兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第170回[2024年9月後半・グループ魂や電気やサザンなどの7本を観ました]編

コラム | 2024.10.25 17:00

イラスト:河井克夫

音楽ライター兵庫慎司が、月二回ペースで自分が観たライブのレポをアップする連載の170回目=2024年9月後半編です。2022年1月21日以来なので2年8ヵ月ぶりに観たグループ魂のライブ、「夏フェス出演はこれで最後」のサザンオールスターズ@RIJFひたちなか、ヨコロコ&フラカンの『ザ・ベストテン』再現ライブ、電気、演劇、ベボベ、あと大学生のバンドも観た2024年9月後半でした。

9月18日(水)18:30 グループ魂 @Zepp DiverCity(TOKYO)

今後6人で活動していくことを、今年3月に発表した、グループ魂の久々のライブ、東京・大阪の東京編。「グループ魂(再)の、アルバイト募集!」というタイトル。このDI:GA ONLINEに (私ではないですが)レポがアップされていますので、詳しくはそちらをぜひ。
グループ魂、2年ぶりに6人で再始動!アルバイトに応募してきた人物とは?!相変わらずの不適切ぶりに爆笑とほろりな場面が絶妙に絡み合う圧巻の東京公演、結成30周年目も活動継続をファン切望!

要はこのライブ、「新しいアルバイトの面接を行う」ということが軸になっていた。で、まず、その面接の時間になる前に、宍戸美和公が「バイト霊」として登場、曲に加わる。
で、これからアルバイト候補が3人登場する、という紹介で出て来た一人目が、これまでもグループ魂のライブに「遅番」として参加して来た少路勇介、二人目が荒川良々(闇バイト君)だった時点で、確信した。間違いない、三人目は松尾スズキだ、と。
そして。16曲目のライブ定番曲の「職務質問」の途中、破壊(阿部サダヲ)・港カヲル(皆川猿時)・バイト霊(宍戸美和公)のダンスにしれっと加わる形で、松尾スズキ、登場。客席フロア、悲鳴のような歓声に包まれる。
その後、松尾スズキ、トーク→破壊&暴動とのコントを経て、遠藤賢司「不滅の男」を歌った。もともと松尾さんが思い入れのある曲なのは知っていたが、この曲を知っているお客さんみんな、聴いて、泣いたんじゃないかと思う。少なくとも私は泣きました。「今まで何度 倒れただろうか でも俺はこうして 立ち上がる」で始まる歌なので。
あと、新曲「来世は叶姉妹」も初めて聴けた、この日。

9月19日(木)14:00 『ボクの穴、彼の穴。W』 @ 青山スパイラルホール

グループ魂の翌日も、大人計画の公演(今度は演劇)を観に行った。これは、フランスのデビット・カリ&セルジュ・ブロックの絵本を、松尾スズキが翻訳して2008年に国内発売されたものを原作にした演劇で、翻案・脚本・演出はノゾエ征爾。
二人芝居で、井之脇海×上川周作の「ボクチーム」と、窪塚愛流×篠原悠伸の「彼チーム」が、交互に公演する。僕は「ボクチーム」の方を観た。
「戦場に残された敵対する二人の若い兵士“ボク”と“彼”。二人は同じく穴の中で息をひそめて相手の出方を探っている」(公式サイトより)から始まる、ふたりの動きや表情や膨大なセリフだけで進んでいく物語である。
この芝居における役柄としても、この役を与えられた井之脇海と上川周作としても、なんというか、本当に、逃げ場がない。己の肉体と言葉だけで、観客と対峙し続けなくてはいけない。という、極限状態の舞台を、見事やりきっているおふたりに脱帽の思いでした。
こういう、人数とかシチュエーションとかに制約や制限のある舞台を作るのが、ノゾエ征爾は本当にうまいなあ、というのもある。

9月20日(金)19:00 電気グルーヴ @ Zepp Haneda

『電気グルーヴ35周年ツアー“3594”』の、Zepp Haneda(後日の追加公演を合わせると)3デイズの1日目。「電気グルーヴ10周年の歌 2019」「電気グルーヴ25周年の歌」「電気グルーヴ34周年の歌」「電気グルーヴ35周年の歌」が中盤で固め撃ちされたり、本編で「マイアミ天国」や「ニセモノ フーリガン」や「ビコーズ〜ユーのネヴァー」、アンコールで「電気グルーヴ32周年の歌」と「Pan! Pan! Pan!」が聴けたりと、さすが35周年ライブ、うれしい曲だらけ。
石野卓球・ピエール瀧・サポートギターの吉田サトシが椅子に座って、つまりいわゆるアンプラグド・スタイルで演奏され歌われた「電気グルーヴ32周年の歌」が、特に新鮮だった。この曲の「派手な眼鏡で地味な顔」という歌詞が、特に好きです、私。

9月21日(土)17:00 Base Ball Bear @ LINE CUBE SHIBUYA

ファン待望の「SHIBUYA NONFICTION」。オフィシャルのライブレポートを書きましたので、未読の方、ぜひ。
【SMA50th】Base Ball Bear『SHIBUYA NONFICTION』オフィシャルライブレポート

9月23日(日) 17:45 サザンオールスターズ「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA」の5日目 @ 国営ひたち海浜公園

25周年記念&ひたちなか市30周年記念として、今年は古巣国営ひたち海浜公園でも開催されたROCK IN JAPAN FESTIVALの最終日。トリは夏フェス出演はこれが最後のサザンオールスターズ。
そのサザンのライブレポを、リアルサウンドに書きました。未読の方、ぜひ。
サザンオールスターズ、“特別で異様な空気感”を上回るライブパフォーマンス ROCK IN JAPAN FESTIVAL徹底レポート

9月26日(木)19:00 うつみようこ&YOKOLOCO BAND、フラワーカンパニーズ、中森泰弘、真城めぐみ @ 荻窪TOP BEAT CLUB

グレートマエカワの55歳の誕生日の前日に『俺たちのザ・ベストテン〜〜グレートマエカワ AGE55 前夜祭〜』と銘打って行われた、ヨコロコとフラカンのコラボライブ。演奏はヨコロコ+中森泰弘で、歌うのはうつみようこ、鈴木圭介、ミスター小西、真城めぐみ。1曲奥野真哉も歌った。
『ザ・ベストテン』形式で、ステージ後方の画面を使って10位から1位までⅠ曲ずつ発表→歌って演奏、という構成。その10曲の間に「今週のスポットライト」として合計5曲がはさまったので、全部で15曲だった。以下、全曲書いておきます。( )が実際に歌った人のお名前です。

1.(10位)夏の扉/うつみ聖子(うつみようこ)
2.(9位)燃えろいい女/スズキケイスケ&ツイスト(鈴木圭介)
3.(8位)飾りじゃないのよ涙は/ましろ明菜(真城めぐみ)
4.(7位)モンキーマジック/タケカワヨウコ&ゴダイゴ(うつみようこ)
CM
《今週のスポットライト3曲》
5.私はピアノ/奥坊(奥野真哉)
6.涙のリクエスト/小西フミヤ&チェッカーズ(ミスター小西、うつみようこ、真城めぐみ)
7.センチメンタル・ジャーニー/うつみ伊代(うつみようこ)
8.(6位)大都会/クリスタルキング(鈴木圭介、うつみようこ)
9.(5位) プレイバック part 2/ましろ百恵(真城めぐみ)
10.(4位)抱きしめてTONIGHT/スズキ俊彦(鈴木圭介)
《今週のスポットライト2曲》
11.1986年のマリリン/ましろ美奈子(真城めぐみ)
12.スリラー/マイケル洋子(うつみようこ)
CM
13.(3位)ハイスクールララバイ/イモ欽トリオ(鈴木圭介、うつみようこ、真城めぐみ)
14.(2位)UFO/ピンク・レディー(うつみようこ、真城めぐみ)
15.(1位)YOUNG MAN(Y.M.C.A.)/みんな

以上。約2時間20分、とにかくもう大笑いしっぱなし。終わった時、クタクタに疲れていたほど。
あ、CMというのは、当時のいろんなテレビコマーシャルの音声を、奥野さんがネットから拾ってきてつなぎ合わせたものが流れる時間です。これも大笑いでした、懐かしくて。
それから、ようこさん真城さんのピンク・レディー、本家より歌がうますぎて新鮮だったが、このおふたり、お手製の「UFO」仕様の頭に着けるツノみたいなやつを、後日、別のイベントでも着けて歌っている映像が、TLに流れてきて、また大笑いした。こちら。
【服部緑地RAINBOWHILL 2024】ポスト

9月30日(月)18:30 brooks @ 下北沢BASEMENT BAR

vaughanというバンドの、シングル×2のリリースタイミングでの自主企画で、nagromeel、sickufo、brooks、vaughanの4バンドが出演。そのうちのbrooksを観に行った。というのは、このバンド、大学生で、ベーシストが地元の友人(高校の同級生で一緒にバンドをやっていた男)の息子なのです。
女性ボーカル+ギター+ベース+ドラム+鍵盤という編成で、音楽的には自称「ジャパニーズフレンチポップバンド」だそうだが、そこにR&Bやサイケデリック・ロックのテイストも入っていて、微妙かつ絶妙に「他にもありそうだけどない」音楽になっていて、おもしろかった。
あと、演奏、すごくしっかりしている。技術をひけらかすようなプレイをしない分、却ってその腕の確かさがわかる感じだった。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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