2018年11月から12月にかけて行われた「billboard classics ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018 - THE PRIDE -」で本格的なライブ活動を再開させたASKA。フルオーケストラの演奏とともに、「はじまりはいつも雨」をはじめとするソロ楽曲、「PRIDE」「YAH YAH YAH」などのCHAGE and ASKAのナンバーを披露した同公演は、ASKAの再始動を強烈に印象付けた。そして2019年2月からは、バンドツアー「ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA - 40年のありったけ-」がスタート。待望のツアーに対する思い、音楽活動全般の状況などについて、ASKA自身に語ってもらった。
──まずは2018年末に行われた「billboard classics ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018 - THE PRIDE -」のことから聞かせてください。本格的なステージはじつに約5年ぶりだったわけですが、ASKAさんにとってはどんなライブになりましたか?
“本当に自分は運がいいな”と実感しましたね。じつはバンドツアーを皮切りに活動を再開しようと思っていたんですよ、最初は。ところがコンプライアンスの問題などがあり、実際にツアーをやれるのがかなり先になることがわかって。そのときに声をかけてくれたのが、billboard classicsだったんです。billboard classicsがコンサートを行い、そのゲストボーカリストとして僕が出演するという手順を取ることによって、すべてが解決できた。それは本当にありがたいことでしたし、改めて“自分は運だけでここまで来たんだな”と。
──ライブの内容も本当に素晴らしかったです。フルオーケストラとの共演によってASKAさんのボーカルをしっかりと堪能できましたが、手応えはどうでしたか?
ボーカルを楽器として捉えると、(オーケストラをバックにして歌うときは)コツが必要なんです。演奏者との駆け引きというのかな。クラシックでいうフェルマータ(音符、休符を適度に伸ばす)、あとはリット(徐々にテンポを落として演奏を終えること)の感覚もそうなんですが、自分がオーケストラに合わせようとすると、どうしても全体が遅れてしまう。そうではなくて、自分自身がリード楽器になって、しっかりリズムキープしなくちゃいけないんです。そういうテクニカルな部分が、ちゃんと自分のなかに存在していたということですね。
──会場に足を運んだ観客のみなさんからも、「このステージを待ち望んでいた」という強い思いが伝わってきたのでは?
熱気というのかムードというのか、そのなかで歌わせていただいたという感覚はあります。それは当たり前のことではないし、2月からのバンドツアーでは、僕が全面的に引っ張っていかないといけないと思っています。
──「ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA - 40年のありったけ - 」。まさに待望のバンドツアーですが、現時点ではどんなステージになりそうですか?
演出面で語れることはないですが、どういうボルテージで、どんな色のライブになるかについては、漠然とですがイメージできています。もちろん選曲によるところも大きいですよね。40年のベストというか、これまでのキャリアを象徴するような楽曲を並べるつもりはなくて。活動の歴史のなかで自分のなかで蓄えてきたものを一気に放出する感じになるでしょうね。
──特に今回のツアーは期するものがあるのでは?
どうでしょうね?精神状態は以前の状態に戻っているし、特別なことをやりたいという意識はなくて、通常通りのことをやることし考えてないんです。よく“以前のライブを超えたい”なんて言うじゃないですか。でも、どうなれば超えたことになるのか、そこに答えはないんですよ。“少しでも上を目指す”という気持ちさえあれば、以前のツアーと匹敵するものができるはずだという感じですね、いまは。
──凄腕のバンドメンバーのみなさんによる演奏も楽しみです。
ありがとうございます。ある時期から僕は“コンサートの初日と最終日は同じであるべき”と言っていて。それは理想論なんだけど、なるべくそうしたいという気持ちはまったく変わってないんですよね。つまり、リハが思うようにできないままツアーに臨んで“まあ、初日はこんなもんだろう”というセリフは絶対に吐きたくないんです。そのためにリハーサルの時間が延びることも多いんですが、みんな、ちゃんと付き合ってくれて。
──しっかりリハを重ねて、すべての会場で同じクオリティのライブをやると。
そのつもりです。これを読んでいる方も、もし少しでも興味があれば、ぜひ会場に来てほしいですね。そこが僕とみなさんとの出会いになるし、必ずや心が温まる、エキサイトできるところまでお連れするので。
──ASKAさんはライブのMCで「最初は違うボルテージでも、最後は同じ出口に向かいましょう」と語りかけますよね。
自分と感情、お客さんの感情を含めて、一緒に突き抜けるラインがあるんですよ、ライブには。会場の雰囲気は毎回違うし、“最近いいことが多い”という人もいれば、“良くないことが続いている”という方もいる。それが混ざり合った空気を感じながら、しっかり持ちあげて、一緒の出口から出ていく。そのカーブの描き方はライブによって違いますが、そこまでナビゲートするがアーティストの役目なんですよね。