばかりのミニアルバム作ってみて、どう感じました?
楽しかったし、コンセプトを決めてやるのが自分は好きだって気づきましたね。書き下ろしもそうですけど、テーマがあったり、縛りがあったり、こういうワード入れて欲しいって言われると燃えるんですよね。絶対にそのキーワードを入れつつ、いいものにしてあげたいっていう気持ちになる。今回もそういう感覚でした。失恋をテーマに、みんながしゅんとしたり、グッとくるような曲を作りたいって気持ちだったから楽しく作れたし、別れがテーマだけど、出会いがいっぱいあったので、そのバランスが面白かったなって思います。失恋してなくても、恋愛をしたことがなくても、恋愛の面倒臭さや切なさを味わってもらえるような1枚になったんじゃないかなと思います。
──タイトルはどうして「失恋スクラップ」にしました?
いろんな失恋を記録したいんですよね。私は、たとえ嫌な思い出でも、それが自分のためになるって思ってるし、忘れたくないっていう気持ちがある。だから、単純に「失恋の思い出をスクラップする」という意味と、「スクラップ」には「潰す」とか「粉々にする」っていう意味もあるから、それって、失恋の時の気持ちと似ているなと思って。2つの意味があるこの言葉がいいなと思って、「失恋スクラップ」にしました。
──今後も失恋ソングは書き続けますか?
これだけ書いたから、今は愛情を歌いたい気持ちでいっぱいです(笑)。ただ、コンセプトを決めることによって、次はこういう気持ちを歌いたいっていうのが見えてきたりしたから、また次のものを楽しみにしてほしいなと思いますね。
──そして、3月からは「HEART BREAK TOUR!!」がスタートします。
言っちゃえば「失恋ツアー」なんですけど、英語にするとポップな感じがして(笑)。辛い状況とか、ピンチな時って、周りと一致団結すると絆が深まるじゃないですか。「ここ、辛いけど、頑張ろうね、みんなで!」っていう時って、「おー!」ってなる。そうやってみんなで1つになれるようなライブにしたいし、湿った感じの曲は湿った感じでやりたいけど、明るく騒げるようなライブにしたいと思います。
──2019年はヴァイオリンのクインテットとのツアーや、バンドスタイル、弾き語りスタイルもありました。
今回はバンドで、しかも、初日から最後まで全部、同じメンバーでできるんですよ。ファイナルに向けてどう仕上がるのか。自分でもわからないから楽しみですね。
PRESENT
「MVに出てたエコバッグ」を3名様に!
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