今年2月、ウルフルケイスケがウルフルズとしての活動を休止し、ソロ活動に専念することが発表され、3ピースとなったウルフルズ。9月にビクターエンタテインメント内・ロックレーベル「Getting Better」に移籍、10月にリリースされた最新曲のタイトル「変わる 変わる時 変われば 変われ」からもうかがえる通り、現在の彼らは何度目かの“変化の季節”を迎えているように見える。が、実際のところはどうなのだろうか。
現在アルバム・レコーディングの真っ最中というメンバー3人にメール・インタビューをお願いしたいところ、ていねいな回答をいただいたので、ここに全文を紹介する。30年目のウルフルズ、その生の声だ。
現在アルバム・レコーディングの真っ最中というメンバー3人にメール・インタビューをお願いしたいところ、ていねいな回答をいただいたので、ここに全文を紹介する。30年目のウルフルズ、その生の声だ。
──ウルフルズというバンドをいまできるだけ客観的に眺めて、この30年の間にすごく変わったなと思うところと、まったく変わっていないなと思うところを、それぞれひとつずつあげてください。
トータス松本(Vo, Gt)変わったのはメンバー間の関係性。昔は今よりもっと上下があったと思う。変わっていないのは音楽に対する温度。相変わらず暑苦しい。
ジョンB(B)変わったところはうーん…、今はスリーピースだし、いろんなことが変わってるのかも。変わっていないところはバンドとして、不器用なところ。
サンコンJr.(Dr)変わったところは人間性でしょうか。良い意味で大人になったと思います。特にオレなんですが。で、「いま自分たちが面白いと思うもの」を作ろうとするところは昔から変わってないと思います。転じて、「いま自分(たち)が何をしたいのか?」ということを昔から真剣に考えてたんだと思います。
──この30年の間に、音楽シーンはずいぶん変わりました。音楽の作り手として、またステージに立つ人間として、いちばんうれしい変化はどんなことですか。また、これは困ったことだなと思う変化があれば教えてください。
トータス松本音楽シーンがずいぶん変わったのに、まだこうして続けられていることが嬉しいです。困った変化は、後輩が増えてフェスとかで気をつかわれ、こっちも気をつかうこと。
ジョンB便利にいろんな音楽を聴けるようになったけど、そこが良くも悪くもって気がする。なんでも、そこへ行くまでの道のりが楽しいし大事なことなので。インターネットでぴょんと行くんじゃなくて、電車乗ってレコード買いにいくみたいな。帰りにジャケット眺めながらね。
サンコンJr.うれしい変化は昔のバンドやシンガー・ソングライター、ブルースマン、ソウルマンの情報が手に入りやすくなったこと。最たるものはYouTubeなんかの動画ですね。ほんとにいろんな、「動いてる◯◯」が見れるもんね。困ったことは「音楽ファン」が減ってきたような…。我々ウルフルズのファンが増えるのはもちろん嬉しいし、ありがたいのですが、やっぱり「音楽ファン」をもっともっと増やしたい。いろんなすばらしい音楽がたくさんあるんです!
──最新曲「変わる 変わる時 変われば 変われ」の歌詞にもありますが、やはりチェンジはチャンスでしょうか。
トータス松本それはもちろんそうです。じっとしていても何も起こらないと思う。
ジョンBうん、そんな時期のような気がする。こんな繰り返し。続けていきたいので。
サンコンJr.チャンスなのか、チャンスではないのかと言えばチャンスでしょう。
──ウルフルズは、結成30周年のタイミングでレーベルを移籍しました。やはり心機一転といった感じがありますか。あるいは、そうした気負いみたいなものも無いなかでこのアニバーサリー・イヤーを迎えているんでしょうか。
トータス松本今回の移籍はかなり心機一転、これまでのキャリアの中でも大きい出来事です。気負いはあるけど、不思議と余裕みたいなものもあって楽しい。
ジョンBそう思えるチャンスだと思うし、踏ん張ってここはがんばりたいです!
サンコンJr.心機一転と言われればそういう一年だったように思います。とは言え、気負ってる感じも別段なかったようにも思います。
──この30年の間にいろいろなバンドと親しくなったり、またいろいろなバンドの内部事情を耳にしたりすることがあったと思います。いまの時点で、バンドというものの、面白いなあと思うところと厄介だなあと思うところを教えてください。
トータス松本バンドは、せーのでドン!と音が出るのがたまらない。厄介というのは、人が集まるところにはつきものなのでどうしようもない。揉めないようにお互いを尊重!
ジョンBメンバーそれぞれの思うようにならないところ。それでも、あーだこーだ言いながら力をあわせて前へ進む感じ。なんか、でこぼこしてるほうがおもしろい。
サンコンJr.面白いところは何人かで一つのものを産み出し作っていくところ。曲もそうやし、ライヴもそうですよね。一人一人のエネルギーが集中すると、なんかすごいエネルギーが誕生するのを、バンドマンは体で知っているんですね。厄介なところは人間関係。これは永遠の課題でしょう。
──その感想は、30年前にも感じていたことですか。それとも、やはり年月を経るなかで実感するようになったことですか。
トータス松本アマチュアの頃は、ただ楽しいと思ってやっていた。年月を重ねないと分からない事がある。どんな事でもそうですが。
ジョンBそのへんは日々実感してるんだろうけど、あんまり考えすぎるのもどうかなと。楽しんで活動するのが一番大事なので。努力して、気楽にもなれるようにしていきたい。
サンコンJr.いまだからそう思える。30年前のオレは何も考えていませんでしたから。