OBLIVION DUST “Dystolumina” Winter Tour 2023
2023年12月9日(土)新宿BLAZE
終演後に残ったのはなんとも言えない爽快感であり、終わったばかりなのにライヴをまた見たいという気持ちだった。OBLIVION DUSTの全国6箇所を廻ったワンマンツアー「“Dystolumina” Winter Tour 2023」が12月9日に新宿BLAZEでファイナルを迎えた。
場内の空気は開演前から期待で溢れ、ざわめいている。そんな中、SEが流れ、メンバーが次々に登場。オープニングは強力なグルーヴに持っていかれる「No Regrets」だ。うねるビートはまるで生き物が動き回っているかのよう。K.A.Z(Gt)がロングトーンが心地いいギターソロを響かせ、のっけからアグレッシブなアクトだ。続いて2022年にリリースされた最新ミニアルバム『Shadows』からメロディックで疾走感たっぷりの「Glitch」が投下されると両手を挙げて身体を揺らせるフロアから大歓声。本ツアー2本目、柏PALOOZAでのライヴを目撃したが、数本のライヴを経てさらにパワーアップしている彼らに驚かされたのがこの日のステージだった。3rdアルバム『REBORN』(1999年)収録曲の「Plastic Wings」ではハンドクラップの中、さらに加速させていく。
「新宿BLAZE、こんにちは。『“Dystolumina” Winter Tour 2023』のファイナル、よろしくお願いします。ツアーファイナルでもあるんですけど、残念ながらこの会場もファイナルということで(来年7月に閉館)、OBLIVION DUSTとしてはここでやるのが最後になるので、みなさん、思う存分、暴れて楽しく思い出に残るよう帰ってください」
KEN LLOYD(Vo)がそう挨拶し、放たれた「Searchlights」はどこまでも広がっていくサウンドスケープとKENのヴォーカルに恍惚感すら覚える完成度だ。後半では息を合わせるようにドラムのARIMATSUの前にRIKIJIとKENが集結した。間髪入れずキラーチューンが連続投下。K.A.Zのギターリフで始まり、KENが「COME ON!」と煽った「Under My Skin」は痛快そのもの。RIKIJI(Ba)の骨太なベースがフィーチャリングされ、フロアがジャンプする中、KENが水を撒き散らす。場内は沸騰状態。KENがローからファルセットまで声を使い分けて魅了する「Crawl」でさらに火をつけ、「Syndrome」ではシンガロング。K.A.Zがドラム台に上がり、RIKIJIがベースのネックを高く掲げた。
MCでは前日に誕生日を迎えたARIMATSUが祝われ、RIKIJIが「Happy Birthday to You」のフレーズを弾くサプライズも。「おめでとうございます。これからもずっと変わらないアーリーでいてね。いつまでも永遠に」というKENのメッセージから「Forever」に移行する展開も心憎い。
本ツアーで感じたのは新曲たちのポテンシャルの高さだ。オブリ持ち前のメロディと’80年代ニューウェーブや’90年代ブリットポップのエッセンス、長年、突き詰めてきたグルーヴが渾然一体となった『Shadows』の曲たちはOBLIVION DUSTにしか鳴らせない。彼らのルーツと最新の音が絶妙のバランスで混ざり合い、脳までブラッシュアップされる気分だ。
中盤では美しい景色を描き出すようなセンシティブなバラード「Traces」と憂いを含んだメロディとたゆたうようなサウンドが心地いい「With You」をドロップ。2ndアルバム『misery days』収録曲の「Disappear」を演奏するとフロアから感動の声やため息が漏れた。
そして「普通だったら今から言うことは後で言うことなんですが、5月にツアーやります」とKENが告知すると大歓声。確かに告知は最後にされることが多いのだが、前置きして場内を翻弄するところがKENらしい。ファイナルは6月2日の渋谷ストリームホール。「6ヶ月もあるじゃん?」と思っている人たちのためにと3月にFC限定ライブを赤羽ReNY alphaで行うことも伝えられた。
「ここから最後までかっ飛ばしていきたいと思いますので、よろしく!」と煽って、ライブは後半戦に突入。『Shadows』収録曲の攻めのデジタルビートにテンションが上がる「Lust & Graffiti」はコール&レスポンスで早くもライヴ定番曲になりそうな気配。ここからはアドレナリン噴出ゾーンだ。RIKIJIの太くタイトなベースで始まる「Satellite」では鋭角的なK.A.Zのストロークとのアンサンブルが快感。イントロに歓声が上がった「Nightcrawler」もアツすぎるアクト。後半に向かうにつれてKENの声量は増していった。OBLIVION DUSTの突き抜けまくりの演奏にオーディエンスも叫び、歌い、自らを開放しまくっている。K.A.ZがフライングVをかき鳴らした「Goodbye」はおなじみのパンクテイストのナンバーだが、今回のツアーでは初披露だ。
「ファイナルに来てくれているみんな、各地に見に来てくれた方々、本当にありがとうございます」
KENが感謝の言葉を述べ、リード曲「Everyday Negative」ではミラーボールの光がキラキラと反射し、「Evidence」、そしてラストナンバー「You」では暴れモードで本能を解き放ってみんなシャウト。
デビューから26年目に突入したOBLIVION DUST。今なおエッジと熱量をキープし続けているという意味でも、スキルとセンスを兼ね備えているという意味でも最前線のロックバンドである。
SET LIST
01. No Regrets
02. Glitch
03. Plastic Wings
04. Searchlights
05. Under My Skin
06. Crawl
07. Syndrome
08. Forever
09. Traces
10. With You
11. Disappear
12. Lust & Graffiti
13. Satellite
14. Nightcrawler
15. Goodbye
16. Everyday Negative
17. Evidence
18. You