「ようやく1つ目の階段、野音に足をかけています。こうやって平日にもかかわらず来て、断りもせず歌いまくって笑って泣いてくれる皆さんに力いっぱい届けようと思ってやりますんで、その景色を楽しみにしててください。野音のこと、そしてここまで支えてくれた皆さんのことだけ考えて作った曲があるから、歌っていいかい?」と、上中のMCも熱くなる。輝かしく照らされるステージに、希望のイメージが浮かぶ。そんな「そして夜空に浮かぶ月のように」や「人生は最低で最高だ」を聴いていると、思いが駆け巡らずにはいられない。
20年の歴史の中で、メジャーレーベルとの契約は今が3度目。時にはくすぶりつつ、それでも誰に何と言われようともしぶとく、青くさい春を追いかけ続けてきたTHEイナズマ戦隊。彼らもまた、怒髪天、フラワーカンパニーズ、THE COLLECTORS、Theピーズ、エレファントカシマシのように、もっともっと高い評価を受けるべきバンドなのだと思う。イナ戦にはそれだけのドラマがあるし、何よりその間で生み出した名曲がたくさんあるのだから。
「今ね、“あと25年やろう”って4人で話してるんですよ。とりあえず65歳まで、なんて考えてます。これまで歩いてきた年数より長い! 今日もさ、ライヴをやったらやったで楽しくて困るよな。1stアルバムの1曲目で「いばら道」っていう曲を書いたけど、まさかこんなにいばら道が待ってるとは思ってなかったわ(笑)。でも、こう歩まないと見えない景色もあって、それを歌っていくバンドになれた。それをここまでTHEイナズマ戦隊を育ててくれた皆さんに見せたいから、まずは野音を観に来てください。その先は武道館まで行きましょう! いや、そんなのは当たり前や。もうさ、正月、大晦日も退屈させない。NHKホールで会おうぜ! やってやろう! 俺たち紅白歌合戦、マジで考えてる。いつまでも夢を見させてくれてありがとう!」と、上中が思いの丈を打ち明けた場面もあった。
ライヴ後半は1stシングル曲「月に吠えろ」を含む初期ナンバーのメドレーほか、『PUMP IT UP!』から最高の人間讃歌「ガムシャラの一言に尽きるぜ」「愛らしいじゃない」を畳みかけ、渾身の「応援歌」も披露。苦節20年を経て、イナ戦が代表曲を清々しく演奏している。仁王立ちの上中が、後半のサビをマイクなしで歌い放つ。その凄まじい説得力を受け、最後には“ラララ”の大合唱が会場全体を温かく包み込んだ。
「応援歌」について上中は「誰かのために歌える人生なんて幸せじゃないかって話をしたから、これからも野音でも歌います!」とも話していた。歌も楽器もひとつひとつのフレーズに対して誠実で、引き締まったバンドアンサンブルを聴かせる、21年目、まもなくメンバー全員40代突入のTHEイナズマ戦隊。仕上がりまくっている彼らがバンドマンにとっての聖地・日比谷野外大音楽堂で行なう“感謝祭”とも言える初ワンマンを、ぜひ目撃してほしい!
【セットリスト】
01.That's so great!!
02.突っ張り大一番
03.ジタバタダンス
04.赤い命が燃えている
05.Ban & An~バカ万歳アホ万歳~
06.PUMP IT UP!
07.青春時代延長戦
08.すすきのエレジー
09.君に捧げよう
10.各駅停車
11.そして夜空に浮かぶ月のように
12.人生は最低で最高だ
13.オマエ・がむしゃら・はい・ジャンプ
14.メドレー
~熱血商店~
嗚呼!!されど青春ごっこ
さらば青春 輝く俺
君のため
心臓直結系ラブソング
月に吠えろ
15.ガムシャラの一言に尽きるぜ
16.愛らしいじゃない
17.応援歌
〈Encore〉
01.戦え boys & girls ~栄光のpump up~
02.33歳
(記事提供:BARKS)