兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第191回[2025年8月前半・CANNONBALLやSONICMANIAやPufume×ZAZEN BOYS、等の7本を観ました]編

コラム | 2025.08.29 17:00

イラスト:河井克夫

音楽などのライターである兵庫慎司が、半月の間に自分が観たすべてのライブのレポを書いてアップする連載の、191回目=2025年8月前半編です。
新しい夏フェス、CANNONBALLの初日に行ったりはしているものの、この時期の割に、そこまでフェス、多くないな。と、読み直して思ったが、そもそもこの時期の野外フェス自体が減っているんですね、暑さ対策で。ROCK IN JAPAN FES.も今年から9月になったし。CANNONBALLも屋内のフェスだし。

8月3日(日)17:30 JUN SKY WALKER(S)、ザ・クロマニヨンズ @ LIQUIDROOM

ジュンスカが去年から始めた対バンツアー『狼煙上がる時』の、2025年版の1本目である東京公演。このあと12月までかけて、月イチペースで全5本、各地で行われます。
BILLBOARD JAPANにレポを書きました。
<ライブレポート>JUN SKY WALKER(S)、変わらぬグルーヴと進化するサウンドを見せたツアー初日 30年以上ぶりの共演に止まらぬ熱狂

8月7日(木)19:00 NakamuraEmi、フラワーカンパニーズ @ Spotify O-WEST(渋谷)

オフィス・オーガスタ企画制作のイベント『No.8』の3回目で、NakamuraEmiとフラワーカンパニーズが初の対バン。より正確に言うと、最近岡山のフェスで同じステージに立ったことはあったが、こうして2組でがっちり、というのは初めてだそうです (鈴木圭介のMCより)。
ツアー中に、各地のライブハウスの店長に「これまでいろんな人と対バンしてきたけど、次にやるなら誰がいいと思います?」と訊いたところ、圧倒的に「フラワーカンパニーズ」という声が多かった。自分が7歳の時に結成された大先輩なのでビビったが、オファーした。いつもは、自分とプロデューサーのカワムラヒロシのふたりでライブをやっているが、今日はドラム:ササイミナコとベース:ヒライハルキ(The Birthday)を加えた特別編成で臨んだ。以上、NakamuraEmiのMCより。
フラカンは、この次の東京でのライブは、いよいよ9月20日(土)の日本武道館。であることに、グレートマエカワがMC中に気がついて、「そうかあ!」と言っておられました(8月24日に横浜F.A.Dはありますが)。
なお、NakamuraEmiのラストの「YAMABIKO」の途中で、フラカンのローディーのQ太郎が、カンペが貼られた譜面台を置きに出て来た。なので、「あ、ゲストで鈴木圭介が出るんだな」とわかったのだが。
その直後に圭介が出て来たら、「YAMABIKO」が、「深夜高速」とのマッシュアップ状態と化したのだ。ふたりがそれぞれの曲を交互に歌ったり、一緒に「深夜高速」を歌ったりするさま、絶句もんだった。ふたりのエネルギーが爆発し合っていて。その上、後ろでベースを弾いているの、ヒライハルキだし。
なので、それはもう興奮したが、終わってから「でも、歌うのが『深夜高速』なら、カンペ、いらなくない?」と思った。なので、本人に確かめたところ、このマッシュアップ・バージョン、自分が曲のどこで歌い始めるのかが、すごく難しくて、「NakamuraEmiがここまで歌ったら自分の番」という目印として、「YAMABIKO」の歌詞のカンペが必要だったのだそうです。そうか、なるほど。失礼しました。

8月9日(土)13:00 『UKFC on the Road 2025』1日目(途中まで) @ Zepp Haneda(TOKYO)

毎年恒例(去年は大阪開催だったが)UKプロジェクトの夏のイベント『UKFC』、今年はZepp Hanedaで、ステージ2つで、2デイズ。
夜は別のライブレポ仕事があるので、Age Factory→ペルシカリア→the dadadadays→からあげ弁当→ART-SCHOOLまでしか、会場にいられない。椿屋四重奏2025も、トリのsyrup16gも観れない。という状況だったが、それでも観たいので、頭から行きました。
で、上記の5組まで観て、豊洲PITへ移動した。
その観た中で、特筆しておきたいのは、からあげ弁当。サウンドチェックで二回、本番で三回「チキン野郎」をやった。というのは、いつものことだが、最後にボーカル&ギターの焼きそばが「大好きな先輩の曲をカバーします」と言って、syrup16gの「Reborn」を歌ったのだ。びっくりした。
面識はまったくないそうで、「賛否両論あるかもしれないし、失礼になっちゃうかもしれないけど、大好きな曲なんで」とも言っていた。何も失礼じゃないでしょ。カンペとか置いていなかった、つまり本当に好きだからハナから歌詞を覚えている、ということが観てわかったので。

8月9日(土) 18:00 Perfume、ZAZEN BOYS @ 豊洲PIT

TOKYO MXのグランジ遠山大輔の音楽番組『70号室の住人』初のイベントで、出演はZAZEN BOYSとPerfume、という夢のような組み合わせ。MCはもちろん遠山大輔。『70号室の住人LIVE!!!! 〜チョコレイトポテトサラダ〜』という、2組の曲名をくっつけたイベント・タイトルだった。
ぴあ音楽にレポを書きました。
グランジ・遠山大輔によるZAZEN BOYS×Perfume『70号室の住人LIVE!!!! 〜チョコレイトポテトサラダ〜』「ポテトサラダ」はダンスミュージックなの……か?

8月10日(日)10:30 『CANNONBALL』1日目 @ さいたまスーパーアリーナ

日本テレビとFACT(鹿野淳の会社)とNRVM(日本テレビ音楽)の三社が立ち上げた新しい屋内フェス『CANNONBALL』、8月10日(日)と11日(月・祝)の2デイズの1日目。
1日目のレポを、このDI:GA ONLINEに書きました。2日目は森朋之さんが書いています。合わせてぜひ。
1日目 ≫ CANNONBALL、“暑くないけど熱い!”をテーマに真夏の屋内フェスを初開催!「朝から20時までずっと最高沸点のフェス」8月10日のDAY1をレポ
2日目 ≫ CANNONBALL、“暑くないけど熱い!”をテーマに真夏の屋内フェスを初開催!「日本の夏フェスが新たな時代に突入」8月11日のDAY2をレポ

8月11日(月・祝)16:00プロレスリング・ノア @ カルッツかわさき

ヒザの怪我で7ヵ月欠場していた潮崎豪の復帰戦がある。あと、自分が新日本プロレスで二番目に好きなレスラー(一番はエル・デスペラード)、高橋ヒロムが出場する。それから、OZAWAはいつだって観たい。というわけでチケットを買ったのがこの日だった。
・高橋ヒロムは、この日、YO-HEYの持っているGHCジュニアヘビー級のベルトに挑戦するはずだったが、YO-HEYが左眼窩底骨折で欠場。代わりに菊池悠斗と闘って勝利、直後にYO-HEYが現れて、復帰のメドが立った、9月8日の後楽園ホールでタイトルマッチをやりましょう、と発言、ヒロムがそれを受けた。行かなきゃ。行けるかな、その日。
・潮崎豪は、9月に行われる「N-1 VICTORY 2025」の出場者決定戦で、晴斗希と闘って、まさかの敗北。復帰戦で負け!? というか、復帰戦がいきなり出場者決定戦っていうのが、ちょっと、もう……と、しょんぼりしました。
・で、OZAWA。この日は自身が所属するTEAM2000Xのひとりとして、8人タッグに出場。試合の中で、さほど派手な活躍はなくて、「うーん……」と思ったが、試合後にTEAM2000Xが、リーダーであるジャック・モリスを全員でボコボコにしてグループを追放する、という展開になって、「なるほどお」と納得した。
以上の三項目が、この日の、自分の主な感想でした。いい客だと思う、我ながら。カモという意味で。

8月14日(木)18:00 『PARTY B』@ 代官山SPACE ODD

おとぼけビ~バ~のギターのよよよしえが中心になって企画したという、DOS MONOSの没 aka NGS(Botsu)の誕生日イベント。
ライブ・アクトは5 STAR COWBOY、PARTY B SESSION(松丸契+市川仁也+大井一彌+よよよしえ)、DOS MONOS、おとぼけビ~バ~の4組。それらの間にDJで、IWAI SHINGO*SUZUKI KYOSUKE、坂田律子、IMAI+SEAKETAが出演した。
よしえさんが参加したPARTY B SESSIONやDOS MONOSも観たが、この日はなんと言っても、トリのおとぼけビ~バ~。7月25日(金)フジロック/ホワイト・ステージの出演を最後に、ドラムのかほキッスが出産のためお休みに入り、サポートでれお(ex.少年ナイフ等)が加わって、いきなり渡米。LOLLAPALOOZA、そのアフターショウ、Pier62(これもフェス)の3本のライブを行い、帰国して、新体制での日本一発目のライブが、この日だったのだ。
いわゆるサポート・ミュージシャンを集めてのライブなんかだと、また話が違ってくるが、固定メンバーでライブ活動を行っているロック・バンドの場合、ドラムのキック&スネアのタイム感と、ボーカルのタイム感が合うかどうかって、すんごい大事である。新しいドラムが入った場合、合うまでに時間がかかることもあるし、時間をかけても合わない場合もある。最初から合わないんだけど、ずっと活動している、というケースまである。
というのは、自分が多くのバンドのライブを観てきて、知ったことです。たとえば、桑田佳祐がKUWATA BANDを結成した時、ドラムだけサザンオールスターズの松田弘だったのも、Kjが初めてソロをやった時、ドラムだけDragon Ashの櫻井誠だったのも、そういう理由だと思う。ふたりともいいドラマーである、というのはもちろんだが、「他のドラムだと歌いにくい」というのも、大きかったのではないか。
というところで言うと、れおさん、まだ4本目だし、これから徐々に慣れていくんだろうな。と思っていたが、すでに「あたりまえにタイム感が合っている」演奏になっていて、びっくりした。メンバー3人も、歌いやすそうだし、演奏しやすそう、だからはっちゃけられる、という。
というのもあったし、久々にライブを観た(昨年12月以来)、というこっちの事情もあったと思うが、すさまじく良かった。次はそこまで空けずに観たい。

8月15日(金) 19:00 SONICMANIA 2025 @ 幕張メッセ

毎年仕事で呼んでもらっている香川のMONSTER baSHと、日程がぶつかる年が多かった、ということもあって、SUMMER SONICはもうずいぶん行っていない。が、その前日深夜に行われるSONICMANIAには、毎年のように行っている。
いつも、サマソニ本体以上に、自分にとって観たいアクトが多いので。SONICMANIAで朝まで幕張メッセにいて、その足で成田空港から高松空港に飛んで、MONSTER baSHに行ったこともありました(2022年)。
で、今年も行った。やはり、観たいアクトだらけだったので。観たのは以下です。全部観たのも半分くらい観たのも含む。
Perfume→2HOLLIS→電気グルーヴ→FLOATING POINTS→THE PRODIGY→砂原良徳→THE SPELLBOUND × BOOM BOOM SATELLITES→Minna-no-Kimochi
・Perfume、6日前の豊洲PIT『70号室の住人LIVE!!!!』でオーディエンスを驚かせた「ZAZEN BOYSの『ポテトサラダ』に振付して、それをみんなに教えて一緒に踊る」を、ここでもやった。びっくり。その『70号室の住人LIVE!!!!』のライブレポは、こちらです。
グランジ・遠山大輔によるZAZEN BOYS×Perfume『70号室の住人LIVE!!!! 〜チョコレイトポテトサラダ〜』「ポテトサラダ」はダンスミュージックなの……か?
なお、セットリスト自体は、まったく違うものでした。
・電気グルーヴは、7月14日(月)のリキッドルームと同じく、石野卓球とピエール瀧、agraph牛尾憲輔、ギター吉田サトシに、砂原まりんジェット吉(というのが、瀧によるこの日の紹介)こと砂原良徳の5人編成。
「新幹線」で始まり「人間大統領」で終わる、6月のホールツアーの本編=22曲を、ギュッと13曲に圧縮した感じのセットリストだった。そのツアーにおいて、おそらくまりんがいるから選んだ2曲=「ママケーキ」と「Popcorn」のうち、前者はやらなかったけど、後者はやりました。
・FLOATING POINTSは、前日に宇多田ヒカルとスタジオに入っている写真をインスタにアップ、という形で彼女が登場することを予告していた。ただ、宇多田ヒカル、満を持して後半で降臨!みたいな感じになるのかと思ったら、中盤でわりとあっさり出て来た。で、「Somewhere Near Marseiilles−マルセイユ辺り−」を歌って、スッと去った。その感じがかっこよかったです、何か。なお、彼女が国内のフェスに出たのは、これが初めてだそうです。
・THE PRODIGY、「Firestarter」で、この曲を歌っていたキース・フリント(2019年に亡くなった)のシルエットをレーザーで画面に描く、曲の間マキシムは一切動かず、仁王立ち──という演出あり。
しみじみしました。で、そういや俺、二回インタビューしたことあるんだよなあ、と思い出した。1998年にキースとリロイ、2000年にマキシムです。その後リロイは脱退、キースは亡くなって、フロントマンはマキシムだけになった。でも誰かを補充したりせず、そのままライブをやっている、というのも、何か、なるほどなあ、そういうことなんだなあ、と思う。なお、自慢たらしく「二回インタビューしたことがある」とか書いてはみたものの、音楽的中枢である肝心のリアム・ハウレットには、会ったことすらありません。
・砂原良徳、ストイックで踊れるトラックの連打に酔いしれた。音に余計なものがない、必要なものしかないって、かっこいいなあ、と改めて実感。
・BOOM BOOM SATELLITESの曲をやるTHE SPELLBOUND、何度も観ているけど、この日はまた格別だった気がした。オーディエンスもイントロが鳴る度に「おおっ!」って声が上がる大喜びっぷりだったし。
なお、ドラムの大井一彌、自分は昨日も代官山SPACE ODDの『PARTY B』で観た。そんな奴、このいっぱいのお客の中でも俺だけだろうな。という、わけのわからない、「だから何?」としか言いようのない優越感に浸ったりもしました。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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