Rayflower が10月4日から来年1月5日にかけて全21都市を廻る<TOUR 2018 〜Endless Journey〜>をスタートさせた。今回のツアーは注目点が多く、まずは音源リリースに伴うツアーではないということがポイントといえる。こういう公演の場合は最新作の楽曲や世界観などをフィーチャーするパターンとは異なり、より自由度の高いセットリストを組むことができる。つまり現在のバンドのモードや提示したいライブ感などがダイレクトに反映されたライブになるというわけだ。
幅広い表情を持つRayflowerだけに、どんな空気感のライブになるのだろうと思っていたが、ツアー初日を飾ったHEAVEN’S ROCK さいたま新都心公演は今まで以上に躍動感や力強さ、煌びやかさなどが増して、爽快感に溢れたライブになっていた。前回のTOUR<Brilliant Place>ではライブ中盤にじっくり聴かせる曲を並べたセクションがあったが、今回はなし。パワフル&キャッチーなナンバーを相次いで聴かせる構成の“駆り立て力”は絶大で、オーディエンスはライブを通して熱い盛りあがりを見せていた。
“アッパー染め”ともいえる内容でいながら、ただただ明るく、それだけの印象のライブにならないこともRayflowerの強みといえる。流麗なメロディーを情熱的に歌いあげる田澤のボーカルや抑揚を効かせたアレンジ、演奏力の高いバンドならではの洗練されたプレイ/サウンドなどを活かして、エモーショナルな味わいに仕上げる辺りは実に見事。明るさと深みを併せ持ったライブを“バシッ!”とやれる邦楽のバンドは少ないだけに、彼らは貴重な存在といえる。もう一つ、よりアッパーなライブになったことで、合間に挿入されたスロー・チューンの美しさが一層際立っていることも印象的だった。
今回のツアーは、音源化されていない新曲4曲を披露する場になっていることも見逃せない。1~2曲ならまだしもオーディエンスに馴染みのない曲が4曲というのは、やや危険なアプローチともいえる。知らない曲が盛りあがりに水を差したり、ライブの流れがチグハグな印象になってしまったりすることも多いからだ。しかしそこはさすがRayflower、今回聴かせてくれた4曲はいい意味でわかりやすく、ライブ映えする曲が揃っていて、定番曲の中にあっても違和感は全くなかった。
さらに驚かされたのが新曲をさり気なく聴かせるパターンではなく、ライブのポイントになる位置に持ってきたことだった。この辺りからはRayflowerのメンバーがオーディエンスに対して“新曲もやった”ではなく、“新曲をやった”という印象を与えたいと思っていることがうかがえる。新曲を要に据えたセットリストで不満を感じさせないライブをしてみせたのはさすがの一言に尽きるし、Rayflowerの楽曲クオリティーの高さをあらためて感じずにいられない。新曲達は“水差し役”になるどころか、ライブのいいアクセントになっていて楽しめた。
もう一つチェックしたいと思っていたのが、彼らのバンド感だ。テクニシャンが顔を揃えたバンドということもあり、初期のRayflowerのライブはメンバー5人のせめぎ合いという雰囲気になるシーンが度々あった。だが、昨年9月にリリースされた2ndフル・アルバム『Brilliant Anthology』と、それに続くTOUR<Brilliant Place>から彼らは歌を中心に据えたスタンスに舵を切り、バンド像もチーム感を重視する方向に変化した。そんな彼らが今回のツアーでは、どんなフォーマットを見せるのか? より歌を押し出すために“ボーカル+バックバンド”的なスタイルを採るのか? でも、それが似合うバンドだろうか…といったことを思いつつライブを観たわけだが、Rayflowerはそこに対しても明確な答えを見せてくれた。
彼らはメンバーそれぞれが熱くパフォームしたうえで、自身が出るべきところで出て、引くべきところは引くという形をチョイスした。楽曲の世界に入り込んで、全身で感情を現し、力強さと情感を兼ね備えた歌声を聴かせる田澤。華やかなパフォーマンスとテクニカル&テイスティーなギター・プレイのマッチングが光るYUKI。多彩なキーボードの音色を操り、“ここぞ!”というシーンではショルダー・キーボードを抱えてステージ前に出て熱くプレイする都。ファットなグルーブや超絶的なフレージングなどを活かしたベース・ワークを展開しつつ、フィジカルなステージングを決めるIKUO。引き締まった表情でタイトさとスケールの大きさを兼ね備えたドラミングを繰り広げる姿に加えて、時折見せる笑顔も印象的なSakura。強いオーラを放つメンバー5人が個性をアピールしながら、決してゴチャゴチャした印象にはならないという彼らのバンド感は理想的といえる。メンバー達がライブを楽しんでいることが伝わってくることも、Rayflowerのライブの“駆り立て力”の大きなファクターになっていることは言うまでもないだろう。
また、メンバー達がプレイ/パフォーマンスともに全力でいけるのは、田澤の秀でた歌唱力があるからこそということも再確認させられた。群を抜く声量やピッチの良さ、優れた表現力などを備えた田澤のボーカルは、楽器陣が放つ轟音やスリリングなプレイなどに押されてしまうことがない。歌を際立たせるために周りが下がるのではなく、全員がフルでいきつつボーカルが主役という現在のRayflowerのあり方は本当に魅力的だ。爽快感を湛えた爆音に浸りつつ情熱的かつ良質な歌声を堪能したいというリスナーには、ぜひRayflowerのライブを体感してほしいと思う。
<TOUR 2018 ~Endless Journey~>の初日公演で、様々な面がさらにパワーアップしたライブを披露してみせたRayflower。今回のライブを観て、長いキャリアを誇るメンバーが揃ったバンドでいながらそれぞれが慢心することなく、今なお進化し続けていることを実感できた。彼らは今回のツアー・タイトルになっている“Endless Journey=終わりなき旅”を具現化すべく、意欲的な姿勢でRayflowerに取り組んでいるようだ。そんなRayflowerだけに新鮮さを失うことはないし、HEAVEN’S ROCK さいたま新都心のライブもツアー初日とは思えない完成度の高さが光っていた。今回のツアーを経て、Rayflowerがより魅力を増した存在になることは間違いなさそうだ。
PRESENT
ツアー告知B2ポスター(メンバーサイン入り)を2名様にプレゼント!
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