WOWOWプラス presents『筋肉少女帯人間椅子 地獄のアロハ returns』
2022年6月11日(土) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
「筋肉少女帯人間椅子」が、2022年6月11日(土)に、東京・LINE CUBE SHIBUYAで、ライブ『地獄のアロハReturns』を行った。念のために説明しておくと、これは「筋肉少女帯と人間椅子がライブを行った」ということではなく、「筋肉少女帯人間椅子」というバンドがライブを行った、ということである。
筋肉少女帯と人間椅子、ふたつのバンドがメンバー全員で合体してひとつのバンドになる、という、他に例を見ないこのバンドは、2012年5月19日に赤坂BLITZで対バンしたのがきっかけで、「一緒に音源を作ろう」ということになり、結成。2015年にシングル「地獄のアロハ」をリリースし、同年6月7日、建替でLINE CUBE SHIBUYAになる前の渋谷公会堂にて、ライブを行った。
その翌年=2016年の8月17日には、その渋谷公会堂のライブ映像作品がリリースされ、それを記念して8月18日に大阪BIGCAT、21日に東京・豊洲PITでライブを行う。
今回のライブはそれ以来の開催で、6年ぶりに集まったことになる。双方のバンドにとって非常に手応えのある企画だったので、当初はそこまで間隔を空けず、定期的に活動していくつもりだったが、コロナ禍の影響で、結果的にこうなったという。そのあたりの事情に関しては、先頃DI:GA ONLINEで行ったメンバー3人=大槻ケンヂ・内田雄一郎・和嶋慎治の鼎談でも、語られている。(筋肉少女帯人間椅子、6年ぶりのライブが開催!大槻ケンヂ&内田雄一郎&和嶋慎治によるライブ直前大鼎談)
「筋肉少女帯人間椅子」のライブは、筋肉少女帯と人間椅子がそれぞれライブをやり、最後に「筋肉少女帯人間椅子」が登場する、という3部構成で行われる。この日は最初に人間椅子が7曲、次に筋肉少女帯が7曲、最後に「筋肉少女帯人間椅子」が本編7曲+アンコールで「地獄のアロハ[Heavenly Version]」。全部で22曲が演奏された。
人間椅子は「夜明け前」「神々の行進」でスタート。轟音がホールに響き渡る。最初のMCで鈴木研一、「6年ぶりに会ってみたら、筋肉少女帯のメンバー、それぞれみなさんお元気でよかったです。それで私は思いました。お互いの健康確認のため、このイベントは4年に一回ぐらいやるべきだと」と言って拍手を浴びる。
続く「芳一受難」では、「3人の唱えるありがたーい般若心経」(鈴木研一)に合わせて、オーディエンスがヘッドバンギングする、という、人間椅子のライブではおなじみだが他のバンドではありえない、異様で素敵な光景が繰り広げられる。
それぞれの出番で、お互いの曲をカバーするのも「筋肉少女帯人間椅子」の恒例。この日、人間椅子は5曲目で、筋肉少女帯の「孤島の鬼」をカバーした。感染予防対策で声を挙げられないオーディエンスは、代わりにペンライトを激しく振って応える。
ラストは、このバンドのライブにおけるハイライトを長年担ってきた「針の山」。間奏でギターを弾きながらジャンプしまくる和嶋に合わせて、オーディエンスもジャンプを繰り返した。
続く筋肉少女帯は、「イワンのバカ」でスタート。客席のペンライトの一糸乱れぬ振られっぷりが美しい。続く「バトル野郎」では、橘高文彦がギター・ソロでピックを盛大にばら撒く、おなじみのパフォーマンスも。
次はMCで、大槻ケンヂとオーディエンスで、コール&レスポンスの代わりに「コール&クラップ」の練習。「日本印度化計画」の冒頭、大槻が「日本を印度に!」と叫ぶと、オーディエンスが「してしまえ!」と続く、その代わりに「♪パッパパパパ!」とハンドクラップをする、というもの。練習一回目できれいに揃い、大槻、「もうできあがってんじゃねえか!」と、喜ぶ。
その「日本印度化計画」と「高木ブー伝説」を経てのMCでは、大槻「数日前に首をやってしまった、思い当たるフシは何もないのに首が動かなくなってしまった」と告白。「でも、今日ここに来てライブが始まったら、どんどん元気になってきた、今は全然首が回る、ほら」──と首を回して見せる。曰く、「この会場の、音とオーディエンスによる振動が、首にとって低周波治療器の役割を果たしたんだと思う」とのこと。
筋肉少女帯による人間椅子のカバーは「ダイナマイト」。人間椅子の「孤島の鬼」の時に負けじと、オーディエンスのペンライトが振られまくる。
2021年11月リリースの最新アルバム『君だけが憶えている映画』の1曲目である「楽しいことしかない」で、盛大なハンドクラップを巻き起こしてから「サンフランシスコ」へ。内田雄一郎のベース・ソロ、サポートのエディ(三柴理)のピアノと橘高文彦のソロ・バトルなど、見せどころだらけ、聴かせどころだらけのこの曲で、ラストを締めくくった。
そして「筋肉少女帯人間椅子」。最初は、ボーカル橘高文彦、ギター内田雄一郎、ベース鈴木研一、ドラム・ナカジマノブによる「ブラック菩薩」で、「アイアン・マン」、そして和嶋慎治も加わって「パラノイド」と、ブラック・サバスのカバー2曲でスタート。自らをオジーと呼ぶ橘高文彦、ご本家に倣って、間奏でコウモリ(のぬいぐるみ)を噛みちぎる。
MCをはさんで、大槻ケンヂ・本城聡章・和嶋慎治・鈴木研一・ナカジマノブの5人で「君は千手観音」。1992年に大槻ケンヂと人間椅子が参加したみうらじゅんのバンド『大日本仏像連合』の曲である。今この曲をライブで聴ける場は「筋肉少女帯人間椅子」のライブだけ、ということもあってか、フロアから突き上げられるペンライトがさらに増える。
そこから鈴木研一と内田雄一郎、ふたりのベース・パフォーマンス・タイムへ。まず鈴木研一が、続いて内田雄一郎が、ベースを弾きながら血を吐く。その前に床が汚れぬよう、マットを敷く作業と、終わってそれを片付ける作業を、ローディーと一緒に大槻もやっているのが可笑しい。
次は大槻以外の「筋肉少女帯人間椅子」全員で、そのKISSの「悪魔のドクター・ラヴ」のカバー。間奏で橘高文彦と和嶋慎治、寄り添ってソロを聴かせる。終わって大槻が登場、「とても良かったよ!」と称賛。
そして筋少のサポートふたりも加わったフルメンバーで、いよいよこのバンドのオリジナル曲である「地獄のアロハ」へ。が、大槻、「ごめんなさい、(曲の冒頭で歌いながら弾く)ウクレレを持ってくるのを忘れました! 代わりにハワイアンを踊ります」と謝罪してから曲に入る。トリプル・ボーカル、トリプル・ギター、ツイン・ベース、ツイン・ドラム、キーボードによる、いかつさの極みのようなバンド・サウンドが響く。
そして人間椅子の「りんごの泪」を、そのままの編成でプレイ。曲が始まると大槻だけステージから下がったが、途中で戻ってくる。で、「すみません、僕、なんにもやんないはずだったんだけど、『りんごりんご』どうしても言いたくなって、戻ってきちゃいました」。オーディエンス、また拍手。
「次は6年後と言わず、還暦の時にやりましょう」というMCからの本編ラストは、筋肉少女帯の「釈迦」。さらにアンコールで、みんなで記念写真を撮ってから、「地獄のアロハ」の「Heavenly Version」を追加。曲に入る前に大槻、「みなさん、また6年後と言わず、すぐにでもお会いしましょうね! みなさんでご唱和ください、心でね!」と呼びかけた。
SET LIST
人間椅子
01. 夜明け前
02. 神々の行進
03. 芳一受難
04. 無情のスキャット
05. 孤島の鬼(筋肉少女帯)
06. 至上の唇
07. 針の山
筋肉少女帯
01. イワンのバカ
02. バトル野郎
03. 日本印度化計画
04. 高木ブー伝説
05. ダイナマイト(人間椅子)
06. 楽しいことしかない
07. サンフランシスコ
筋肉少女帯人間椅子
01. アイアン・マン (BLACK SABBATH)
02. パラノイド (BLACK SABBATH)
03. 君は千手観音 (大日本仏像連合)
04. 悪魔のドクター・ラヴ (KISS)
05. 地獄のアロハ (筋肉少女帯人間椅子)
06. りんごの泪 (人間椅子)
07. 釈迦 (筋肉少女帯)
Encore
01. 地獄のアロハ [Heavenly Version] (筋肉少女帯人間椅子)