KENとRIKIJIがふり返る、1stから4thまでのOBLIVION DUST
RIKIJIこれはね、俺は弾いてないんですよ。オブリに入ったのは、これが出たあとだから。で、今回のツアー、K.A.Zさんいないから、このアルバムのパッケージに入ってる本人はKENだけなんです。だから、KEN以外は第三者の目で見たこのアルバムを、どういう解釈で、どういうアプローチで演奏して、お客さんを納得させるか、っていうおもしろみがあると思いますね。
KEN LLOYDこのアルバムは、ナイーヴな中の……希望、みたいな。まあ、すごくエキサイティングな時期でしたよね。俺はバンドをやるのも初めてだったし、海外に行くのも新しいし、レコーディングスタジオの仕組みもわかってなかったし。何をしてもいいのか、何をしちゃダメなのか、何もわかんないから許される、みたいなのがありましたね。若かったなあ、っていう。
RIKIJIこのアルバムは、俺はもうつらい思い出しかない。プロデューサーのレイ(・マクヴェイ)とケンカばっかりしてて。オブリのやりかたを自分の中に浸透させる作業中に、プロデューサーからめちゃくちゃな要望が来る、みたいな……今となってはいい経験なんですけど。アメリカにレコーディングに行って、ろくに英語もしゃべれなくて……けっこういっぱいいっぱいで。レイとはよくケンカしてた。ベースで殴りかかったこともあるし。
KEN LLOYD後ろから。エンジニアに止められた。
RIKIJIだからもう、今やり直せるんだったら全部録り直したいぐらい。後悔はしてないですけどね。楽しかったし、3ヵ月アメリカに行ってレコーディングっていうのは。
KEN LLOYDこれはまあ、ほろ苦い感じですよね。甘酸っぱいっていうの? どんどんバンドが上がっていくのを感じられたし、同時にレコーディングのやり方を俺もわかってきたし、自分のアイデンティティが見つかっていく。なんだけど、ここらへんで、バンドの中のピリピリ感はけっこう出てきて。そういうのもあって、ドラムがこのあと代わるんですよ。
RIKIJIこのレコーディング中に、もうそういう話をしてたね。
KEN LLOYDこの時点から崩れだしてたんだね。
だから『misery days』。俺けっこう、アルバムタイトル、正直に付けてるの。ただ、このアルバム、楽曲はすごくいい。実験的なんだけどちゃんと曲として成立してるし、キャッチーさもあるし。オブリの初期を支えてくれた曲は、けっこうここで作られてましたね。
だから『misery days』。俺けっこう、アルバムタイトル、正直に付けてるの。ただ、このアルバム、楽曲はすごくいい。実験的なんだけどちゃんと曲として成立してるし、キャッチーさもあるし。オブリの初期を支えてくれた曲は、けっこうここで作られてましたね。
RIKIJIセカンドを録って、オブリのシステムというか、流れというか、それがだいぶ身について。バンドの方向性だったりを、自分のアイディアとかプレイで……前はバンドに乗っかってるだけだったのが、ちょっとずつコントロールできるようになってきたのが、このあたりで。だから、自分の中では、ここからOBLIVION DUSTの本当のメンバーになった、みたいなイメージです。バンドも……『misery days』までは、プロデューサーだったりディレクターだったりの力が強かったのが、バンド主導になったのはこのアルバムから、っていう印象ですね。
KEN LLOYDうん、オブリがほんとにちゃんとオブリになったのは、ここかな、っていう。新しいドラマーも入って、新しい空気になって、「これは立て直せるかな」って感じはあったし。あとこのアルバムは、“YOU”とか“CRAZY”っていう、ロックじゃない人にも刺さるような曲が書けたので。決してロック好きじゃない人にも「あの曲いいよね」って言われるような……あれは不思議な心地よさがあった(笑)。
RIKIJIこの頃はもう、バンドの内情はかなりグシャグシャになってたけど、音はいちばん分厚いんですよね。アルバムとしての重量感があるというか。だから、このアルバムは好きですね。ほんとに成長している、進化しているのが、この時に爆発したかなっていう。KENがつかんだのがこのへんじゃないかな。
KEN LLOYD歌をね。
RIKIJIだから、歌も含めた重圧感が出て。メロディラインだったりすべてにおいて、完成度が高くなった。なんか自信がありましたね、このアルバムは。でも、これを出して、俺は先に脱退するんですけど(笑)。
KEN LLOYDこの頃は、あんま憶えてない……もう、酒にやられてましたね。
RIKIJI(笑)。荒れてたもんね。
KEN LLOYD荒れてた、とにかく。今RIKIJIが言ったけど、歌としてはここで成長したっていうか、けっこう固まったところはあったんだけど。でも、この時俺、まだ24歳とかですからね。精神的に辿り着けてなかった。
RIKIJI『BUTTERFLY HEAD』は、日本で録ってるんですよ。それまではみんなでセッションして作ってたんだけど、このアルバムは個々で楽曲を持ち寄って……プロトゥールスとかできっちり作ってきて、それをバンドでやるっていう。
KEN LLOYDそれが、いいところも悪いところもあって。オブリってけっこう、指揮者がいないといけなかったりもするの。その指揮者がそれまでプロデューサーのレイだったんだけど、『BUTTERFLY HEAD』でセルフ・プロデュースになって、メンバーだけになると、指揮者タイプがいないから、そこでもめたりとか。それは今でもそうですよ、制作に関しては。指揮者がいない。ドライバーがいないスクールバス、『スピード2』みたいな。
RIKIJI(笑)。『1』じゃないんだ?
KEN LLOYDでもね、俺、これがいちばん好きなアルバムなの。音の質感が好き。それまでって「ロー弱いなあ」とか思うこともあったんだけど、このアルバムはローしっかり出てるし、ずっしり感があるし、グルーヴしてるし。ここでやっと、オブリのサウンドっていうものができた気がします。このあと解散するんだけど(笑)。
楽しみですよ、ツアーが。ずっとやりたかったからね。
楽しみですよ、ツアーが。ずっとやりたかったからね。
PRESENT
RIKIJI(Ba)の使用済みピックを3名様に!
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