──Nothing's Carved In Stone(以下ナッシングス)のライヴはデビュー時と比べて、変わってきた部分というと?
生形真一(Gt)各々であるだろうけど、根本は変わってないですね。
──初ライヴの代官山UNIT公演(2009年2月27日)からですか?
生形真一(Gt)うん。当時、初ライヴの前もどんなライヴにしようとか話し合ってないし、そんな余裕もなかったですからね。あのライヴで自分たちがどういうバンドなのか、わかりました。だから、芯の部分はあれから変わってないと思います。メンバー全員すごい熱さでやっていたから、そういうバンドなんだ!って。
村松 拓(Vo,Gt)それは確かにあった。熱量を大事にするバンドなんだなと。
──初ライヴから観客の熱量もめちゃくちゃ高かったですからね。
村松お客さんが飛んでましたからね(笑)。今でもライヴ前に手が震えるけど、それは緊張じゃないことに気付いたんですよ。アドレナリンが出て、興奮した状態でステージに向かっているから。昔からステージで出しているものは変わってない気がする。ステージ上で曝け出して、どこまで行けるかなと。
生形それから先にこういうライヴにしようってミーティングした感じです。音源も一緒で、1stアルバムがどんなものになるのか、自分たちでもわからなかったですね。
──ミーティングではどんな話を?
生形どんどん欲は出てきますからね。
村松ライヴで現状を目の当たりにするわけじゃないですか。そこでどういう風に魅せるかは考えて、意見交換はしますけどね。
──ナッシングスはデビュー時から毎年コンスタントにフル・アルバムを発表し続けて、普通のバンドよりも圧をかけて活動してきたわけで。そのハイペースを今作までずっと死守し続けてますよね。
生形そうですね。結果的にそういう活動して良かったと思います。少し休むと、あっという間に1年なんて過ぎちゃうし、それが嫌で休まず続けてきたのもあるんですよ。アルバムも10枚目になるけど、20年続けているバンドと作業自体は同じぐらいの密度で動いてきましたからね。生き急いでるじゃないけど、そういう感覚はありますね。
──その生き急ぎ感はどこから来てるんですか?
生形俺らみたいなバンドが2年も動かなかったら、忘れられちゃうだろうし。今はさすがにそういう気持ちはないですけどね。もう大丈夫だろうなと。
──でもペースは全く変わらないじゃないですか!
生形次は少し空けようかな、1年に1枚アルバム出さなくてもいいかなとは思ってますよ。まだわからないですけどね。
──やっとそういう境地に辿り着いたと。しかし、今作は自主レーベル第一弾作なので、通常よりも間隔が空くのかなと思ってました。
生形逆にそれはなるべく早く出したかったんですよ。だって、自主レーベル立ち上げて、何も出なかったから嫌じゃないですか(笑)。
──いや、毎年のアルバム・サイクルが崩れても誰も文句を言わないタイミングだと思うんですよ。環境がガラッと変わったので。
村松バンドのしかるべき姿は曲作りとライヴをやることですからね。
──デビューから芯の部分は変わらないと言ってましたけど、バンドとしては当然成長を遂げているわけで、その辺に関してはいかがですか?
生形気持ちは同じでも最初とは比べものにならないくらいライヴは良くなってると思います。バンドの世界観が確立されてきて・・・ナッシングスはでかいバンドだと思ってるんですよ。壮大というか、そういうバンドだなと。
──ここ数年そういう考えが芽生えてきた感じですか?
生形そうなりたいと思って、そうなってきた感じですね。今作のツアーも小バコでもやるし、それはそれで得意なんだけど、大バコでも形になるバンドになってきましたからね。一度メジャーにいって、またインディーズに戻って、『MAZE』(7thアルバム、2015年発表)を出した後ぐらいにいい意味で落ち着いてきたんですよ。各々の出す音がでかくなってきたというか、それは音量のことじゃなく、規模感みたいなものですね。
──大きな会場が似合うバンドでありたいと?
生形それもそうだし、小さな会場でも有無を言わせないライヴをやりたい。会場の規模というより、バンドとしての器のでかさというかね。例えばBRAHMANってリハでステージに4人が立つだけで、うわっ!と思うから。
村松空間が歪みますからね(笑)。
生形そういうバンドになりたかったし、そういうバンドを目指してます。
村松3、4枚目のツアーまでは大きいハコでやってもメンバーがギュッと中央に集まって、ステージを小さく使っていたんですよ。バンドであることを魅せたったから。それから意識が変わり、でかく魅せられるバンドであろうと思い、ステージのメンバー間の距離を離したんですよ。今ふと思い出しました。