堂珍嘉邦、恒例のバースデーライブを2日間開催!バンド&客席との一体感を楽しんだ2日目をレポート

ライブレポート | 2024.11.18 18:00

堂珍嘉邦 LIVE 2024 “Now What Can I see ? ”〜Drunk Garden〜
2024年11月10日(日)日本橋三井ホール

11月9日(土)・10日(日)、日本橋三井ホールで、「堂珍嘉邦LIVE 2024 “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~”」が行われた。堂珍の誕生日(11月17日)に近い時期に、日本橋三井ホールでバースデーライブを行うようになってから、今年で5回目(2020年、2021年は無観客配信)。以下、その2日目=11月10日のレポをお届けする。
 
今年のメンバーは、TRI4THから初参加の関谷友貴(Bass)で、それ以外はDr.kyOn(Keyboards, Backing Vocal)、木暮晋也(Guitar, Backing Vocal)、真城めぐみ(Backing Vocal, Percussion)、山下あすか(Percussion, Backing Vocal)、という不動のメンバー。そこに、谷崎舞(Violin, Viola)と吉良都(Cello)という弦が加わった編成である。

堂珍がテレキャスターを手に挨拶し、Dr.kyOnのキーボードと山下あすかのベルの音で始まった1曲目は、ohanaのカバー「HEAVENLY」。メロディの上にそっと声を置いていくような堂珍のボーカルに、2コーラス目から真城のハモリが加わり、そこにヴァイオリンとチェロの響きが重なっていく。なぜ今回はこの編成なのか、この編成でやりたかったことは何かを、1曲目で示すような演奏と歌である。
続いては、四つ打ちキックのリズムからの「BETWEEN SLEEP AND AWAKE」。つまり、11月6日にリリースされたばかりのニューシングル『BETWEEN SLEEP AND AWAKE』の2曲を、最初に歌ったわけである。「HEAVENLY」は2019年頃から、「BETWEEN SLEEP AND AWAKE」は1年前のこの『“Now What Can I see?~Drunk Garden~”』から、ライブにて初披露されてきた曲だが、このように冒頭の「つかみ」の部分に続けて配置されると、なんだかとても新鮮に響く。「BETWEEN SLEEP AND AWAKE」では、曲に合わせてハンドクラップが広がった。
歌い終わった堂珍、「いろんなとこから駆けつけてくださいまして、本当にどうもありがとうございます!」と感謝を伝え、「素敵な、いい感じの一夜にしましょう、共にね。じゃあ、フィッシュマンズのカバー、行っちゃおうかな」。

山下あすか

真城めぐみ

というわけで、ここから「いかれたBABY」(フィッシュマンズ)「CHRISTMAS TIME IN BLUE」(佐野元春)、そして初披露された「MERRY X’MAS IN SUMMER」(KUWATA BAND)と、レゲエ/ダブ方面のカバー曲が3曲続く。この3曲を、この楽器編成のこのバンドが演奏して、堂珍が歌うとこんなマジカルなことになるのか、ということがつくづくわかる。
なお、木暮晋也は佐藤伸治が亡くなる前の一時期と、亡くなった後から現在までフィッシュマンズのサポートメンバーである。Dr.kyOnは1995年から10年間、佐野元春&THE HOBO KING BANDのメンバーだった(2024年には再集結してライブを行っている)。そのためか、堂珍は、「いかれたBABY」を歌い終えると、曲の締めの一音を担った木暮の名をコールし、「CHRISTMAS TIME IN BLUE」では、最初にアコーディオンを鳴らしたDr.kyOnの名をコールしてから、歌い始めた。

Dr.kyOn

木暮晋也

この3曲で、客席の温度がぐっと上がったが、次にさらに新しいヤマ場が。Jeff Buckleyのカバー、というか、Jeff Buckleyが1966年のニーナ・シモンの曲をカバーして、それで堂珍がこの曲を知った「LILAC WINE」である。
おなじみの……と思ったが、去年は、このライブでも年末のライブでも歌わなかったので、よく考えたら久々。曲の中盤とエンディングで、どこまでも高く美しく伸びていく堂珍の声に、歓声と拍手が上がる。

「次は真城姐さんとデュエットを」と、ふたりで歌った曲も初披露だった。1987年、堂珍曰く「いろんな音楽のジャンルがゴチャゴチャにボコスカボコスカ発明されていた頃(エイティーズと言われた頃)」に王道のバラードでビルボードの1位を獲った、アメリカのR&Bグループ、Atrantic Starrの「Always」である。ひとりで歌ったり、ふたりで歌ったり、ハモったり、ユニゾンになったりしながら進んでいく堂珍と真城の声が、オーディエンスを酔わせる。
そして「最近やってなかったナンバーに、改めてスポットライトを当ててみようということで。CHEMISTRYのナンバーからやりたいと思います。確か、数少ない、相方さんと共作のナンバーなんですね」と「Be Yourself」へ(作詞:MIZUE・堂珍嘉邦・川畑要、作曲:UTA・堂珍嘉邦・川畑要/2011年)。
CHEMISTRYが再始動した辺りに歌った記憶がある曲で、この選曲の流れにうまくフィットする予感があり、ソロでも歌いたくなったそうだ。

2015年のEP『VOWS』から「Reflextion」、そして昨年12月の有楽町I’M A SHOWでも披露した、ミュージカル『モーツァルト!』の主題歌である「僕こそ音楽」(WOWOWの番組に出演してこの歌を歌い、その時の感触がとても良かったのをきっかけに自身のライブでも歌うようになった)。力強く体温の高い2曲の連打で、ステージから放たれるエネルギーも、それを受け止める客席のエネルギーも、どんどん上がっていく。
「さらにアガっていきましょう、みなさん!」というアジテートから始まった「Caravan」では、曲の中盤、ピアノからスタートして各メンバーが順番にソロをとり、その末にギターとヴァイオリンがバトル状態になる。それぞれのプレイはもちろんすばらしかったが、個人的に、それ以上に驚いたのは、オーディエンスの手拍子が、最初から最後まで、きれいに裏に入っていたことだ。こんなにテンポが速い曲なのに。この曲がいかに愛されているかが、リアルにわかった気がした。曲の最後は、堂珍ののびやかなシャウトとオーディエンスの大歓声で締められる。

関谷友貴

谷崎舞

吉良都

本日2曲目のCHEMISTRY名義のソロ曲「悲しみシャワー」と、2017年の「BIRDY」、言うなれば聴き手を「ダンス・ビートでまっすぐに踊らせる曲」と「曲の雄大さでまっすぐに前を向かせる曲」の2曲で、本編が終了する。
オーディエンスが、「アンコール、アンコール」の代わりに、「ハッピーバースデー」を歌う時間をしばし経て、堂珍、Dr.kyOnに背中を抱かれて現れる。「うれしいんだか悲しいんだか、46になるんです」という言葉に、みんな拍手。
そして「kyOnさんとふたりだから、『FUTARI』を聴いてください」。山下達郎の1982年のアルバム『FOR YOU』の中の1曲で、11月6日にリリースされたばかりのライブCD+Blu-ray作品『堂珍嘉邦 LIVE 2024 “Billboard LIVE at OSAKA”』にも収録されている曲である。
来年春にまたビルボードでやる、これからも沢山たくらんでいるので楽しみにしていてください、と言ってから、堂珍、ひとりずつメンバーを紹介し、その最後に「みんな!」とオーディエンスも加える。

「またどこかでお会いできますように。ソロも10年経ったんだし──」と、締めの挨拶をし、改めて感謝を伝えてから歌われた最後の曲は「#1999」だった。「今日、ありがとう/ひとしきり/いつも和む事ばかりで/今日、ありがとう/ほどほどに/次は いつ会えるかな」という、以前のサポートメンバーAliと堂珍が共作したリリックは、ラストに歌うために書いたみたいだ、と改めて思った。この「堂珍嘉邦LIVE ”Now What Can I see ? ~Drunk Garden~”」は、来年は開催しないことがすでに発表されているので、その意味でも、いちばん最後に歌いたかったのかもしれない。

歌い終わるや否や、Dr.kyOnが「ハッピーバースデー」を弾き始め、ケーキが運び込まれる。堂珍、照れながらも、そのケーキに差された「46」のプレートを見て、「……現実感がすごい」。みんな笑って拍手。
今朝のテレビに(奥田)民生さんが出ているのを観た、もうちょっとで還暦だそうで、同じ広島だからなのか、共感をすることが沢山あって──という話をし、「また今年1年もがんばってみようかな」で締める。

メンバー全員で記念撮影を終え、はけて行くメンバーも呼び戻して、8人で横一列で手をつないで挨拶。ケーキに指をつっこんでひと口なめ、「うまっ。うまし!」と叫んだり、改めてお礼を言ったり、みんなの帰り道を気遣ったりして、ひとりになってもしばしステージに滞留していたのは、2日間のライブは終わったが、なんだかまだ立ち去り難い気分だったから、かもしれない。

U-NEXTで独占ライブ配信決定

堂珍嘉邦 LIVE 2024 ”Now What Can I see ? ”~Drunk Garden~
2024年12月7日(土)
19:30 配信開始 / 20:00 開演予定

詳細はこちら

公演情報

DISK GARAGE公演

『堂珍嘉邦 LIVE in the DARK tour 2024 -AMANOGAWA-』

【福岡公演】
2024年12月21日(土)福岡市科学館ドームシアター(プラネタリウム)
【東京公演】
2024年12月23日(月)コニカミノルタプラネタリウム天空

公演詳細はこちら

  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

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  • 撮影

    落合由夏

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  • ヘアメイク

    関東沙織

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    堂珍嘉邦

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