[NOiD] TOUR 2017 ~Kanto Limitation~
Amelie「ドラマチックに、メグリメグルTOUR ~ 関東8ヶ所でグッバイハロー ~」
2017年8月13日(日)F.A.D.YOKOHAMA
Photo:村上 龍介
Report:田中 サユカ
2017年8月13日(日)——3年ぶりの対バンイベント[NOiD]はF.A.D YOKOHAMAにあった。かつて、ロックバンドを志す者達の登竜門と言われていたイベント[NOiD]。今でこそレーベルとして名高いが、イベントとして[NOiD]が帰って来た。
この日はツアー最多の5バンドが切磋琢磨する。スタートダッシュは名古屋の4ピースバンド、LUCCIだ。神聖なるステージに踏み入れるように登場するも、出だしから渾身の力を込めた第一声を響かせ、「ボーイフレンド」で勝負に出た。1バンド目の1曲目だ、オーディエンスとの距離は否めない。しかしその距離感を推し測りながら、駆け引きを楽しむのが対バンイベントの醍醐味でもある。三浦(Vo.Gt.)のファルセットをメロディアスなコードワークに踊らせながら、徐々にオーディエンスの体ごと揺さぶっていく。
「まだまだ行くぜー!」
三浦が叫び、「君の明日に」をドロップすると、さらにギアーを上げた。哀愁が似合ういつものLUCCIも今日はどこか勇ましい…そう感じるのは僕だけか?それとも[NOiD]という不慣れな舞台ならでは、の現象か。
Amelieとは今回、初めて本格的に交わることになるというLUCCI。一発目の役割を果たすべく、今のLUCCIらしいやり方で「1人ひとりの心を掴んで行きたいと思います!」と三浦が語る。気持ちを繋げようとするオーディエンスの“糸”を紡ぎながら、LUCCIの名曲とも言える「ミサンガ」「FROG」へ。切なさと泥臭さと若さとが混在する直向きなロックは、2バンド目のマカロニえんぴつへと繋いだ。
LUCCIからのバトンを受け取ったマカロニえんぴつは、「鳴らせ」で華麗にご挨拶。長谷川(Key)の爽やかな笑顔とメロディラインが空間に煌めきを添えると同時にリズミカルなクラップを自然に誘った。次いで「洗濯機と君とラヂオ」と、キラーチューン続きで、気づいた頃には“マカロック”の空間が仕上がりかかっていることに驚く。思わずはっとり(Vo.Gt.)も「今日はいい感じだね!」と人心地がついた様子、持ち前のテクニックでポップが益々色めき立ってゆく。
Amelieとは腹違いの子供のような存在だというが、「[NOiD]はちょっとコワイ…あ!“強い”の方ね!」と、はっとりが思わず漏らした。今日はその“強い”舞台で一戦を交えている。
「Amelieに今日までお疲れ様でした、それからまだまだ頑張って!という気持ちを込めてこの曲を演ります!」
そう言って放ったのは2017年・彼らの贈るサマーチューン「夏恋センセーション」。Amelieと[NOiD]の夏を盛り上げるため、マカロックの一念は爽快に届けられた。「two much pain」「ワンドリンク別」へとポップのもつ普遍性が[NOiD]の望むロックに絡み合ってゆく。ラストは、切れ味抜群の「ハートロッカー」で、EVERLONGへと完走した。
さて、3組目でEVERLONGの登場である。この後2組が控えているとは、なんと贅沢なイベントだろうか。
「EVERLONG、はじめマーーース!」
早速「story」で口火を切り「ヴィーナス」まで一気に加速した後、いきなり「炭酸水」「飲み干して」のコール&レスポンスにするっと誘導、匠の技か!?
そして「群青炭酸」に持ち越すと、オーディエンスの炎を一気に焚きつけにかかった。
[NOiD]とは縁濃いEVERLONG。Amelieともここ[NOiD]で出会ったエバロンは「(ツアーの中でも)此処・横浜はもっともっと盛り上げていこー!かっこいいライブするんで、よろしくー!」と大暴れ。
そうだ、これはAmelieのツアーだが、[NOiD]だ。持っていったモン勝ちなのだ!こうしてエバロンきっての名曲「POPダイバー」が豪快に放たれた後、静かにMitsuhiro(Vo.Ba.)が語り出した。
「3年ぶりくらいです、[NOiD]に出るの。[NOiD]でAmelieと出会った。俺たち、バンドやって6年間なんですけど、まだまだペーペーですが、続けて行く上でいろんなことがありました。」
刹那的なワンシーンに、少しの間、会場の時が止まった。Amelieと出会ってから今日までの3年をつぶさに振り返りながら、それでも自らのパンクを鳴らしている自身の原動力へと手を伸ばす。それはオーディエンスだ。
その手は「オレンジ」へと仰がれ、「夢」「ヨナギ」へと一気に駆け抜ける。強豪の貫禄を見せつけたEVERLONGのステージだった。