女王蜂、15周年の今、表現したい全てがつまったステージを代々木第一で体現

ライブレポート | 2024.04.30 19:00

女王蜂 結成15周年記念単独公演 「正正正(15)」
2024年4月20日(土) 国立代々木競技場 第一体育館

2024年4月20日(土)、国立代々木競技場第一体育館にて、女王蜂が『結成15周年記念単独公演「正正正(15)」』を行った。以下、そのライヴの概要や特色などを、ポイントごとに、箇条書きにしていく。

・この日演奏され、歌われたのは全部で21曲、しかし尺は1時間半弱。つまり、ここ最近の女王蜂の常道のステージ。曲が終わるとすぐ次の曲が始まるか、曲と曲とがシームレスにつながるかで、「なんとなく空く曲間」というものが存在しないし、曲間にMCが入ることもない。
曲と曲の間に、あえて空白の時間を設け、じっと止まったアヴちゃんに、オーディエンスの視線を集中させてから次のアクションに入る、という演出は数度あったが、どの時も、場内の静まりかえりっぷり、すごいものがあった。
1万人以上いるにもかかわらず、歓声を飛ばしたり叫んだりする人が、ひとりもいない。全員が黙ってアヴちゃんに視線を注ぐその時間は、異様な緊迫感に満ちていた。

・オープニングは、おごそかな鐘の音からパイプオルガンへ続き、オーケストラになり、最後に鐘の音に戻るSEが終わると、ステージをすっぽり覆っていた白幕がバッと落ち、1曲目「BL」のリフが響いて満員のオーディエンスが歓声を上げ、白いドレスに身を包んだアヴちゃんも「アオーウ!」と絶叫──という展開。
アヴちゃんの右手には黒いブーケ。なお、5人の後方は高い竹林になっている、というステージセット。

・アヴちゃんが「初披露!」と言ってから歌い始めた2曲目は、2023年夏にヒプノシスマイクEP『The Block Party -HOMIEs-』へアヴちゃんが楽曲提供した「おままごと」だった。ということにも表れているように、15周年だから歴代の代表曲をベストアルバム的に並べるのではなく、15年活動してきた女王蜂が今だから表現したいことにフォーカスを合わせた、という選曲だったように思えた。

アヴちゃん

・ライヴの中盤でアヴちゃんがいったんステージから去り、メンバーだけで演奏し、その曲の後半で衣装替えを終えたアヴちゃんが戻ってくる、というのは女王蜂のライヴではおなじみだが、この日のその時間=11曲目でアヴちゃんが去った曲は、なんと初期の代表曲で、現在も人気が高い「ヴィーナス」。メンバー全員でボーカルをとり、曲の最後にアヴちゃんが戻って来て、締める。
逆に、メンバー+サポートメンバーがはけてアヴちゃんひとりになって独唱する時間は、17曲目に設けられた。曲は「Introduction」だった。

・この日物販で売られていたジュリ扇は、オレンジ色。5曲目「バイオレンス」や9曲目「デスコ」や、12曲目「メフィスト」や19曲目「火炎」や20曲目「IMITATION」などで、オーディエンスのほぼ全員がオレンジ色のジュリ扇を振りまくる光景、かなり圧巻だった。
また、13曲目の「十二次元」の後半では、アヴちゃんのカウントに合わせて、ステージ後方の竹林が、1本ずつ倒れていく、という演出あり。しかし、曲の中では12で終わるはずのアヴちゃんのカウントは、この日は15まで続いた。そして、その声が止まると同時に、ひばりくんの弾くギター・イントロで「01」が始まった。

やしちゃん

ひばりくん

・「うわ、ここ、ピークだ」と観る者に思わせる瞬間が、何度も訪れるライヴだったが、個人的に、その中でも特に強くそう感じたのは、「黒幕」「つづら折り」に、アヴちゃんの独唱の「Introduction」が続いた時。
「Introduction」も、「黒幕」「つづら折り」と同じく、この日だからこそ、ここで歌われなければならなかった、アヴちゃんの、女王蜂の生き方を表す曲である。と、思う。
「つづら折り」が終わってからメンバーがはけ、アヴちゃんが「Introduction」を歌い始めるまでの間、30秒くらいあったんじゃないかと思うが、拍手はもちろん、誰もひとことも声を発さず、なんの物音もしなかった(前述の「沈黙の演出」の最たるものがこの時だ)。
アヴちゃんがアカペラで歌い始めても、その静寂は変わらない。そして、曲後半で、戻ってきたメンバーが演奏に加わった瞬間、まるで破裂したかのように、歓声と拍手が湧き上がった。

・ラスト=21曲目は、“結成15周年記念楽曲”である、この時点での最新曲「超メモリアル」。このライヴの8日前にリリースされたばかりの曲なのに(MVがアップされたのはこの前夜の21時)、客席のヒートっぷりは、この日最大レベルのピークを記録した。オレンジの高速の波のようだった、アリーナも1階スタンドも2階スタンドも。
演奏を終え、メンバーが去り、ひとり残ったアヴちゃんがステージ中央後方に立つと、その姿がじわじわと上へと上がって行く。リフトに乗っているのだ。
そして、リフトが上がりきったところでしばらく静止したアヴちゃんは、黒幕の間に姿を消す前、振り返って、オフマイクで言い残した。
「まだまだやるで」

公演情報

DISK GARAGE公演

女王蜂 全国ツアー2024「FINAL ANGEL」

2024年6月14日(金)神奈川・KT Zepp Yokohama
2024年6月19日(水)愛知・Zepp Nagoya
2024年6月21日(金)福岡・Zepp Fukuoka
2024年6月28日(金)宮城・SENDAI GIGS
2024年6月30日(日)北海道・Zepp Sapporo
2024年7月4日(木)大阪・Zepp Osaka Bayside
2024年7月5日(金)大阪・Zepp Osaka Bayside
2024年7月7日(日)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA
2024年7月18日(木)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
2024年7月19日(金)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)

チケット一般発売日:2024年5月11日(土) 10:00〜

RELEASE

「超メモリアル」

配信シングル

「超メモリアル」

2024年4月12日(金)SALE

詳細はこちら
  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

    • ツイッター
  • 撮影

    森好弘

  • 撮影

    中野修也

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