ウルフルズ 30周年ツアー 2022-2023 ~楽しいお仕事演奏会~
2022年11月9日(水)三郷市文化会館大ホール
※ツアーは続いていくためセットリストや詳しい楽曲については記載しておりません。
2022年11月9日(水)、16作目のニューアルバム『楽しいお仕事愛好会』のリリース日に、『ウルフルズ 30周年ツアー 2022-2023 ~楽しいお仕事演奏会~』の初日公演が、埼玉・三郷市文化会館大ホールで行われた。年をまたいで2023年1月13日(金)東京・中野サンプラザホールまで行われる、ウルフルズにとってコロナ禍以降では初となる、全14本のホール・ツアーの1本目である。
頭の2曲をやったところではさまれた、トータス松本のMCによると、ここ三郷市文化会館大ホールでウルフルズがライブを行うのは、1997年のアルバム『Let’s Go』のツアーの初日以来とのこと(ただし、ソロ時代のツアーでも一度あったそうだ)。
トータス松本、ジョンB、サンコンJr.の3人を支えるサポート・メンバーは、真心ブラザーズの桜井秀俊(ギター)と、トータスのソロ時代から参加し続ける浦清英(キーボード)。なお、真心ブラザーズも、ニューアルバム『TODAY』をリリースしたばかりで、リリース・ツアーがこの日の6日前=11月3日(木・祝) EX THEATER ROPPONGIから始まっている。その真心のツアー10本のうち、6本で叩くサポート・ドラマーはサンコンJr.で、11月3日にも出演。
ついでに言うと、真心のもうひとりのサポート・メンバーとしてサンコンとタッグを組むベーシスト、グレートマエカワのバンド、フラワーカンパニーズも、ニューアルバム『ネイキッド!』のツアーが、11月5日(土) 水戸 LIGHT HOUSEからスタートしている。
ライブのフォーメーションは、フロントに横一列でサンコン・トータス・ジョンB、後方に桜井と浦、というフォーメーション。ステージ後方のLED画面に、ロゴが表れたり、ステージ上のメンバーが映ったり、効果映像があしらわれたりする曲もあれば、照明だけで演出する曲もある。
という演出のほかにも、本当にいろいろな──後半のMCでトータスは「今までにない趣向を凝らしたことをやってみたツアー」と言ったが、まさにその言葉どおりの、創意工夫に満ちていて、観る者に新しい驚きや新しい喜びをもたらせてくれるステージだった。
ただ、具体的なことをツアー1本目で書くのはネタバレにもほどがあるので、えーと、どうしよう、じゃあ、セーフな範囲を心がけつつ、いくつか特徴を書いていきます。
・ニューアルバム『楽しいお仕事愛好会』収録の12曲は、全曲が演奏された。
トータスがボトルネックでリード・ギターを弾きまくる「ツーべーコーべー」。2021年5月公開の松居大悟監督の映画『くれなずめ』の主題歌として書き下ろした「ゾウはネズミ色」。ブルース・バンドとしてのウルフルズの魅力が爆発する「踊れ」。どファンクをやらせたらこの国で右に出る者がいないバンド、ウルフルズの面目躍如な「続けるズのテーマ」。アルバムのタイトル曲であり、この30周年プロジェクトを総括する曲でもある「楽しいお仕事愛好会」──等々の曲が、「あ、ここでやるか!」とか、「うわ、こんな演出ありか!」など、いちいち驚かされるし、いちいちうれしくなるやりかたで、披露されていく。
特に「楽しいお仕事愛好会」、このタイミングでこんなふうに歌われたら、ちょっともうダメですわ、涙腺決壊ですわ。という人、多いのでは、と思った。私、そうでした。
・30周年プロジェクトの大きな軸として、過去の曲から10曲ずつ選んでセルフカバーしたアルバム「ウル盤」「フル盤」「ズ盤」の3作を、2021年8月から2022年3月にかけてリリースした、その30曲の中からもふんだんにプレイ。
あの曲も、あの曲も、1997年の三郷でも演奏されたというあの曲もやってくれる上に、その3作・30曲からではない曲まであり。
・ジョンBとサンコンJr.、それぞれをフィーチャーするコーナーもあり。カーリングシトーンズのライブにおける経験で、さらに自信をつけたと思しきあれを、トータスが披露する曲もあり。数年前、突然YO-KINGに「弾けるようになれ」とむちゃぶりされ、必死の練習の末にすっかりものにしたスチール・ギターを、桜井秀俊が聴かせてくれる曲もあり。「音の表情の豊かさと顔面の表情の豊かさが直結する男」浦清英が、白鍵も黒鍵も割れんばかりにソロを弾きまくる曲もあり。
というふうに書いていくと、とにかくもう本当に盛りだくさんで、3時間とか3時間半とかのライブなんだな、と思われそうだが、なんと2時間強で終了。こんなに華やかでバラエティに富んでいて2時間強、というのは、つまり、途轍もなく濃い、ということだ。
これ、もう一回観たい。今日観て、どこでどの曲をどんなふうにやるのか、どんな演出があるのかがわかった、という状態で、もう一度、頭から最後まで味わいたい。2時間強、ウルフルズのパフォーマンスに心を振り回され放題振り回された末に、僕がまず思ったことは、それだった。
このツアーの2本目の日程は、11月13日(日)京都・文化パルク城陽プラムホール。その後、年内は神戸・君津・三島・名古屋・仙台・厚木・札幌を回って、大晦日は大阪・フェスティバルホール。年が明けてからは、福岡・富山・広島を経て、1月13日(金)東京・中野サンプラザホールでファイナルを迎える。