TOMOO LIVE TOUR 2023-2024"TWO MOON"
2024年1月30日(火) TOKYO DOME CITY HALL
シンガーソングライターのTOMOOの全国ツアー「TOMOO LIVE TOUR 2023-2024"TWO MOON"」のファイナル公演が1月30日(火)に東京・TOKYO DOME CITY HALLで開催された。
昨年9月にリリースしたメジャー1stアルバム『TWO MOON』を引っ提げた本ツアーはキャリア史上最大規模となる全国7都市8公演での開催。昨年の11月に弾き語りのアコースティックスタイルで行われた東京公演を皮切りに、バンドセットで北海道、宮城、福岡、広島、愛知、大阪と周り、最終公演は4ピースのバンドに加えて、ストリングスとホーン隊を迎えた12人編成によるプレミアムなライブとなっていた。
チケットがソールドアウトし、立見席まで埋まった満員のホールでは、開演直前のBGMとして、バーミンガム出身の女性シンガーソングライターであるローラ・マヴーラの「シング・トゥ・ザ・ムーン」が流れていた。TOMOOが本格的な音楽活動を始めた2013年にリリースされた荘厳な“月”の歌が響く中で、照明がゆっくりと落ちていき、バンドメンバーが位置についた。続いて、TOMOOが鼻歌で口ずさむ「ムーン・リバー」に変わると、グランドピアノにスポットライトが照らされた。楽器と照明のみというシンプルなステージに登場したTOMOOがおもむろにキーボードを弾き始めると、弦楽四重奏が寄り添い、バンドとホーンカルテットが加わると同時にライブは勢いよくスタートした。1曲目は<ふたつの心臓は/重なってゆける>という再会への希望を込めたアップテンポなナンバー。「こんばんは、TOMOOです!一緒に最高の夜にしましょう」という呼びかけに歓声が上がる中で、ハンドマイクで歌った「恋する10秒」ではオーディエンスは総立ちになってクラップを打ち鳴らす。シームレスで繋いだ「HONEY BOY」で熱気はさらに上昇し、晩冬の星空を舞台にしたダンサブルなビートのラブソング「酔ひもせす」では高く掲げた手を左右に揺らすワイパーでフロアが一体となって盛り上がった。
アップリフティングなラブソングを4曲続けたTOMOOは「ずっとフルカラー、フルパワーと言ってきたアルバムのツアーですけど、最後はスペシャル編成でお届けします。今日は今日しかないので、一緒にいい時間を作りたいと思います」とあいさつ。グランドピアノを弾きながら歌った「17」、ステージのセンターでスタンドマイクで歌唱した「Grapefruit Moon」は12人編成の生演奏がもの憂いムードをもたらし、曲の情感を凛々しく引き立てるとともに数多くの照明を駆使した“光”の演出も印象的だった。「夢はさめても」の溢れ出す“光”、「酔ひもせす」のきれいな“星”、そして、「Grapefruit Moon」の渇いた“月”と、歌詞に寄り添った照明の演出はライブでしか味わうことのできない醍醐味の一つだろう。
「このアルバムはたくさんの生の楽器の音でいっぱいのアルバムです。人の手の温度や空気がぎゅうぎゅうに詰まってる作品なんですよ。だからね、最後、一緒に演奏してくれる人がいっぱいる形でお届けできてめっちゃ嬉しい。でも、アルバムの中には、私のピアノと声だけの曲もあったりして。そんな両極端なところも含めた『TWO MOON』なので、次はひとりの曲を歌いたいと思います」
そんなMCを経て、<君の心はメロウな三日月>という歌詞を思わせる月明かりのような小さな光のもとで「Mellow」をピアノの弾き語りで切々と歌い上げ、日替わり曲へ。「その場所、その時の自分の気持ち。なんとなく目に入ってくる世の中の出来事や身近な出来事、いろんなものをミックスして、今、歌いたい曲を歌うことにしてて。天気とかは意外と関係なくて。一人の時間は私のお部屋でわがままな感じで受け止めてもらえると嬉しいです」と語り、「Grapefruit Moon」と同じ時期に作っていたという「雨粒をつけたまま」「What's Up?」と演奏を続けた。「なんでこの曲を選んだかはうまく説明できないけど」と本人が言っていたので解説はできないが、メジャーデビュー前の2017〜2019年頃に歌っていた楽曲からは、変わりたいけど変わりたくない、変わりたくないけど変わってしまう葛藤。思い出がもたらす甘さと寂しさを感じるような時間となっていた。