VANIRU 変化と進化を遂げたLEONEILが遂に地上へと降臨したワンマンショウ『The DIVINE CHILDLEN』

ライブレポート | 2017.06.12 20:00

VANIRU

The DIVINE CHILDLEN
2017年5月26日(金) 原宿アストロホール
Report:東條祥恵
Photo:Zuhn Choi

2017年5月26日(金)、東京・原宿Astro HallにてVANIRUがワンマンショウ『The DIVINE CHILDLEN』を開催。待望の新曲「BRAND NEW」も披露されたこの日のショウのレポートをお届けしよう。
国籍不明の美しく整いすぎた顔立ち、ウェービーなロングヘア、細すぎる肉体、人が考えていることすべてを射抜くような鋭い眼光、デカダンな匂い…。“現象を飛び超えよ”というアンキャッチーなスローガンを自ら掲げ、80〜90年代のエレクトロ&ニューロマなダンスビートにのせて艶っぽい色気を含んだ声で、不思議なダンスを踊りながら歌うLEONEILは、どう考えてもこの世のものとは思えない。とにかく、久々にこの音楽シーンに現れた浮世離れしたミステリアスでカリスマティックなオーラに包まれまくったアーティストだった。しかし、LEONEILはこの1年間でライブを見るたびに、少しづつ少しづつ、VANIRUのフロントマンとしてのLEONEILへと自ら自分をモデルチェンジ。そうして、あんなに浮世離れしていた存在だったLEONEILが、ついに地上へと降臨。今回のワンマンショウは、それをリアルに体現したものだった。

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開演時間を過ぎ、舞台の紗幕にオープニング映像が映し出される。モノクロの画面に黒い羽が降り出すと、フロアにもリアルな黒い羽が降ってきた。冒頭から凝った演出でファンをVANIRUの魅惑の世界へと導き、ショウは「Dreaming Crystal」で開幕。スモークで真っ白になった舞台。柔らかな後光に照らされながら、ステージに降臨したLEONEILは真っ白いコートをまとい、まるで天使のよう。天国にいるかのようなパラダイスな幕開けから「JUST YOUR DREAM」へ。“いただこう”のキメフレーズがくると、おもむろにフロアへ近づき観客とアイコンタクト。「Stardust Waltz」が始まると、LEONEIL独自のダンスを踊りだし、場内の空気を揺らし始める。そうして「High FANTASY」が始まる頃には、この甘いポップネスにオーディエンスも次第に体と気持ちを解放され、気持ちよく揺れながらLEONEILに手を伸ばしていく。こうして両者の距離が近づいていったところで、印象的なギターイントロが鳴り響き、「カラダはカゲロウ、心は無限」とMCしていたLEONEILの心の声は「いくぜ!」と叫んだように感じた。ニューロマな人気曲「Memory of Mayfly」で前半の盛り上がりを作る。デカダンでロマンチックな雰囲気はキープしつつも、現在のLEONEILEはフロントマンとしてこんな風に客席とコンタクトを取りつつ、テンションを寄り添わせながら一つのショウの進行をリードしていき、盛り上がりを作っていく。このあと、LEONEILEは姿を消す。

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生演奏の「SHAKE YOUR MIND」を挟んで、「L’Abime」が始まると、フロアからはハンドクラップが沸き起こる。舞台に戻ってきたLEONEILはボルドーの衣装にチェンジ。ここでは、“素顔を明かさず”の歌詞に合わせて、ストールで頭と顔を半分覆い隠して見せた。次はストールを外し、LEONEILの低音ヴォイスが舞う「Who am I, Picture of Ghost…」へ。“ウォー”という熱いシャウトまで飛び出した「Harlequin」はVANIRU唯一のロックチューンに変貌し、赤い照明を浴びながら、ストールを振り乱し、エネルギーを観客に撒き散らすように踊る。次に「柘榴」を歌い出すと、長い髪を淫らに揺らして、場内の空気をねっとりとしたエロティックなムードに変えていった。こうして曲ごとにLEONEILはステージ上で様々な自分を見せ、地上、またオーディエンスとの距離をどんどん近づけていく。

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この後は衣装をゴールドのスペンサージャケットに着替えて「深海マリア」へ。曲の冒頭には「深〜く、深〜く…深海まで」というLEONEILの語りが入る。それだけでオーディエンスはこの曲にどんどん引き込まれていき、LEONEILがVANIRU曲のなかでも唯一心の声を漏らしているような“助けて”という最後の一節が、より人間味を増して届いてきて、胸がキュンと締め付けられる。続けて「月詠ミ」、「千の夜~Pallidus~」でメランコリックな歌謡ポップメロを甘い声で歌い、夢の中で心の交流を深めた後のキラーチューン「LOVE AGAIN」は最高だった。ステージとフロアが熱を帯びていくなかで、LEONEILは浮世離れした独特のオーラを殴り捨てるように“夢じゃないさ”とオーディエンスに向かって視線を合わせながら、自分の思いを力強く歌い放っていった姿は、見ていて胸が熱くなった。

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ショウも終盤戦。軍帽にシースルーシャツ、サスペンダーをつけたワイドパンツといったデカダンな香りを漂わせたスタイルで、LEONEILがまずサポートメンバーを紹介。最後に「I’m LEONEIL」と控えめな声で紹介するところなどでは、愛らしい一面ものぞかせる。「BLUE MONDAY」からは怒涛のダンスチューン攻めあげていく。“COME WITH ME”と大きく手を広げ、オーディエンスをのせ、フロアの空気を高めていった「コズミック・ナイト」、その勢いのまま突入した「DEAD OR DANCE」では、間奏でギターソロが始まると、腰を曲げてギターに耳を近づけて笑顔をこぼしたり、MCで「生まれ変われるなら何度でも、何度でも出逢いたい。…そう思える出逢いにしたい」と語り、その後観客と英語でやり取りをしていた。そのセリフから始まった「ISOLΛTION」では“慰めてあげるわ”という歌詞を歌いながら自分の頭をポンポンするなど、最後は愛らしい一面をファンに解放して魅せて、ショウは終了。

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アンコールに呼ばれて登場したLEONEILは、最初から白シャツのボタンを思いっきり外してセクシーさを大胆にアピール。「あなたを救うのは、偽りじゃない。This is new song, Are you ready?」とLEONEILが言い、新曲「BRAND NEW」をいきなりパフォーマンスする。これまでになかったような曲調で、LEONEILはビュンビュン体を動かしながら“Kiss me Jesus, Kiss me Baby”を繰り返す。曲の後半に1度だけ出てきた“いつだって笑って 悲しみを喜ばせる”というフレーズがぐっときたナンバーだった。そうして「またかならず出逢いましょう!See you next show」と言ってLEONEILは舞台から消え、ART OF NOISEの「MOMENTS IN LOVE」が流れるなか、ショウは終わりを告げた。

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LEONEILの変化、成長。そうして、いよいよやってきたVANIRU待望の新作の音源化も含め、否が応でも今後の活動に期待感が高まる。そんなワンマンショウを見せてもらった。

 

セットリスト

01.Dreaming Crystal
02.JUST YOUR DREAM
03.Stardust Waltz
04.High FANTASY
05.Memory of Mayfly
06.L’Abime
07.Who am I, Picture of Ghost…
08.Harlequin
09.柘榴
10.深海マリア
11.月詠ミ
12.千の夜~Pallidus~
13.LOVE AGAIN
14.BLUE MONDAY
15.コズミック・ナイト
16.DEAD OR DANCE
17.ISOLΛTION
18.BRAND NEW

 

■ISOLΛTION – The DIVINE CHILDLEN – 2017.05.26