兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第21回[12月の巻~前編~]

コラム | 2018.12.18 18:00

12月8日(土) 宇多田ヒカル @ 幕張メッセ

ツアーとしては12年ぶり、ライブ自体は音楽活動を休止する時に行った2010年12月の横浜アリーナ以来8年ぶりの『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』のファイナル、幕張メッセ2デイズの1日目。「あなた」「道」で始まり、アンコールの「俺の彼女」「Automatic」「Goodbye Happiness」で終わる全20曲。すばらしかったし、びっくりした。なんで。休止前と休止後で、ライブ自体が決定的に変わった、ということがわかった気がして。
そもそもそんなに頻繁にライブをやるアーティストではない、宇多田ヒカルは。だから休止前のライブは、単純に不慣れだったところもあるだろうし、ライブというものにどう向き合ったらいいのかをつかみかねているところもあったのではないか、と、僕は観ながら思っていたが、再始動後初めてのツアーである今回は、そこが根本的に変わっていたのだ。何のためにやっているのか、何をやりたいのかがビシッとクリア。だから伝わるし届く。僕はそれ、ライブの本数を多くすることでしか解決しないんじゃないかなと思っていたが、そうじゃないのに(ライブ8年やってなかったんだから)。素敵極まりない、観る側感情移入しまくるしかない仕上がり。不思議だったがうれしかった。なんでだろう。演出とかも、大会場にしてはシンプルだったし。本人の人間力の変化だろう、ぐらいしか、言いようがない。
中盤のショートムービーのコーナー明けに、いきなりひとりで客席まんなかのセンター・ステージで「誓い」を歌い始めた時は、そのセンター・ステージが自分から近い位置だったのもあって、思わず「うひゃああ!」と、変な声が出ました。

12月9日(日) 筋肉少女帯 @ マイナビBLITZ赤坂

メジャー・デビュー30周年記念のニュー・アルバム『ザ・シサ』のリリース・ツアーのファイナル。という時点で聴きどころ多数な上に、この日は事前にファンから投票を募った『30周年記念!投票企画~あなたの好きな筋少楽曲に清き1票をお願いします~』の結果発表が行われた。せっかくなので書いておきます。
10位:くるくる少女
9位:詩人オウムの世界
8位:いくじなし
7位:再殺舞台
6位:夜歩く
5位:僕の歌を総て君にやる
4位:サーチライト
3位:釈迦
2位:機械
1位:サンフランシスコ
筋少に限らず、こういう企画になると、いつもライブでやるような人気曲は「どうせ上位に入るから」とあえて外して投票したくなるのがファン心理というものなので、いわゆるベスト盤みたいな選曲にならないだろう、とは予想していたものの、それにしても意外。「日本印度化計画」も「元祖高木ブー伝説」も入ってないし。オーケンも、3位の「釈迦」を発表した時、「1位じゃないんだ?」と漏らしておられました。

12月11日(火) Caravan @ 横浜THUMBS UP

Caravanのホーム横浜THUMBS UPにて、忘年会的な弾き語りワンマン。ここ、お客さん全員テーブル席、1ドリンクだけじゃなく1フードオーダーもマストという、要は「ライブを観れる飲み屋」なのですね。日比谷野音や川崎クラブチッタでもお客の飲酒量がハンパないのがCaravanのライブであって、まして今日はそういう店なんだから、何かもう本当に忘年会だった。幸せな時間でした。酔ったおじさんのでかい歓声が響きまくったりしてうるさくもあるんだけど、音楽どうでもよくなってるのかというとそんなことはない証に、Caravanがアンコールで何の曲をやろうか考えている時に「246!」と、メジャーデビュー前の作品に入っている曲をリクエストしたりする。Caravan、「あ! 今『246』やろうかなって思ったとこだった! 悔しい」と返して、歌ってくれました。私も大好きで、いつもライブでやってくれるのを心待ちにしている曲です。

12月12日(水)『MUNETAKA Vol.2』 @ 渋谷TSUTAYA O-nest

12月3日に書いたイベント『MUNETAKA』の二回目。今回は……シティ・ポップって言っていいのかな、R&BやAOR感、あるいはギター・ポップ感などのある、歌をしっかり聴かせるバンドたち、みたいなくくりでした。
Mellow Youth、Omoinotake、evening cinemaの3組が出演。DI:GA ONLINEにレポを書きました。こちらです。

12月14日(金) Yap!!!@ 代官山SPACE ODD
ゲスト:キツネツキ、DATS他(金)

Yap!!!の、ミニ・アルバムとコラボEP(同時発売でした)のリリース・ツアーのファイナル。ゲスト・バンドでキツネツキとDATSも出演、そしてYap!!! のステージにはコラボ曲に参加しているキツネツキの菅原卓郎、DATSのMONJOEが参加、さらにCHAIのマナ&カナとRyohuも登場するという、めっちゃ豪華でひたすら楽しい時間でした。
レーベルが配信するオフィシャル・ニュースレポを書きました。こちらです。

12月15日(土) サンボマスター @ Zepp DiverCity(TOKYO)

全国6箇所のツアー『サンボマスターワンマンツアー2018 ~輝きだして走ってく~』のツアー・ファイナル。10月8日に鹿児島のフェスで、お客の多さと熱狂ぶりを目の当たりにして「あれ? 『チアダン』効果? サンボ、二回目のブレイク?」と驚いたのだが(詳しくはこちらを)、本当にそうであったことがはっきりとわかるライブだった。
チケットは完売、というのはサンボでこのキャパだから以前からそうだとしても、お客さんが新しくなっている感じや、その熱狂ぶりがあきらかに以前とは違う。サンボ、1年前に初の日本武道館ワンマンをやったんだけど、今のサンボならZepp DivierCityだったら4日ぐらいできるかも、下手したら横浜アリーナだってありかも、とか思いながら観ました。要はうれしかったということです、長年追っかけてきたバンドがそういう状況を迎えている、というのが。

  • 兵庫慎司

    TEXT

    兵庫慎司

    • ツイッター

SHARE

関連記事

イベントページへ

最新記事

もっと見る