15本のツアーを4ブロックに区切り、1997年の1stアルバム『LOOKING FOR ELVIS』から、2000年の4thアルバム『BUTTERFLY HEAD』(このあと解散、2007年に復活)までの4枚をテーマに1ブロックずつライブをやっていくツアー“Gods Of The Wasteland Tour 2019”をOBLIVION DUSTが行う。過去の特定のアルバムに特化したツアーというのは、洋邦ともに最近行うバンドはいるが、このように1本の間にグラデーションのように初期の4作品を表現していくツアーを行うというのは、レアな試みなのではないかと思う。KEN LLOYD(Vo)とRIKIJI(Ba)に訊いた。で、せっかくなので、その4作品を回想してもらって文末に付けたので、そちらもぜひお楽しみいただければと思います。
──今回こういうツアーをやろうというのは、どなたの提案ですか?
KEN LLOYD(Vo)僕です。解散前(2000年)に一回やったんですよね。(赤坂)BLITZで『LOOKING FOR ELVIS』(1st)、『misery days』(2nd)、『REBORN』(3rd)までやって、NKホール(当時舞浜にあった6,500人収容の会場)で『BUTTERFLY HEAD』(4th)のライブをやって。それが、ファンにとってすごいよかったみたいだったし、俺にとってもすごいよかったから。で、今回のタイミングでやるのはどうか?っていう。普段やらない曲を一気にやるチャンスなので。
RIKIJI (Ba)前回のツアーリハの時、KENと「そろそろそういうのをやってもいいよね」っていう話をしていて。あと、歳食ったから、ラクなんですよ、昔の曲の方が。
──ラクとは?
RIKIJI簡単(笑)。新しい曲は、けっこうビシッとデジタルで──。
──シーケンサー使ってるし、緻密ですよね。
RIKIJI曲のBPMも決まってて、ガッツンとそこにはまるような演奏をするっていう。それもいいけど、ラフな感じで、「せーの!」で音を出すみたいなのもやってみたくなった、個人的にはそういう気持ちもあって。
──聴き直してみたりしました?
KEN LLOYDうん。けっこう、厳しいよ?
RIKIJIはははは!
KEN LLOYDファーストとかけっこう厳しいな。おカネない中で作ってるし、テクニックもないし。20年以上前だからね、今に比べたら、「音、ちゃちいなあ」と思って。俺の歌い方も、まだまったくマスターできてないし。初めてレコーディングした時に、俺、マイクスタンドをずらしていいって知らなかったから、ずっとこうやって歌ってたの(※高いところにあるマイクに向かって上を向いて歌う)。
──はははは。
KEN LLOYD「なんか今日音程合わないねえ」ってプロデューサーに言われて「そりゃそうだよ、マイクめっちゃ高いもん」「え、言えよ!」みたいな(笑)。でもまあ、自分たちの過去なので、それは全然誇りとして。あれと一緒じゃないですか?昔の彼女をふり返るみたいな。
RIKIJIええっ?また会いたい?
KEN LLOYDいやいや、いいわ(笑)。
──RIKIJIさんは聴き直してます?
RIKIJI聴き直してますよ。技術が上がってるから、「ここはこんなふうになるだろうな」とか「ここはこういうアレンジにしたらおもしろいだろうな」とか。まあ、いちばん重要な人がいないから──。
──ああ、K.A.Zさん(Gt)、骨折が治らなくて参加できないという。
RIKIJIそうなんですよ。でも前回のツアー中、K.A.Zさんがケガする前に、「次のツアーは昔の曲をやろう」っていう話は出ていたから。その流れなんですけどね。
──さらに大変なのが、このツアー、15本を4ブロックに分けて、ファーストから4枚目までやっていく、だから4本ごとにセットリストがガラッと変わるという。
KEN LLOYD大変だけど、全然できる範囲というか。ここ2~3年、コンスタントにツアーやっていて、メンバーはライブの感じが身体に染みついてるから。
──これだけ毎年ツアーをやっているというのは、このバンドの歴史を考えると、めずらしいですよね。
KEN LLOYDめっちゃめずらしい。
──なんでそれができるようになったのか。
RIKIJIアルバム作ってないからじゃない?
KEN LLOYDはははは!
RIKIJIアルバム作ると、けっこう時間かかるから。その時期は他のことできなくなっちゃうんですよ。
KEN LLOYDこのバンドは不器用で。一個のことに集中すると、他のことができないから。レコーディングしつつツアーをするとかできないんですよね。
──前にインタビューした時に、RIKIJIさんが、ツアーのたびに、終わるのが悲しくてしょうがない、っていう話をされていて──。
RIKIJIああ。まあ、レコーディングをやっているか、ツアーをやっているか、どっちかじゃないと……とにかく活動し続けたい、止まるのがイヤっていう。動き続けてるっていうのがいちばんいいっていうことで。